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神域のアーキテクト 〜世界が滅亡したので、スマホで自宅を絶対安全要塞に書き換えます〜  作者: kiro


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32/35

タスク競合(ヒロインの奪い合い)と、至高のマッサージ




「……ゲームのしすぎで、肩凝ったな……」


深夜。

ゲーム大会で結衣にボロ負けし(ルシスのチートは強制解除した)、遊び疲れた蒼太がソファで首をポキポキと鳴らした。


その呟きを、彼を取り巻く三人のヒロイン(+1名の執事)が聞き逃すはずがなかった。


「お、お任せください蒼太様! 騎士たるもの、主君の疲労を回復させるのも立派な任務! 私が全身全霊で肩をお揉みいたします!」


凛が目を輝かせて、蒼太の背後に回ろうとする。


「ちょっと凛、アンタみたいなカチカチの筋肉騎士に揉まれたら、蒼太様の肩の骨が砕けちゃうわよ! ここはアタシの出番ね!」


ドンッ、とカーミラが凛をヒップアタックで弾き飛ばし、豊満な胸を揺らしながら蒼太の隣に陣取った。


「蒼太様ぁ♡ アタシの柔らかいお胸と太ももを使った、極上の『密着リラクゼーション・マッサージ』をしてあげますよぉ……? さあ、遠慮なくアタシの膝に頭を乗せて……っ!」


「淫乱女ァッ! 抜け駆けは許しません!! 蒼太様の頭を乗せるのは私の太もも(絶対防衛圏)です!!」


バチバチバチッ!!


蒼太の右隣と左隣で、白銀の騎士と真紅の暴君が、文字通り火花を散らして睨み合っている。彼女たちのステータスが高すぎるせいで、ただの嫉妬のオーラが物理的な静電気ノイズを発生させていた。


「いや、普通にマッサージチェア出すからお前ら落ち着けって……」


蒼太が呆れてタブレットを操作しようとした、その時だった。


「はい、蒼太さん。温かいハーブティー淹れたよ。肩凝りにはこれが一番だって」


騒ぎの反対側から、結衣がマグカップを両手で持ち、トコトコとやってきた。


そして、彼女は一切の殺気も競争心も見せずに、スッと蒼太の真正面に座り、ふわりと微笑んだ。


「ゲーム、楽しかったね。また明日もやろっか。……ほら、ちょっとこっち向いて」


「ん? おう……」


蒼太が素直にマグカップを受け取って振り向くと、結衣は背伸びをして、蒼太の首筋から肩にかけて、小さな手で優しくトントンと叩き始めた。


「痛くない? 強さ、これくらいでいい?」


「……ああ。ちょうどいい。すげぇ上手いな」


「えへへ、お母さんに昔よくやってたから。蒼太さん、いっつも難しい顔して画面見てるから、たまにはこうやって力抜かないとダメだよ」


結衣の年相応の無邪気な優しさと、純粋な癒やしのオーラ。


ステータスや特殊スキルなど一切持たない彼女の「普通の女の子」としてのマッサージが、蒼太の凝り固まった神経を一番的確に解きほぐしていく。


「あ、あわわ……! ゆ、結衣殿に完全に主導権ヘイトを持っていかれた……!」


「嘘でしょ!? アタシの大人の魅力(物理バフ)が、あんな子供の肩叩きに負けるなんて……ッ!」


唖然とする凛とカーミラを尻目に、蒼太は結衣の肩叩きを受けながら、心地よい眠気に包まれ始めていた。


(……やっぱり、結衣ちゃんの安心感は別格だな。平和って最高だ……)


「……蒼太様。良い夢を」


半分夢の中に落ちかけている蒼太の耳元で、唐突に、プロのオペラ歌手もかくやという『超絶美声の子守唄レクイエム』が響き渡った。


「びくぅっ!?」


驚いて目を開けると、いつの間に背後に回っていたのか、漆黒の執事ルシスが、うっとりとした表情で蒼太の耳元で歌を囁いていた。


「私が最高級の周波数バイノーラル・ビートで発声した、幻影の安眠歌です。さあ、深き眠りの底へ……」


「お前は距離が近すぎるんだよ!! ビビるわ!!」


結局、その夜の蒼太は、ルシスの異常な過保護っぷりと、負けじと添い寝を迫ってくる凛とカーミラのせいで、朝まで熟睡できない羽目になるのだった。


最強のスキルと最悪の敵を抱えながらも、新宿セーフゾーンの夜は、今日も平和で騒がしく更けていく。

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