プロローグ☆少女
「美佐子、髪の毛食ってるぞ」
「えー、やだ」
遊園地のデートで、ソフトクリームを食べていた二人。風で美佐子の長い髪がソフトクリームにくっついていた。
「やん、べとべと」
「どれ、じっとしてろ」
修一が美佐子のソフトクリームをがぶがぶ食べた。
「だー!食べて良いって言ってない!」
「いーじゃん、髪はきれいにとれたからさ」
「ちょっと!そっちのソフトクリーム食わせろ!」
「やーだねっと」
きゃあきゃあ言いながらじゃれ合っているカップル。それが美佐子と修一だった。
パン!
なにか破裂する音がした。
二人が音のしたほうを振り向くと、一人の少女が青ざめた顔で懸命に駆けてくる。
「どうしたの?!」
「た、助けてください!追われてるんです」
「なんだって?」
修一が少女の後ろから追いかけてくる黒ずくめの男たちを睨んだ。
「きゃー!!!あの人たち、銃を持ってるわ!」
美佐子が悲鳴をあげた。
「見られたぞ」
「ちっ!ひくぞ」
男たちは撤退していった。
「どうしようか?」
「とりあえず美佐子のアパートにかくまおう」
「すみません。ありがとうございます」
少女はまだ青ざめた顔で二人に礼を言った。
「何があったの?」
「すみません。言えないんです」
「訳ありか……」
「警察は?」
「だめです」
これは厄介事を受け入れちゃったな、と美佐子は思った。美佐子は修一を見て、少女を見つめている彼に嫌な予感がした。