表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
256/263

Side A-6 星喰らいの赤色巨星

「『レッドジャイアント』って…何だかいじめっ子みたいな名前ね…」

リアシートのカオリが言うと、アユムが、

「レッドジャイアントは、赤色巨星の事ですよ。」

「ああ…あんたが言ってた、歳を取った赤い星の事!?」


話している間にも『レッドジャイアント』は『スーパーノヴァEX』の側に降り立った。


『武器を壊されたんだね、これを使うといいよ。』

そう言って『レッドジャイアント』はアレッツの全長より長い大砲を取り出して、『スーパーノヴァEX』に手渡した。愕然となるアユムとカオリ。

「これは『星落とし(スターシューター)』…どうして君がこれを…!?」

「赤い『スーパーノヴァ』…『レッドジャイアント』…星つながりの名前…」

「赤色巨星…歳を取った星…年月を重ねたアレッツ…」

「もしかして、君は…」「もしかして、あなたは…」


すると『レッドジャイアント』のパイロットは苦笑して、

『ほら…敵を倒すよ。』

目の前の10000機の疑似ホワイトドワーフ軍団を指差す。

「う…うん…」「そうね…」


『ぼくの武器はこれだ。』

そう言って『レッドジャイアント』は、傘の様な武器を取り出す。『アンブレラ・ウェポン』の様だが、傘の部分は骨組みと縁しか無く、まるでビニール傘だ。傘を開く様にそれを展開すると、骨組みの周りの縁の部分が輪の形に広がった。

『「アクセラレーターサテライト」、展開!!』

パイロットが言うと『レッドジャイアント』の背中にあった12個の子機が前方に展開し、4個ずつ3組、傘型武器の前の射線上を取り囲む形で静止する。

『「星喰らい(スターサッカー)」、起動!!』

『レッドジャイアント』のパイロットが叫ぶ。武器の名前も星繋がりか…


『えーい!たかが1機増えた程度で、我々の数的有利に変わりは無いわ!!』

空中の宇宙船のアミキソープ人の叫び声が響く中、10000機の疑似ホワイトドワーフ軍団がザっ!ザっ!と進軍を続ける。それらに向けて、紅と蒼のアレッツがそれぞれ大砲を構える。


『守ろう!!あなた達の未来を!!ぼく達の未来を!!』

「シュートぉぉぉぉぉ〜〜〜!!」


『スーパーノヴァEX』の『星落とし(スターシューター)』から光の柱が伸び、そして『レッドジャイアント』の『星喰らい(スターサッカー)』と呼んでいた兵器の、傘の外輪の中心から少し離れた空間には、どこかで見た黒い玉が発生する。


『何ぃっ!?地球人が何故その兵器を!?』

「君はどうしてそれを…!?」


アミキソープ人とアユムが同時に声を上げるが、黒い玉は徐々に長い棒状になって行くと、空中で4つ並んだ『アクセラレーターサテライト』の中心を通過する。黒い柱は更に伸びていき、2つ目、3つ目の『アクセラレーター』を通過。黒い柱は勢いを衰えさせる事無く伸び、やがて黒い柱の先端は、『星落とし(スターシューター)』の光線と同時に10000機の疑似ホワイトドワーフ軍団の最前列に届き、ほぼ同時に最後尾までを貫く。


荷電粒子の奔流に焼かれるのと、一瞬で全身が消滅するのと、果たしてどちらがましだろうか。初撃で擬似ホワイトドワーフ軍団は1割が焼かれ、あるいは消えた。そのまま『スーパーノヴァEX』と『レッドジャイアント』は、光と闇の柱を、右と左に薙ぐ。2割、3割…10000機の軍団は中央から徐々に焼かれ、消え、『レッドジャイアント』の『星喰らい(スターサッカー)』が横に動くのに合わせて、12機の『アクセラレーターサテライト』も、追随して横に移動する。8割、9割…何千機もの機械の巨人が、わずか数秒で失われ、やがて、2機のアレッツの光と闇の柱が消える頃、疑似ホワイトドワーフ軍団は、跡形もなく消えていた。


『終わった…』『助かったのか、俺達!?』

地球のアレッツ乗り達は数秒の沈黙、その後、


『やったぁぁぁぁぁ〜〜〜!!』『見たか宇宙人どもぉぉぉ〜〜〜!!』


歓声が上がる。地球は救われたのだ。


『それじゃ、ぼくは帰るね。』

そう言って、『レッドジャイアント』は背を向け、再び生じた空間の歪みへと入ろうとする。


「待って!!」

アユムは『レッドジャイアント』を呼び止め、『レッドジャイアント』は歩を止める。


「魔力があまり保たないぞ!急いでくれ!!」

空間の歪みを造っている謎の装置を操作する、ライオスが叫んだ。アユムは言葉を選んだ上で、


「また、会える!?」

そう尋ねると、『レッドジャイアント』は、

『近い内にまた会えるよ。』

そう言い残して空間の歪みの中に入り、その空間の歪みも、徐々に小さくなって、やがて消えた。

そう言えば、『ブラックホール』から手に入れた黒い玉、解析中の兵器に名前をつけろと言われてたのを忘れていた。アユムは空白の入力欄に、名前を打ち込んだ。


Star(スター) Sucker(サッカー)(星喰らい)”


『貴様!!地球人共!!ワタライ・アユム!!』

『どこまで私達の邪魔をすれば気が済むんだ!!』

『おのれ、おのれぇぇぇ〜〜〜!!』


空中の宇宙船から怨嗟の声がする。本当に耳障りだ…アユムは上空を睨むと、静かに言った。


「…僕は政治家でも軍人でもパイロットでも、ましてや正義のヒーローなんかでも無い。僕は僕の言葉しか言えない。だから、僕の言葉で言ってやる…

この地球はあんた達が滅茶苦茶にした物を、僕達が2年かけてゼロから…いや、マイナスからここまで造り直したんだ。それを壊し、奪おうとするのなら、あんた達にどんなどうしようもない事情があろうが、何よりも許しがたい害毒だ!」


そして叫ぶ。


「今、あんた達が味わってる理不尽は、あんた達が僕達にしでかした盛大な理不尽の報いだ!!

消えてなくなれ!この地球から!!僕達の明日から!!」


『ぐぅ…』


アミキソープ人の地球侵攻派は、ソラに連行されて、アミキソープへ帰って行った。奴等にはこれから裁判と刑罰の日々が待っているらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ