表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/130

こぼれ話 時には昔を思い出して

本編とは関係ありませんよ。


何となく暇が出来ると、ふと昔の事を思い出してしまう。

昔と言っても幼少期の事ではない。

いうなれば前世の事である。


つまり、私が周りから『景虎』と呼ばれる以前の『早苗』という、パッとしない源氏名をつけて生活していた時の事だ。

何故『早苗』なんて名前を使っていたのか。

答えは簡単だ。

私の憧れの女性(というか女の子)の名前を拝借しただけにすぎない。

本物の早苗はどうしているかって?

今では結婚も済ませ、格好いい旦那に子供二人という、絵に書いたような幸せ家族になっているわよ。

因みに、その早苗ちゃんのお相手である忠君は、私の初恋の人だったりする。

とはいえ、叶わぬ恋であるのは重々承知していたし、早苗ちゃんが好きな人だって事も知っていたから、むしろ私が率先して二人をくっつけたようなものよね。

はぁ、馬鹿な女よね私。

それでも、オカマとして活動するようになっても、二人は私との付き合いを止めるような事は無かった。

名前を借りるといったときも「私の名前なんかでいいの?」とか言っちゃってね。

二人はどうしているかしらね。

きっと、今も幸せにしているはずよね。

じゃなかったら、化けてでちゃうから。


私が皆に、オカマだとカミングアウトしたのは大学在学中の事だ。

そして、私はそれなりの大学を卒業すると同時に、夜の街に羽ばたくことになる。

たまたま飲みに行ったお店に、私の大恩人にして人生の道しるべとなる目標の人に出会った。

つまりママに出会ったのだ。

まだ、この時は周りには、自分の悩みについて話をしてはいなかった。

でもママと話をして、その考えが段々と変わったのを覚えている。

あれほど、堂々と自らの存在を主張出来るということが、その当時の私にどれ程眩しく写っただろう。

それがとても素敵な事で、格好いい事かと思い知らされてしまったのだろう。

そして気付いたら、私の事をママに話していた。

包み隠さず全てをだ。

ニッコリ笑ったママは私に言ったわ。


「お前も同類かい!」


ってね。

何だと思ったのかしら?

もしかして言い寄っているとか勘違いしていたとか?

ううん。

そんなことは無いわよね。

何せあのママだもの。


やがて、大学を卒業してママのお店に就職することになった。

店の名前は『花魁ボーイ』

もう何が言いたいかよくわからないわよね。

店内に花魁の格好をしたキャストなんて一人もいないんだし。

店で働きだした頃から、ようやく本当の自分をさらけ出せたからか、すごく生きていくことが楽になったのを覚えているわ。

今考えると、やっぱり若かったのね。

お酒も煙草もこの時覚えたのよね。

懸命に働く私を、ママは優しく見守ってくれたわ。

時折、お客を取り合ったりしたのは良い思い出よね。


長いこと働いていると、ママの金言というのを賜る事があったわね。


“オカマは難しい事を考えない”

“明日を見るな、今を生きろ”

“思いは隠さず話せ、オカマが尻込みしても仕方ない”

“人の気持ちを理解できる最高の存在がオカマである”

“オカマたるもの強くあれ”

“女よりも女らしく”

“男は根性女は度胸両方持ってるオカマは最強”


そして


“何者よりも自由に”


これまでの私の考え方が、ぐるりと百八十度変わった気がした。

ママのお陰で生まれ変われた気がした。

まあ、本当に生まれ変わって『景虎』になるなんて思いもしなかったけれど。

新しい仲間も沢山増えたし、私目的で来てくれるお客も出来た。

本当に幸せだったわ。


ママ、私時代は違うけれどあなたの教えを守って生きていくわ。

たまに挫ける事もあるかもしれない。

でもそんなときこそ、ママの教えが生きてくるはずよね。

きっと強く、たくましく、そして美しく生きていくわ!

一部、本物のオカマの方のおっしゃっていた事を引用していたりします。

あの人達って実際のところ頭の回転がすごく速いんですよね。

接客業という事もあるんでしょうけど。

話してみると驚きますよ。


ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
押してくれれば一票入るようです。どうぞよろしく。 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ