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僕のオフィーリア
かの有名な戯曲には、狂人を装った恋人に親を殺された挙句、溺死してしまう女性がいた。
それを描いた有名な絵画は、後の世に素晴らしい評価を得ている。
美しき 水死体
それは、死体を描いたものであるにもかかわらず、あたたかみを感じる肉体と
散らされた花達が語る、美しい悲劇の一枚だ。
あの時は戻らない。
煌めく日々は
ころころと変わる表情、楽し気な笑い声、ふくれっ面の真っ赤な林檎、羽根のように舞う髪の毛。
僕の妖精は、連れていかれたのだ。
だが女神が遣わされた。
僕の使命だけを消化する日々に
共にあるだけの女神、美しく、艶やかに、その腕は、唇は、瞳は、背徳を滲ませ僕を誘う。
嘗て感じた事のない情欲は、ここまで僕を走らせたのだ。
ならば、共に最後まで、愛し合おうじゃないか
「僕のオフィーリア、僕が尽きるその時まで、君は僕とずっと一緒だ」
椿の花を彼女の掌に落とし、僕は宝物庫の扉を開いた。
朝日が差しこめる。
使用人が働く音が聞こえる。
僕の日常は、始まったのだ。