終章 1
昔々、アーベルという騎士がおりました。
魔術師によって、人も動物も光になって消滅する呪いがかけられた国を救うため、彼は闇の魔術を求めました。
そして賢者がいるという聖なる山へ登ったアーベルは、様々な苦難を乗り越えます。
自分の心の闇を再確認させられ、闇の中に同化する恐怖と戦いながらも、彼が全てをやり通したのは、国で待つ家族や愛する人々への思いがあったからでした。
しかし全ての試練を通過したアーベルは、最後の決断を迫られました。
闇は死に通じる力。
使えばかならずアーベルは死んでしまうのです。
けれど彼は迷いませんでした。
初めから全てを覚悟していましたし、試練の間に、より強く故郷を救う決意を固めていたからです。
アーベルは、自分の命と引き替えに呼び出した闇で、光の呪いを打ち払いました。
彼は英雄と讃えられました。
その姿を目の当たりにした人々によって、アーベルの偉業は語り継がれるようになったのです。
それから百年も過ぎた頃。
レーヴェンスという国が、隣の国に侵略されようとしていました。
隣の国は伝説の炎妖王の術を使ったので、皆レーヴェンスは滅びると思っていました。
しかし第一王子が立ち上がります。
彼はある娘の協力を得て、闇の術を得る事ができました。
王子と娘は、戦場で闇を呼び出しました。
王子を中心に地からわき出した闇は、二人を覆い、そして炎妖王の術を操る魔術師と炎の柱を覆っていきます。
やがて闇が消失した後、幻だったかのように炎は消え、巻き込まれた者達は皆倒れていました。
最大の盾であり武器でもあった魔術師を失って、敵国の兵は逃げてゆきます。
そして闇を呼び出す代償に命を捧げた王子と娘は――。




