第二章☆タッチの差
「修一、ひよりちゃんが……」
「どうした?」
美佐子はテーブルの上の書き置きを修一に見せた。
ごめんなさい、ありがとう、さよなら
修一と美佐子は、きっとひよりが迷惑をかけまいと出ていったのだと思った。
バタン!
どやどや。
アパートのドアを破って黒ずくめの男たちが突入してきた。
「あの娘はどうした?!」
「いません!」
「やはり、勘が鋭いだけじゃないようだな」
「ちょっと待て!」
修一は男たちに怒鳴った。
「あの娘が何をしたっていうんだ?!それにひとんちのドア壊して、不法侵入だぞ!!」
すると、男の一人がふところから札束を取り出してテーブルに置いた。
「口止め料だ。あの娘には今後いっさい関わらないでくれ」
男たちが去ったあと、修一と美佐子はお金を前に、「関わるなって言われたら、余計気になるよな」と、にやりと笑いあった。
「ひよりちゃんは鳥のロボット連れてるな?よし」
ノートパソコン引っ張り出してひよりの足跡をたどる。
「西に向かってるな……」
「どこかあてがあるのかしら?」
「わからん」
映像を切り替えて、鳥ロボットの見ている景色を映した。
「巨大な白い風車が見えるな。発電所かな?」
「山の上みたい」
「あ、ダムが映った」
ダム湖の側を急いでいるようだ。
「あっちには西方研究所があったな」
「研究所?ひよりちゃんは嫌がってたんじゃないの?」
「あの研究所だとは限らんし……」
二人はひよりの追跡を続けた。