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空からUFOが軟着陸したので乗ってみる事にした  作者: くをん
第一章 空からUFOが軟着陸したので乗ってみる事にした
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俺のフットサルサークルメンバー大ピンチ! 早速仲違い発生!

アホな話から更にアホな展開になっています。すみません。

「何か文句でもあるのか? このバーベキュー野郎」

 俺はメロスに裏切られたセリヌンティウスの様な侮蔑の視線を向ける。

「上等だ! このカス! 俺がどんな思いで孤独を味わったか肉弾戦でとくと味わわせてやる!」

 奴も負けてはいない。冤罪のセリヌンティウス鳩ヶ谷(←何か新築分譲マンションの名前みたいだね。てゆーかメロスじゃないんだ)は悪鬼羅刹の表情で俺に掴みかかって来た。


「オイオイやめろよお前等。旅先で初っ端トラブルなんて俺は賛成しないぜ」

 ゲーム機械装備してないのに深谷はいきがっていた。何だこのゲームボーイ。いらねーんならPSvita破壊するぞ。


「でもさー確かに鳩ヶ谷がキレるのも無理ないんじゃない? 一人で神風特攻隊になったのは自業自得として、その後単独行動であの勝ち組連中の接待に勤しんだんだから」

 浦和はやぶ蚊に刺されない様に虫よけスプレーを着衣に散布しながらそう宣告。マネージャーの彼女にとってはその労苦が分かるらしいが、んなこた今はどうでも良いぜ。


 ――そう。あの後俺等トリオは敵前逃亡したのだ。そして今自室の大部屋にて新たな作戦会議&一悶着を起こしていた。


「そうだ。だからこそお前等にはちゃんとした謝罪とそれに伴う慰謝料を請求する。俺にはその権利があるはずだ」


 何言ってんだコイツ?


「慰謝料の代わりに反省文でも構わないぞ。400字詰め原稿用紙換算で200枚くらい」

 どんだけ壮大な反省文だよ! 小説新人賞にでも応募するのか!? 下読み審査員も頭抱えて逃げ出すぞ。

「だがなあ~これだけは言わせて貰おう!」

 鳩ヶ谷は何やら訝し気に顎に手を添えてこう言いました。何だ何だ? 一体何が始まるんですか?

「あいつらの作ったバーベキューはとんでもなく美味だった。確か神戸牛を仕入れたとか何とか……」


 ……そうか。やっぱりバーベキューは旅の醍醐味だよね。


「深谷。これから奴の死刑執行の準備に取り掛かる。太いロープと長椅子の用意は良いか?」

「ラジャー。こちらで問題ないでしょうか?」

「OK。浦和は部屋の鍵を閉めてくれ。鳩ヶ谷が逃亡するかもしれん」

 スタタタ! ガシッ!(←鳩ヶ谷フルダッシュ! そして浦和に首根っこを掴まれるSE)

「そ、そそそそんな! この期に及んで殺生な! お、俺達は――ほ、ホラ仲間だろ? 一緒にミステリーサークル探そうぜ!」

「私はあんたの顧問弁護人にでもなろうかと思ってたけど……残念ながらそうはいかなくなったわ」

「これって何? 何かのドッキリだろ? そろそろ種明かししても良い頃合いなんじゃね? てゆーか人権無視だろ!」

 浦和はいつになく恐怖の闇に潜んだ悪の中枢にひっそりと佇む女暗殺者の鬼に扮してこう呟く。この人マネージャーです。一応俺のフットサルサークルの。

「ドッキリ? そうねえ出来ればそうしたいのは山々なんだけれども……神戸牛の妬みは忘れ難いわね」


 まさかのNOドッキリ神戸牛の妬み! 確かに彼女はそう言い――


「UFO? ミステリーサークル? UMA? 今更そんなもんどうでも良いわ! 今すべき事。それはあなたの腸から神戸牛を果物ナイフで抉り出す事よ!」


 ――余裕綽々で禁忌を破る。俺達の目指すべき本当の目的を。てゆーか彼女が持っていたのは果物ナイフではなくて軍用のもろゴツイアーミーナイフでした。シルヴェスター・スタローン主演の映画『コブラ』の超悪役殺人集団――ナイト・スラッシャー――の主要人物ブライアン・トンプソン演じる筋肉マッチョなボス格の敵が装備しているのとそっくりな……。


 何だこの無駄にホラー。


「助けて! コブレッティー警部補!」鳩ヶ谷のラストオーダーはこれにて終了。


 ぶっといナイフが彼の鳩尾を抉り、貫通。恐るべき神戸牛の魔力は血飛沫と共に全てが赤く染まる。

 いつの間にか保守派に転じていた俺と深谷は手を出すまでもなく見学。てゆーか恐怖で全てを彼女に任せるしか選択肢が無い。


 恨むなよ鳩ヶ谷。恨むなら神戸牛を恨め。


 そんな困難な事件があって数時間後。さすがに鳩ヶ谷の不幸を憐れんでか救急隊員である俺と深谷の必死の特別緊急措置――輸血パックと人工臓器×3使用――により何とかしてバイタルを正常値まで引き上げる事に成功。

 彼、鳩ヶ谷は奇跡の復活を遂げた。蘇生完了である。


「――んで? 俺達はここまで何しに来たんだっけ?」


 仮死状態のショックでこれまでの経緯を忘れてしまった鳩ヶ谷。何故か御尤もな意見である。

 血で染まったアーミーナイフとTシャツをビニール袋に仕舞い込んで、マネージャーの浦和は何事もなかったかの様にサラリと言ってのける。


「ミステリーサークルとそれを作ったUFO。つまりUMA探索合宿をしに来たのよ♪」


 虚言虚飾もここまでくると立派だ。今目の前にいる殺人鬼は最早人ではない何かだ。


「でも、もう8時過ぎてるよ。聞き込み調査は明日にする?」と、深谷。

「そうだな。そうしよう。てゆーか俺は正直腹減った」と、川口事俺。

「私はお風呂に入りたい」と、女マネージャー浦和。

「仕方ない。今日はこれにて終了。解散! 皆、自由時間だ。それぞれ個人で動いて良いぜ」


 ――わーい――


 先行き不安定な合宿初日は取り敢えず1人の犠牲者も出ずに何とか終了した。

 ここから先は未知の領域だ。

ここまでアホな展開に付いてこれたあなたは勇者か賢者でしょう。

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