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彼女のカミ
陽の光を浴びると、キラキラとしていた彼女の髪の毛。
それは、さながら妖精の撒く鱗粉を纏ったように輝いていて、動きまわる彼女の愛らしさを一層際立てていた。
煌めく髪の毛を思い出しながら、これから先は地肌から養分が取れなくなる、毛先の方から入念に手入れを施した。
濡れている髪の毛は滑らかで、するすると指が滑っていく。
しかしながら、指を離すその時にはしっとりと、僕を惜しむかのように纏わりついた。
いつもは さらさらと 思わせぶりに この指の間を 抜けていくのに
処理の済んだ躰を詰めた水槽に
僕は特殊な液体を注いでいった。
十分に血は抜いたはずなのに、切り口からは紅い色が滲みだしてきた。
白い彼女の肌に差す紅色は、彼女の好んだ椿の色彩と同じだった。