魔王を倒したら冤罪かけられたので、婚約者とイチャイチャスローライフを送ります!! ~真実の愛は無敵だ!~
読者様へ
えーと、作者です。
まあ、はい。
作者的にはイチャイチャスローライフを書くつもりだったんですがね?
いや、本当ですよ?半分ぐらいは。
あー、うん。
でもさ
こうなっちゃったもんは、しょうがないと思うんだよね俺。
と、開き直る作者より
俺は魔王と倒した勇者パーティの一人、十七歳にして賢者の称号を手に入れた天才とまで言われた。
俺には愛する人がいた。
勇者パーティの一人、剣聖アリア。『剣の乙女』と呼ばれており、その戦い方は誰もが魅了された。
彼女と俺は幼馴染で婚約者だった。
そして俺の妹、聖女ユリアナ。彼女もまた勇者パーティの一人。回復魔法が得意で何度も助けられた。
俺は賢者であり勇者ではない。
勇者は世界を救うためにこの世界に降り立った『異世界の勇者』と呼ばれている。勇者タケル。
俺達四人は魔王討伐の旅に向かっていた。途中で何度も困難はあったが魔王城に辿り着き、激闘の末、魔王を倒した――――賢者ディラン、つまり俺だ。
勇者ではなく賢者が魔王と倒すという事態に王国の幹部共は焦った。
何故なら勇者タケルはもう既に王女と婚約を交わしているのだ。
魔王を倒した勇者が王族を結婚したことで、民衆からの支持を得る――――という筋書きだったのだ。
そんな時に勇者はこういった。
『賢者ディランは魔王と内通していた人類の敵です』
民衆の前で、確かにそう言ったのだ。それに対して王族は何も反論しないどころか『この者を罪人の塔で拷問しろ』と言ったのだ。
そう、王族と勇者タケルはグルだった。
俺は魔族ではないことを知っておきながら、あえてそういうことにしたのだ。
王族の言葉に民衆は何の疑いもせず俺へ怒りを向けてきた。
そんなクズ共にまんまと嵌められて俺は罪人の塔に投獄された。
そして意味の無い冤罪の拷問をしたのは――――俺の愛する人、魔王からの攻撃を身を挺して守った存在、アリアとユリアナだった。
毎日のように身体を刺され、指を斬られ、治癒魔法で回復する。
食事は一日一回貰えるカビの生えたパン、
塔には光が無く外に出してもらえることも無い、
そして愛した彼女たちは異様な殺意を瞳に宿して話さえ聞いてくれなかった。
辛かった、何故そんなことをするのか分からなかった。
もしかしてコレが愛なのだろうか?
痛みを乗り越えた先に真実の愛があるのか?
この拷問こそが君たちの『愛情表現』なのだろうか?
いいや、そうだ。そうに違いない。
そうでなくては説明が付かない。彼女たちがまるで洗脳支配でも受けているかのようなこの状況はきっと『愛』なのだろう。
そう、これは愛だ。愛じゃなければ何だと言うのだ?
これは――――愛だ。だから『僕』は幸せそうに笑った。
いつか来る愛を願ったら『ダメージ経験値変換』という『愛を受ければ受けるほど経験値が増える』というスキルに目覚めた。
ああ、これで彼女たちを『幸せ』に出来る。なんて素敵なんだ。
だから笑った。
身体中から血が噴き出しても笑い続けた。
来る日も来る日も愛をくれることを喜びを考えて過ごした、そして何年か経ったある日、彼女たちはおかしくなったのだ――――
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「お兄様! 私、わたしぃ! うわああああああああああああああああああああああああああああああああん」
何故か僕の鎖を外して泣きながら抱き着いてきた。
「私達……洗脳支配のスキルを受けてたのっ! それで、それで……うわあああああああん!」
「勇者タケルが死んで、王国も支配から抜け出して……それで!」
何言ってるんだ?
洗脳支配……? もしかして二人は『今』、洗脳支配を受けてるのか?
そっか、じゃあ僕がその洗脳支配を解いてあげないといけないな。
だって――――――――真実の愛が僕にはあるから。
◇ ◇ ◇
「ディラン! さ、早くこんなところを出ま――――」
まず手始めに僕はアリアの腹を殴った。
その瞬間に〝レベル724〟の時に習得した『不死』の魔法を掛ける。
「な、お兄、様……?」
次に僕が愛している妹の頬をぶん殴った。顎の骨が砕けたのがゴキって音が聞こえた。
もちろんここでアリアと同じように『不死』の魔法を掛ける。
「アリア、今君を洗脳支配から解いてあげるね」
「カハッ……はぁ、はぁ、ディラン? 私達はもう洗脳支配から――――」
「ああ、洗脳支配のせいでおかしくなったんだね。」
「ディラン……? ねえ、どうしたのディラン!?」
「だってその眼は違うじゃないか。前までは僕を『愛』で満たしてくれたのに今ではあの時みたいな『愛』が無くなってるよ。」
だから僕は君の足を踏んだ。アリアは確かレベル72だったはずだから少し力を入れたらそのまま千切れた。
骨ごと千切ったけれど、すぐに再生する。『不死』の効果でどんな致命傷も『不死殺しの武器』で攻撃されない限り死ぬことは無い。
「この魔法は君たちのために覚えたんだ。これから『愛』を育んでいこうね。」
ああ、幸せだ。これから二人を幸せにする僕の愛の計画が始まる。
今、僕はどんな顔をしてるかな? きっと幸せそうに笑ってるに違いない。
なのに……おかしいなぁ。
「お、お兄様……許し――――ひぎっ」
僕はユリアナの頬を平手打ちした。
「なんで泣くの? 笑ってよ、僕達は家族だろ?」
「ひっ……!」
「ああ、可哀想に、まだ洗脳支配を受けてるんだね。じゃあ思い出すまで愛してあげるよ」
その後、僕はユリアナに向かって何度も愛の平手打ちをした。
多分百回ぐらい首の骨を折った辺りでもまだ泣いている。
「ぅ……うぅぅ。ごめん、なさい……お兄、様、元に戻ってくだ、さい。お願いします、お願い、します」
「あ、もしかして……!」
そっか、そういうことだったのか。なら泣いているのも仕方ないな。
「ユリアナ、嬉しくて泣いていたのかい?」
「…………ぇ?」
「そっか、嬉し過ぎて泣いてたなら仕方ないね。ごめんよ、気付いてあげられなくて……じゃあ、あと十回足を斬り落とすからそれで我慢してね? これからアリアにも僕の『愛』を感じてほしいんだ」
「…………ぁ、ぁぁぁぁぁぁぁ。」
愛の補助道具、ノコギリを持った瞬間。
ユリアナが愛を感じてくれたらしく可愛い声で準備が出来たと返事をしてくれた。
嬉しいからってお漏らししながらなんて、ユリアナはまだまだ子供だなぁ。
「じゃあ、行くよ~?」
そうして、僕はユリアナに愛を教えてあげた。
◇ ◇ ◇
「アリア、おまたせ」
「ぁ……ぁぁ、ユリアナ、ちゃん……」
ん? どうしたのかな?
もしかしてユリアナが羨ましいのかな?
「嫉妬するなんてアリアは可愛いな~」
アリアの髪を掴んで目を合わせて言うんだ。見つめ合うってなんだか照れるな。婚約者なのにこれじゃあ格好がつかないよ。
「でも大丈夫だよ、アリアにも愛をあげるから安心して、ね?」
ああ、アリアも嬉しくて泣いちゃったよ。これから毎日、愛をあげるからその度にお漏らしされたら困っちゃうな……。
「あ、そうだ。この辺にバケツと絞首台があったっけ」
アリアがお漏らしするから、その対策でいつでもトイレ出来るように絞首台に吊るして下にバケツを設置する。
ああ、なんて可愛いんだ。
そんな顔見たらもっと愛してあげたくなるじゃないか。
大丈夫だよ、今、真実の愛で目を覚まさせてあげるからね。
その後、真実の愛で目を覚ましてくれた二人はいつまで、いつまでも、ディランと笑いながら平和に暮らしましたとさ。
「二人とも、いっぱい愛してあげるからね」
「あははははははははははははははははははははははは」
「はははははははははははははははははははははははは」
「やっぱり二人の笑顔が一番だよ。〝サプライズ〟がよかったのかな?」
サプライズ♡