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④琉球の風

チェリーボーイ高校一行を乗せた航空機は、那覇空港に無事着陸した。



麻生はあれから修学旅行の出発まで、針の筵むしろの様な毎日を過ごしていた。


2年女子全員を敵に回し、登校中、廊下、部活中にも、陰から指をさされて笑われる様な毎日が続いていた。



「まあ仕方ないよ麻生ちゃん、これも運命。人の噂も七十五日ってね」



二、三カ月もかよ、2年終わっちまうぞ。


出発前にポワンちゃんからもなぐさめられた。



「あはは、あのこれも身から出た錆ってことで。まあワタシだけは味方ですからねっ!」



そういわれて、麻生たちはいま沖縄にいる。



初日の観光地は、申し訳ないがほとんど頭に入らなかった。


1泊目のホテルは、ちょっと名前が知れているリゾートホテル。


先生からのせめてもの気遣いか、洞庭ほらにわと小名似おなにと同室にしてもらっていた。



夕食も風呂も終わり、3人で散々他愛の無い話で盛り上がった後。


二人はもうベットで高いびきをかいている。



そう、麻生は嘘をついていた


本当は、本やネットで調べれば、『女性の秘密』についてはおおよそのことは分かる。


ただ、麻生には、何か踏み込んではいけない領域、犯してはならない領域のような気がしていて。


「それ」に対して正確な詳しい知識を得ることは、自分から拒んでいた。


女性の裸や、セ〇クスについては、人一倍興味があるくせに。



翌日『沖縄村』という観光地にバスが付いた時


2年の女子が、いつの間にか全員姿を消していた。



「おい、2年女子どこ行ったんだ?」



まさか、例の闇の指令が発動されたのか?



男子がお祭り広場の様な所にあるステージへ誘導され、着席したところ


大きな破裂音が鳴り響き


沖縄の民族衣装に身を包んだ2年女子が飛びだして来て、思い思いの振り付けで、沖縄の民謡に合わせて踊り始めた



「こ、これは?」


「サープラーーイズ!ww」



今川義子がうれしそうに、腕を組んだまま2年女子の舞踊を眺めていた。



「うちはほら、女子少ないしね。募集でもっと女子を集めるための宣伝効果もあるって事」



 ◇  ◇  ◇



「そうなんですよ、私も知らなかったんですけどね、あれはチェリーボーイ高校恒例のサプライズの打ち合わせだったんですって、貸衣装を着て踊るときに用意するものとか」



旅行から帰って、ポワンちゃんはすぐに麻生を心配して逢いに来てくれた。



「だいたい最近は、LGBTとか難しい問題もあるので、『あの』ことについては女子だけ集めて説明とかはあんまりやらないらしいですよ。プリントを女子に配るだけとからしいですよ」


「あ、ああ。そうなのね」


「それにしても麻生先輩!」



ポワンちゃんはいたずらっぽく微笑んだ。



「もうちょっと、女の子のからだとか、生理とかについて正しい知識を持っていた方がいいですよう。女の子といざセ〇クスでもしようって時に、女の子のからだがその時どういう状態になってるかとか、もっと興味をもって下さあい」


「あ、ああ。ほんとうにそうだね」


  〔了〕

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