カンソウ
僕はこのままどこまでも自転車を漕いでゆきたい。
街頭の灯るこの道を真っ直ぐと進めば、いつかは暗闇になるのだろうか。
つまらない道だ。
どこまでも同じような風景。
明かりの色が微かに違う。整備をしていないのだろうか。
いつの間にか自転車が悲鳴をあげていた。
「これ以上、僕を苦しめないでくれ」
キシキシと音を立てる車輪の音が、嫌なほど耳についた。
壊れるほどの力を込めても、壊れてはくれない。嗚呼、どうしてそんなに頑丈に生まれてしまったんだろう。
行き先も用事も、なにもないのに。
急ぐように僕はペダルを強く踏む。
いっそ壊れてしまえば、僕はもうどこにも行かなくて済むのに。
僕はなにかに追われるかのように先を急ぐ。
取り返しのつかないほどに。