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空からUFOが軟着陸したので乗ってみる事にした  作者: くをん
第一章 空からUFOが軟着陸したので乗ってみる事にした
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諜報作戦失敗

アホな話です。

 近代兵器技スマホでググる! ――に気付かず地道に聞き込み活動に専念する俺達。


 宿泊施設のコテージには意外にも俺等の様などっかの大学サークル仲良し男女グループが別の部屋に出没していたりと大変忙しかった。


 この静岡県のやぶ蚊がブンブン唸っている山ん中で、まるで――俺等は勝ち組スーパースター軍団だ!――と、言わんばかりに他の宿泊客とカルテルを形成。俺達、ミステリーサークルツアーの完全敗北者(川口、鳩ヶ谷、浦和、深谷)の今出来ました的中小企業には目もくれずに手持ち花火を振り回してキャッ♪ キャッ♪ と、はしゃいでいる。


「何かイラッと来るわね意味わかんないけど」

 最初に怒りの抗議を上げたのは女マネージャー浦和。


「早く死ねば良いのに」

 深谷は真顔でザキかアニミズムか丑の刻参りでも執行しようとしている。


 このまま奴等をスルーするのも何だか遺憾なので俺が代表となって模範を示そう大人の対応を見せてやるぜ二十歳舐めんな成人式終わってんだぞ的クールな日本人を演出、アピールしようと前に出た時――何者かの片手が俺を制した。


「ここは俺に任せとけ。大人のやり方を見せてやる」

 意外な不意打ち。いや、ホント言葉が出てこない。何せ俺達のグループの中で最も誠実さに欠ける男がそんな事を言いだしたのだから……。何、お前もうすぐ死ぬの?


 鳩ヶ谷である。面倒臭い事にはとことん首を突っ込みたがらない歴20年の男が何をどう人生トチ狂ったのか、東京都知事選に立候補した様な悪魔の錯覚である。ある意味どんな政治家になるのか見物ではあるが……。


 俺の脳内リサーチで他に戦力となる者がいなかったのも悲しき現実だったので――


「良し分かった。上手くやって来い」

「うっし。交渉成立だな」

 ――鳩ヶ谷は神風特攻隊として空軍のパイロットになった気分で戦場へと歩き出した。


「――ん? 失礼ですが誰ですかあなた」

 手持ち花火で遊んでいた恐らく同世代と思しき大学生サークルの1人が、何かを運びながら最初の異変に気付いた。

 独占禁止法が施行されてる現代でカルテルを形作ってる時点で俺達としてはマナー違反、ルール違反の掟に背いた行為なのだがその男はおくびにもそんな様子は見せやしない。勝ち組の典型例だ。


「――あの……」


 鳩ヶ谷は何かを言おうと先制攻撃を仕掛けはしたのだが――

「ああ、もしかして新しい宿泊客? 良ければ僕等とバーベキューでもしませんか?」

「え?」

 いきなり機先を削がれた。その男性が持っていたのはバーベキューの機材だったのかと今更ながらにして気付く。

 名前も知らない今後出てくる予定も無い彼はニコニコ笑顔で親切心抜群の社交性を発揮し、袋のネズミと化した鳩ヶ谷はさすがにやり場に困ったのかこちらにアイコンタクトを送って来た。


 ――オイオイどーするよコイツかなり良い奴みたいだぜ?――


 俺は喉元を親指で掻っ切るアサシンの仕草で迷いなくジェスチャーする。


 ――殺れ!――


 ……なるほど。これが奴等の作戦――と、俺だけではなく浦和と深谷も敵ながら天晴れと愉悦に浸っていた。つまりこれは挨拶がてらの吸収合併。笑顔のファシズムで俺達の持ち株全部もぎ取ったろかい! と、いう訳だ。それに従わなければ貴様等の幹部(鳩ヶ谷?)を生贄に捧げるぞ! と言う脅しだと言う事にしておこう。根も葉もない嘘か真か分からないが。


 兎にも角にも今急務なのは鳩ヶ谷本人である。奴等の作戦に意のままにコントロールされている。


 ――無茶言うなよ!――


 ――これは我が社の命運を懸けたイベントだ。社員の1人や2人、どうって事ない――


 何となく遺憾だったので(深谷に至っては『リア充没! バイバイ鳩ヶ谷お疲れー――草』等と暗号ジェスチャーを送信していた)俺はそうジェスチャーを送る。企業規模拡大に犠牲は付き物だ。


「あれ? 君、一人旅? 面白いね。何か話聞かせてよ。バーベキューおごるからさ」

「あーいや、その俺1人じゃないんで。あそこに3人仲間達が待ってるんでそいつ等と一緒なら……」


 ――と、親指を指し示した方角には既にその謎の3人組は嘘の様に姿形を消していた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

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