長尾景虎主催相撲大会もうすぐ開催
さて、先程とはうって変わって、青空の下、数多くの半裸の男達が自慢の肉体をこれでもかと晒している。
剣を振り、槍を突き、弓を引く為の使い込まれた肉体が、そこかしこに溢れている。
しかも、それが老いも若いも勢揃いの選り取りみどりとくれば、自然と口角も上がるというものだ。
「クフフフフ・・・」
「なぁ、重兄。何か、お虎兄ちゃんが前みたいに不気味だぜ。」
「もうその辺は気にしない方がいいんじゃないか?」
「そうかな?」
「一種の癖か病気みたいなもんだと思っておこうか。」
「何気に、重兄ひでーな。」
以前の遠泳大会の時の事を、引き合いに出されているらしい。
それにしても、病気とはなかなか手厳しい。
ま、別に気にしてないけれど。
むしろ、そんなことを気にしだしたら、こんな催物出来ないでしょうし。
例によって、私は高みの見物となっている。
言い出しっぺの当事者ではあるものの、参加には至っていない。
やっぱり不特定多数の中で、肌をさらすのはちょっとね。
いや、至近距離でのぶつかりあいを考えれば、参加した方がいいのかも?
ちらりと振り替えると、首を横に振られる。
やはり、私が参加するのはよろしく無いようだ。
定満は、今回も参加しないらしい。
また、中条殿も同じく参加をしない。
あくまでも、希望者のみの参加となっている。
強制参加はしない。
政景と景信の二人を除いては。
二人は、エキシビションマッチということで、全ての結果が出てから一番とってもらうつもりだ。
肌をあわせた相手ならば、信用しやすいんじゃないかという、勝手な私の思い込みによるものだったりする。
共に、同じ風呂に浸かる裸の付き合いをすれば、距離感が縮まるだろうけど、さすがに同じ風呂に二人は入るまい。
ならば、裸一貫ぶつかり合えば、相手の事も少しは分かるというものと考えた訳だ。
その後に、親族での飲み会なんかを経験させれば、心情を吐露するんじゃないだろうか?
酒は、人と人の間を取り持つ役目をしてくれると、私は信じているし、そんな人達を過去に何人も見てきたのだから。
それにしても、なんか肌をあわせるって淫靡な響きね。
今回は、体格の面を考慮して、年齢制限を設けている。
少年の部と大人の部の二部制とした。
少年の部は満二十歳に満たない者、大人の部はそれ以外といったざっくりとしたくくりだ。
これには、元服をした、してないという事柄は関係ない。
あくまでも年齢によるものにした。
その為、長重や貞興は大人の部には参加出来ない。
形式的には大人でも、体格的にはまだまだ子供。
成長を続けている者達が、こんなところで潰れる様は見たくはない。
また、満十二歳を超える者でなくては、少年の部でも参加はさせない。
理由はこれまた同じ。
体格も、少年と青年では大きく違うのだから。
本当はもっと上に年齢制限を設ける予定だったのだが、貞興の猛反対をくらった。
自分の参加資格が無くなるのが、余程嫌だったらしい。
その為の妥協案として、小学校卒業相当あたりの年齢にしたのだ。
これにより、長重と貞興の二人の対決を見られる可能性も生まれた訳となる。
今回は、どちらともトーナメント方式を採用とした。
総当たりでは、結果が出るまでに幾日も経ってしまう。
さすがに、何日もどんちゃん騒ぎに似た事は出来ない。
いや、本当なら今も、こんなことをしている場合では無かったりするのだけど。
私の決裁待ちの案件が幾つも待っている。
が、そんなことは忘れて今を楽しもう。
些末な事など思い浮かべても、仕方がない。
誰かに聞かれたら、たとえ主君であっても吊し上げをくらいそうだけど。
前座というわけではないけど、少年の部が先に行われる。
やはり、見ごたえのある、迫力のある大人の部は後に回すべきだろう。
それに、参加者は自分の試合結果が出るまで、酒は出さない。
これ、絶対。
先に大人の部をやってしまえば、酒の消費量が恐ろしい事になりそうだからだ。
後に回す事で、その消費量を少しでも減らせれば、めっけ物だ。
さて、少年の部の注目すべき参加者はというと、長重と貞興の二人だろう。
他にも幾人も参加しているが、彼らの実力は分からない。
が、そうはいっても二人は別格になるんじゃないだろうか?
既に、戦を経験し強くなった精神力に加え、泰重らに鍛えられた肉体を持つ。
それに言ってはなんだが、他の子達よりも、私に良いところを見せたいと考えているのは、二人に違いない。
他のダークホースが出てくるのも、勿論期待はしているけども。
予想の範疇で、結果が出てしまったら、あまりにも面白くは無いだろうから。
それに、まだ見ぬ才能の持主に出会えれば、それは長尾家にとっても大きな収穫となる。
とはいえ、子供達にはのびのびと参加してもらいたい。
さてさて、どうなるかな?
ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。
また、様々な感想を頂けるとありがたいです。
今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。




