国内流通
田畑を切り開き、港の活性化を行う事が出来れば、それとほぼ同時期にやりたいことはまだある。
いや、やらなくてはならない。
それは、国内の道路を整備することだ。
流通を活発にするためには、やはり道を通りやすくしなければならない。
陸路と海路の双方が、バランスが取れてこその流通経路となるのだから。
しかし、海路はともかく陸路となると、様々に障害が発生する。
まず、各地に設けられた関所はどうするのかという話だ。
これの数を減らす事で、商人の負担を軽減させて、国内の経済を回したいところ。
だが、関所も税を取りたいが為に、無駄に作られた訳ではない。
間者の流入の抑止にもなっている側面もある。
不穏分子がそこで塞き止められる訳だ。
が、現状を聞いて驚いた事がある。
「ねぇ、関所って数を減らせられないのかしら?」
「関所ですか?」
「うん。」
「うーん、どうですかね。その土地を治める者の権限によるところが大きいですからね。」
「そうなの?」
「ええ。関所より得られる税は関所を設けたところの取り分になりますから。」
「それじゃ、困るのよね。」
私に困ると言われて、困ったような顔をする実乃。
あくまでも設置した者の物となるというのなら、税を取りたいなら、それこそ雨後の筍のように、ボコボコ作られてもおかしくない。
そして、それが現実に起きているという訳で、こんな事になっている訳ね。
でも、これって逆効果もいいところなのよね。
深く先を見ず、取りやすい所から取ってるだけで、先には繋がらない。
通行する為の税が高くなればなるほど、別のもっと負担が軽減されるルートを選ばれて、結果得られるお金は減ってしまう。
それならばと金額を吊り上げようものなら、より忌避されてしまう。
うーん、完全にダメなループが成り立っているわね。
「よし、決めた。関所は各地に設けても1つまで。これでいきましょう。」
「果たして従いますかな?」
「定満、そこは何とかするしかないんじゃない?」
「何とかですか。」
「バッハッハ、案ずるより産むが易しと言いますから、やってみたら宜しいのでは?」
「柿崎殿、しかしそれは各豪族の利権を奪うことに他ならず、これに腹を立てて反旗を翻すやもしれませんぞ?」
「ならば都合が良いではないか!そんな者はさっさと除いてしまえばよい。それに、これまでの行動を見てきた者なら、景虎様が無駄な事などせぬことは、分かりそうなものですからな。」
「それではようやく安定した国が、また戦禍に」
景家が私の味方に付いてくれた。
これが、戦がしたいだけという訳で無ければいいんだけれど。
まあ、それはそれとして、反対する者がいれば懇切丁寧に説明をしてあげればいい。
いっそのこと説明会でも開いて、皆の意見を擦り合わせしてもいい。
閉じた所で、それこそ四人で話すだけじゃなくて、広く意見を求めるのも面白いかもしれない。
「それじゃ、とにかく関所の数は縮小していく方向で。」
「はぁ、まあ、やれるだけはやってみるしかないですか。しかし、誰にやらせるので?それがしは、流石に難しいですぞ?」
「そうねぇ・・・」
「儂の専門外のことであれば、ここは柿崎殿が良い。」
「バッハッハ、それは無いでござろう?」
「いやいや、柿崎殿ならば多方面にも顔が利くでしょう。歯向かえば大変な事になると、脅しをかける意味でも宜しいのでは?」
「何をおっしゃる。景虎様が、戦を求めるかのようないい方ではないですかな?」
その後も、しばらく押し問答を続ける二人。
どれだけやりたくないのよ?
内政の面でも功績があれば、それに対する評価をチャンとつけていくって言ったばかりじゃない。
まあ、こちらも誰に委任しようかは一応考えていたけれども。
「はぁ・・・定満。」
「なっ、儂ですか?」
「バッハッハ、そりゃ良い。英断ですぞ景虎様。」
「はいはい、先走らない。定満、中条殿に頼めないかしら?」
「おや、儂ではなく中条殿に?」
「私が当主になるために、裏で色々やってたんでしょ?それならその手腕を無駄にするのは損失よ?」
「ふむ、各豪族との橋渡しですか。以外と良いかもしれませんな。ではそのように伝えておきましょう。了承するかは分かりませんが。」
「大丈夫。きっとやってくれるわ。」
「どこから、その確信が来るのかは分かりませぬが、まぁ、いいでしょう。」
これで、一先ずは出揃ったかしらね。
収穫高の向上と、国内の流通の整備。
これが上手くいけば、越後は劇的に変わるかもしれない。
失敗を怖れたら、オカマなんてやってられないものね。
よーし、やるわよ!私以外が!
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