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②深まる謎

ある日の放課後、いつもの非モテ男子三人がダベっていると、ポワンちゃんが友達の筆下ふでおろしちゃんと数寄物すきものちゃんを連れて遊びにきた。



「ねえ、ウインクキラーやりません?」



説明しよう。


トランプのウインクキラーは、「ウインクされたら負け」というただそれだけの非常にシンプルなゲームである。


秘かに女子が好きな男子に告白する場を設定することに使われたり、ウブな男子に女子がマウントを取ることなどにも使われることがある。


ルールはシンプルで、ジョーカーを一枚加えた人数分のトランプを一枚ずつ全員に配り、ジョーカーを引いた『キラー』役が、それ以外の『市民』に気付かれずにウインクをして『市民』を減らしてゆき、市民が残り一人になったら『キラー』の勝ち、途中で市民にウインクをしているところを他の市民にみつかって『ウインク!』と指摘されたら『キラー』の負け、というもの。(見破る際証人が必要なもの、共犯者があるものなど地方によってルールは様々ある)


すでに3人の男子は真っ赤な顔をしてテンパりかかっている。


麻生は、嫌な予感しかしなかったが



「いいよ。で、負けた人はどうするの」


「そうですねえ、同じ人が3回負けたら、指名した相手のいう事をひとつだけ何でも聞く、っていうのはどうですかあ?」


「おもしろいな、やろう!」



洞庭ほらにわ小名似おなにはもう下心全開だったが、麻生はこの機会に、懸案の『女子の謎』について聞いてみようと思った。



「それじゃ、はじめますよう」



最初は数寄物すきものちゃんにジョーカーが渡った。誰がジョーカーをもったキラーだかわからないのがこのゲームの醍醐味だ。



しばらくの様子の探り合いの後、数寄物すきものちゃんが小名似おなににウインクを仕掛けた。



小名似「あっ! ああウインクぅぅ!」


数寄物「えっ?」


小名似「えっ?」



他のみんなが、仕方ねえなという顔をして小名似に教えてやる。



洞庭「小名似よお! 違うって! ウインクされちゃった市民は5秒くらいしてからカード出しちゃって降参するんだよ」


小名似「ああ! そっかそっか。なにせ女子とトランプするのなんて幼稚園以来だから……」



こいつ大丈夫か?



数寄物「小名似先輩― バツ1回ですう!」



ウインクキラーはこの後、ポアンちゃんが男子3人に高速連続ウインクのジェットストリームアタックを仕掛けるなど大盛り上がりになった末に、筆下ふでおろしちゃんにバツが3つたまり、罰ゲームをする事になった。



筆下「えっとねえ、じゃ麻生先輩で」



一番あぶないオーダーをしそうもない麻生を選ぶという、女子のカンだろうか、賢明な判断だ。



ポワン「じゃあ麻生先輩、オーダーをどうぞ!」


麻生「えっとじゃあね、よく修学旅行前に、女子だけ別教室に呼ばれてるじゃん? あれ何話してんの?」


筆下「はあっ?」


洞庭&小名似「えっ! えええええッッ!!!」



全員の空気が凍り付いた。



洞庭「麻生ちゃん! 頭おかしいんじゃね? なんでこんな大切なカードをこんなことに使うかねえ!!」


筆下「バッカじゃないんですか!」



筆下はアスカの様に、怒って出ていってしまった。



小名似「あああ~ せっかくいい雰囲気だったのにいい~~」



ポワンちゃんは、そっと麻生に耳打ちをした。



「麻生先輩、このことは、あんまりみんなの前で言う事じゃないですよう」



謎は深まるばかりだった。




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