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13ー4 これすらまだ 始まりにすぎない

同時刻、『パンサーズ』アジト、レオの部屋…


「「「………」」」


レオ、犬飼、ソラの三人は、各々呆けた顔をして、画像を見つめていた。


(何だ…!?何だ何だ!?何が起きやがった…!?あの蒼いのが消えたと思ったら、黒いのがバラバラになったぞ…一体何をしやがった!?い、犬飼!!こいつに説明…出来るのか!?)

レオが焦った顔で犬飼を睨みつける。

(む、無理ですよ〜〜〜レオ君〜〜〜俺にあんなの理解出来る訳ないですよ〜〜〜!!)

犬飼も目を白黒させていた。

(アユム君…ただの子供ジャないと思ってたケド…一体、何をやったノ!?)

さすがのソラにも、あの頼り無げな少年が何をしたのか理解出来なかった。


一つ確かなのは、あの理解不能な技は、次はパンサーズのアレッツに向けられるという事だ。

蒼い機体が消え、次の瞬間、獣型のアレッツが、次々とバラバラにされていく…


そうだ、

あの蒼いののパイロットは話し合う用意があると言ってた。おまけにあいつは、アレッツで誰も人を殺していないと言ってた…

(バカな!?俺は何を考えてる!?)

レオは頭をブンブン振り、

「少し…外の空気を吸ってくる…」

と言って、部屋のドアを開けると、


「あ…レオさん…」「ヘッド…」

部屋の外には、パンサーズの構成員ほぼ全員が待ち構えていた。


「レオさん、何すか、あの蒼いのは…」「レオさん…俺達大丈夫ですよね!?」「ヘッドなら、あの妙な奴を倒せますよね!?」


皆、さっきの戦闘を見たのだ。一様に不安そうな声音にレオでもだめかもしれないという彼らの本音が透けて見えた。


「お前ら…散れ!」

レオはしっしっと手を振る。


「「「レオさん…」」」


「解散だっつってんだ!!行けよ!!」

レオの遠吠えに、構成員達は各々の持ち場へ去って行った。


お前は連いて来るな。ソラにそれだけ言い残し、レオと犬飼はアジトの細く曲がりくねった廊下をうねうねと進んでいき、行き止まりの閉ざされたドアにたどり着く。パンサーズの中でも、古参の幹部しか存在を知らない場所だ。


「落合!!出て来い!!」

レオがガンガンとドアを叩く。


「落合!!パンサーズは俺たちと、あんたから始まったんだ!!またあの時みたいに、力を、貸してくれ!!」

いくら叫べど叩けど返事は無い。


「ここニ…いるノネ!?」

後ろからソラの声がした。


「客人!?」「何で連いて来た!?」

犬飼とレオは驚いたが、ソラは、はいごめんなさい、と、二人を退け、自身のブリスターバッグから何本かのコードを伸ばし、先端をドアに貼り付ける。


「そのドアは落合しか開けられねえぞ。」

レオは言ったが、ソラはブリスターバッグのアプリを起動させると、画面に横長の黒いバーが現れ、左側からジリジリと赤くなって行った。


「すげえ…落合さんのセキュリティを…あんた何者だ!?」

犬飼が呻いた。だが赤いバーは半ばまで来ると、そこから全く動かなくなる。


「粘るワネ…しょうがナイ…おーぷん、せさみぃぃぃぃぃぃっ!!」

ソラは拳を握り、ドアをガン!と叩く。その瞬間、赤いバーは画面右端まで到達した。


「「嘘…」」

レオと犬飼が呆然とする中、ドアは開く。が、部屋の中はもぬけの空だった。


「落合さん…」「どこ行きやがった!!」


「ああモウ逃げられた!」

ソラは悪態をついた。


     ※     ※     ※


同日、昼、郡山復興村、村長執務室…


「………」


数日前、ソラが撮ってきたパンサーズアジト内の隠し撮り動画を、アユムに見せられている氷山村長。画面には大部屋にたむろする構成員達が写っている。


「ここにいない者も含めると三十人くらいか…この村を襲って食料を奪って食ってくには、人数が多すぎるのだよ。組織には丁度よい大きさという物がある。おおかた親分だのヘッドだのとおだてられていい気になって、子分を集めすぎたんだろう…」


次に写ったのは、ヒョロヒョロの作物が植えられた畑。


「ジャガイモか…うちの村から奪っていった物を種芋にした様だが、たくさん実を得ようとして、種芋を小さく切りすぎたな…そんな基本的なことも知らんのか…もっとも、工場なんかの跡地は、私だったら畑を作る候補地から、真っ先に外すがね…」


ピッ! 動画再生終了。


「…で、これが何か!?」

まるで自分は無関係だとでも言わんばかりの村長。


「彼らは生活に困窮してます。その上僭越ながら、僕が、問答無用で敵を倒せる技を会得した事で、奴らは追い詰められています。」


「そのまま全滅させてくれたまえ。後腐れ無い様に、ね。」


「一度だけ、話し合っていただけませんか!?」


「…渡会君…!」

村長はアユムをギロリと睨んだ。もし彼がレオの顔を見た事があったなら、彼の目力に通じる物を感じただろう。

「…以前の警告を理解出来なかった様だね。君達はこの村から追放だ。明日の朝には出ていってもらう。」


グッ…アユムは奥歯を噛み締め、頬に鈍い痛みが蘇る。


「だいたい君…目上の人に会おうというのに何だね、その顔は!?」

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