3ー2 コンシダレーション Episode2
前回の廃墟での戦闘で得たマテリアルは、2800。アレッツ1機(剣持ち)撃破で1500マテリアル、1機(銃持ち)中破で1000マテリアル、例によって壁のぼりで300マテリアル。得られたマテリアルの一部で、前回の戦闘で損傷した盾やアンブレラ・ウェポンを修理し、残りは今後の消費のために貯める事にした。
戦闘は…2対1という事もあり、苦戦した。剣持ちは近接戦闘用、銃持ちは遠距離銃撃用に特化したビルドだった。父子であるために息が合ってたのかもしれない。アユム機は弱点の無い汎用だが…こういった機体は、特定の戦法に特化した、明確に長所を着けた機体に弱い。前回の戦いでは、それを思い知らされた。
そして、これも前回の戦いで思い知らされた事だが…やっぱりアユムは人を殺せない。あんな物を見せられたら、尚更…
「あの2人…ちゃんとどこかの村に入れたろうか…」
ところで、アレッツは非常に割り切った構造をしている。下半身は移動用、胴にコクピット、上半身は戦闘用で、頭部がセンサー。エンジンにあたるジェネレータは両膝下に1台ずつ搭載されており、ここからエネルギーが、胸部を支える4本のパイプの中を通って胸部のコンバータに流入し、戦闘用のエネルギーに変換され、両腕から武器へ流れていく。
従って、アレッツは膝下を破壊すると大爆発を起こし、胴を破壊するとコクピットがつぶれる。言い換えれば、アレッツをパイロットを殺さず周囲に被害を与えずに倒すには、両肩と両太腿を斬れば良い。
前回の戦闘で行った様な、左肩から左太腿を斬り下ろし、股間から右太腿、右肩を斬り上げる、Vの字の斬り方が、どうにもリアルロボットにはあるまじき挙動だが、実は非常に合理的なのだ。しかし、汎用器用貧乏のアユム機に真正面から斬らせてくれる程、野盗の駆るアレッツはお人好しでは無い。
だから、何としてでも考えないと…パイロットを殺さず、かつ、どんな敵でも確実に倒せる方法を…
その候補となる武装が、今、アレッツのカスタマイズアプリの中で、形を成しつつある。巨大な長銃身リボルバーの様な、武器…
アユムはアプリを閉じ、ブリスター・バッグをしまうと、スクーターを走らせた。だが…
はっきり言って、気が重い…
無理も無い。あの街が近づいているのだ。内地へ渡るためにも、あの街は避けて通る事が出来ない。
アユムの産まれ育った街、そして、アユムをいじめた者達の住む街…
第三話 被害者




