母違いの妹をいじめた罪で私は婚約破棄されました。でも私は彼女をいじめてなどいなかった。妹もそういうのですが皆が私をいじめの犯人と言い…私は妹を信じていました。でも真実を映す鏡で妹の本性を見てしまい…。
「お姉さま、リリシア・ランヘイズです。よろしくお願いいたします」
なんと美しい少女か、私は半年前にお前の妹だと連れてこられた少女を見てそう思いました。
長い金の髪、そして青い瞳は空の色…。
「…ミレシア・ヘイズ・カートレットよ。よろしくね、リリシア」
私たちは姓が違います。母方の姓を私たちの国では名乗るからです。
母の血筋が絶対の「女系」の国でした。
そんな中、父が子爵令嬢と浮気をして産ませたという少女を連れてきて…。
私の母が死んだあとだからでしょう。
子爵令嬢が彼女を生んで死に、そして…彼女は引き取り手さえなく孤児院に入れられたと聞きました。
もっと早く引き取ってあげることができれば…。
まるで天使のような愛らしい少女にみな夢中になりました。
父と私に向ける笑顔はどこか悲しげで影があったのです。
「お姉さまはお優しいのですね」
「そんなこともないわ」
私は苦笑いで返すしかありませんでした。だって母が生きていたころに浮気をして妹といっても半年違い…。年齢はほぼ同じという。
その妹を引き取りたいといわれて私も複雑でした。
リリシアはどこか影がある少女で、いつも笑っていました。
私は婚約者である王太子殿下にリリシアを紹介したとき、どこか上の空だったのだけが気になってはいましたが…。
控え目でいつも一歩下がり私を立てる…。
奥ゆかしいと私はリリシアのことを思っていました。
しかし…。
使用人たちが私がリリシアのことをいじめて、ケガをさせたり、ドレスを破いたりしていると噂をはじめ、私はそんなことはしていないといっても噂が外に流れていきます。
リリシアはそんなことはされていませんと使用人に言うのですが…それを信じる人はいませんでした。
そして…。
私は殿下に呼び出されてしまい。
「ミレシア・ヘイズ・カートレット、妹のリリシアをいじめてケガをさせたり、ドレスを破いたり、死んだ彼女の母の悪口をいったりしたそうだな!」
「いいえ、そんなことはしてませんわ」
「皆がお前がリリシアをいじめたといっているんだ!」
私が否定しても、殿下は信じてくれず…。
「お前がそんな女だとは思わなかった。婚約破棄をして辺境に送る!」
私はそう殿下に宣言されてしまったのです。
リリシアがいじめているといったのですか? と言ったら彼女はそんなことは言っていないと殿下は言うのです。
リリシアは私が辺境行の馬車に乗せられるのを止めようとしていました。
「お姉さまは私をいじめたりしてませんわ!」
「…リリシア」
私は…そのまま馬車に乗せられ辺境の修道院に送られたのです。
「ふーん…」
「ミリア?」
「あたし、あんたがここに送られた理由を聞いたけど、あんたしてやられたね」
「え?」
「その妹にさ」
北の修道院は素行が悪い貴族の娘が送られると聞いていましたが、ミリアは同室になった子ですが、男爵の娘でありながら、傷害の罪を犯したせいでここに送られたそうです。
「でもリリシアは…」
「自分でドレスを破く、そして自分でけがを作る。そしてどうしたのです? と聞かれてなんでもありませんわと泣く…それだけで人は想像を働かせ、あんたをいじめの犯人にするのさ」
ミリアも実はそうだったというのです。
彼女は妹がいつもわがままばかり言うのに疲れ果てていたそうですが、また口がうまい妹で、いつも悪者がミリアになったそうで。
とうとう婚約者をとられたミリアは腹が立って妹に怪我をさせここに送られたそうです。
「証拠もありませんし…」
「あんた優しすぎるね。そうだ、真実の鏡に聞いてみるといいよ。ここの宝物庫にあるって聞いたし」
ミリアを私は止めましたが、真実の鏡に映せばわかるってと私は夜に宝物庫に一緒に忍び込むはめになり…。
「…真実の鏡よ、ミレシアの妹、リリシアの真実を映し出せ」
ミリアの呪文とともに鏡が光だし…妹の姿が映ってきたのです。
妹がナイフで自分の手を傷つけたり、ドレスを引き裂いたりする姿が映っていました。
そして使用人がどうしたのです? と聞いたとき泣くのです。
そしてお姉さまには言わないでと…。
「…ほら、やっぱり!」
「……」
私はじいっと鏡を見ていました。同じような光景が続きます。
殿下に姉が君をいじめたのか? と聞かれただリリシアは泣いて、お姉さまには言わないでとまた泣くのです。
「おかわいそうなお姉さまって…」
「…おかわいそうってか」
「…私、バカ見たいなお人よしだったのですわね」
ああ、私はどうしたらいいのかと泣きました。
ミリアが一緒に復讐しようというのです。でもどうやって?
「あたしは、神官を一人味方に引き入れた。ここから二人で逃げ出すのさ、この真実の鏡をもってね」
「でもそれは泥棒…」
「ただ借りるだけ、あたしたちの潔白を晴らすためさ」
私は鏡を手に、さあ逃げるよというミリアについていく形で修道院を脱走しました。
そして…。
ミリアが伝手をたどり、陛下にとうとう会うことが出来たのです。
「ミリア・ユークリッドとミレシア・ヘイズ・カートレットか」
「申し訳ありません陛下…」
「よい、多分…あれのことだろう。ミレシア、君を修道院に追いやったのはクリストのバカの一存だ。君を連れ戻すつもりではいたのだ。ミリアユークリッドお前は別だが」
「…それはひどいね」
私は陛下に真実の鏡に映し出された真実をお見せしました。
ミリアの妹の悪さも映し出されましたが、でもミリアは妹に大怪我をさせた罪は帳消しにはできないといわれてしまいましたわ…。
「…ミリア、妹の罪はわかった。お前の罪は減じよう、そしてミレシア…」
私は陛下が新しい婚約者に妹がなったということを私に告げ、私は知っていますと返事をしました。
陛下曰く、あれは毒蛇だと妹のことをいうのです。
「毒蛇?」
「周りを巻き込み、国を傾ける女だが…もうあれを巡ってクリストと第二王子のレオニルが争いを始めた…」
陛下はふうとため息をつきました。
そして…私に婚約式に出るようにといったのです。私はそれを了承しました。
「…リリシア・ランヘイズ。お前は姉に妹いじめの罪を着せた罪によりここに私は婚約を認めず、お前を辺境送りとすることを決定した!」
「…陛下、私は…」
「父上!」
陛下が兵を呼び、そしてリリシアを拘束しました。私はそんなことはしていませんわとリリシアが泣くと、殿下が止めようとします。
「クリスト、お前は無実の罪でミレシア嬢を婚約破棄し、辺境送りにした。それは許しがたい、お前は廃嫡の上幽閉する!」
「父上!」
私は真実の鏡を手にこの騒ぎを見ていました。
リリシアの数々の罪が鏡に映し出され、ざわついていた人々も黙り込みます。
「鏡は絶対だ、真実しか映さない」
私はリリシアがこちらを見てお姉さま、助けてというのを聞きました。
でも私はただ黙って連れられて行く彼女を見送ったのです。
真実の鏡は修道院に返しました。
その前にリリシアの過去を見てみたのです。
…いつも何も言わず、ただ自分は悪くない。と言っていたリリシアを見たのです。
その儚げな美しさからは信じられないほどの過去の罪がありました。
人を操り…そして…。
「あれは毒蛇だ」
「ええ…」
私は陛下にまだ小さい第三王子の婚約者にと言われましたがお断りしました。
そしてミリアの罪をお願いをして恩赦してもらい、私はミリアと二人で旅に出ることにしたのです。
「なんで…」
「遠くに行ってみたいってミリアが言っていたのを思い出しまして」
「…あんたって本当甘ちゃんだね」
「うふふ」
友達と一緒に私は旅に出ることにしたのです。
様々な街を巡り、そしてもしかしてまた恋に落ちることもあるかもしれません。
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