表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それが最後だと言うなら、私はあなたと  作者: 奏多


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/32

くらげの兄弟に関する考察 4

「ユーディットはまだ起きているのだろうか」


 エリオスが、幌の布を通してこぼれる光に首をかしげた。

 彼女が幌馬車の中に入ってから、一巡時は過ぎている。

 エリオス達も敵兵を警戒して全ての明りを消した上で休むところだったので、よけいにその光が目に付いたのだ。


「点けたまま眠っているのではないですか? 叱ってまいりましょう」


 エリオスの隣にいたハインツが立ち上がろうとした。が、それよりも先に、馬車に近いクリストが立ち上がる。


「俺が見てきますよ。ほら、お目付役は早々に王子を休ませてやるといい」


 からかわれたハインツは不満そうな表情をしながらも、エリオスをテントの中へ移動させようとした。

 クリストは馬車に近づくと、まず外から声をかけた。


「ユーディット?」


 しかし三度声をかけても返事がないので、出入り口を覆う布を持ち上げて中をのぞく。

 案の定、ユーディットは毛布にくるまって眠っていた。


 やれやれと思いながら明りが灯ったままの角灯に手を伸ばしたクリストは、その近くにあった本に目をとめる。

 読んでいる途中だったのか、ユーディットの手から落ちたのだろう位置に投げ出されている。


 思えばこの娘は、大事そうに黒い本を抱えていたなと思い出す。

 角灯の側に置いて、万が一燃えては可哀相だろう。そう思って本を持ち上げたクリストだったが、


「……開かないぞこれ」


 適当に持ち上げてしまったので、ばさっと開いてしまうかと警戒したクリストは、のりで密着させたかのように開くことのない本に首をかしげた。

 試しに、ページを開こうとしたが、それもできない。


 変な本だった。

 けれど彼女にとっては形見かなにかなのかもしれない。

 そう思ったクリストは、ユーディットの腕に抱えられそうな位置に本を置き直して、角灯の火を消した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ