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元服

父上(さすがに、亡くなった父親をくそ親父呼ばわりするのもどうかと思うのよね。)が亡くなり、しばらく御兄様は動揺を隠せないでいた。

それでも、今は気丈にせねばならない時だろう。

上が慌てれば、配下の者達も動揺する。

それは分かっているのか、御兄様も頑張って耐えているように見える。

まず喫緊で行わなくてはならないのは、父上の葬儀だろう。

御兄様の取り仕切りで行い、晴景ここにありというのを見せつける事で、越後の国人領主達を納得させる必要があるはず。


そんな風に簡単に考えていた時期が私にもありました。

現実は無情だ。

父上が亡くなったのを契機とばかりに、反長尾家が反旗を翻した。

父上が生きていた間はおとなしくしていたというのに、亡くなった途端これかよ!

ハッキリと言って頭にくる。

最悪、兵を起こすにしたって、葬儀が終わって落ち着いてからでも良いと思うのよね。

まあ、今言っても始まらないけども。

どうやら、越後守護である上杉定実という人を復権させようとする連中が、中心となって兵を起こしたらしいのだ。

今まで、民を治めるような努力をしてきたかどうか知らないが、どうにも自らの権限を得る為に立ち上がったらしく、より私の怒りに油を注ぐようだった。


さらに私の怒りを激しくさせたのは、いざ父上の葬儀となった際に、兵が春日山城近くまで押し寄せてきたということだ。

このため、慣れない甲冑に身を包んでの葬儀となってしまった。

日々、武門たるもの、と言っていた父上らしい葬儀と言えばそうかもしれないが、それでも送り出す時くらいは静かに出来ないものか?

兵が近くまで来たものの城に攻め上がらなかったのは、春日山城に保有される兵力もそうだが、何より天室光育和尚の存在があった為であったようだ。

何せ、父上の葬儀でお経を読んでくれたわけだから。

すごくきらびやかな格好で来たときはどうしようかと思ったが、真面目にやってくれていたので見直した。


葬儀が済み、一先ず近くまで攻め寄せてきていた連中も兵を退いた。

丁度冬ということもあり、雪が降ってきたということも味方したようだ。

これを良いタイミングと見たのか、私は元服することになった。

つまり、大人の仲間入りという訳で、ようやく独り立ちさせられる事になった。

兵を率いて戦うとしても、元服前の子供では格好がつかないというのもある。

はてさて、どのような名前を付けられるのだろう。

と考えていたら、御兄様から告げられた名前に私は驚かされた。


「景虎ですか?」

「ああ、そうだよ。一門であるから“景”の文字と、虎千代という幼名から“虎”を取ったんだ。分かりやすい方がみんな覚えやすいし、思いのほか凛凛しい強そうな名前だよね。」

「いえ、それは良いのですけど、私が景虎なんて名前をつけられてしまったら、私以外の景虎様はよろしいんですか?」


綾姉様の祝言の際に集まった親族の中で、おそらく居たであろう本物の景虎に悪い。

が、そんな私の心配も杞憂に終わる。


「一門の中に、そんな名前を持っている者は確かいないはずだよ。」

「そうなのてすか?」

「そうそう。だから安心して名乗ると良いと思うよ。さて、今日からは大人扱いをしていかないといけないね。」

「でしたら、私もそのようにしていただきやすくするために、していかなくてはいけませんね。」

「まあ、それもいいかもね。」

「では手始めに、御兄様ではなく兄上と、これからは呼ばせていただきますわ。」

「うーん、呼び方よりも口調を直すべきじゃないかな?」

「あ、それは無理です。」

「そうかい?まあ、仕方ないか。それと時期を待ってということになるだろうけど、動けるようになったら、城を移ってもらうことになるよ。古志郡司として、栃尾城を守ってもらうことになるかな。」


それにしても、私が将来的には上杉謙信ですか。

そして、私が城主ですか。

私なんかで良いのかしら?

もっと相応しい人物がいそうなものなのに。


「多分、大変だと思うよ。中郡の反守護代勢力を、倒さないといけないだろうから。それに揚北衆も何とか出来るといいよね。」

「すごく軽く言ってますけど、それってすごく大変じゃないです?」

「だから大変だって言ったじゃないか。きっと大丈夫だよ、景虎なら。」

「まあ、やるだけやってみます。いやとは言えない立場ですからね。あ、三人娘は預かってもらえませんか?」

「そうだね、確かに危ないからね。母上の側にでも置いておくとしようか。景虎がいなくなれば寂しがるだろうから。」

「そうしてもらえると安心ですわ。」

「男の子二人はどうするんだい?」

「置いていくと怒るでしょうから、仕方ないけれど連れていきますわ。」

「うん、それで良いと思うよ。あわよくば武功を立てることが出来るかもしれないしね。まあ、元服前だから戦場に出ることはないかもだけどね。」


一気に流れが動き始めた感じがする。

とにもかくにも、私は城主として立つことになった。

オカマ城主景虎の誕生です。

今年の大河ドラマのタイトルと響きが似てますね。



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また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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