表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神域のアーキテクト 〜世界が滅亡したので、スマホで自宅を絶対安全要塞に書き換えます〜  作者: kiro


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/35

フラミンゴ浮き輪と、五大帝からの着信(オンラインミーティング)

「あーん♡ 蒼太様、冷たくて甘いトロピカルジュースですよぉ。アタシの口移しで飲みますか?」


メガ・マート最上階、Ver3.0の権限で作られた「完全室内プライベートビーチ」。


エメラルドグリーンのプールに浮かべたフラミンゴ型の巨大な浮き輪の上で、蒼太は至福の時を過ごしていた。

隣には、真紅のマイクロビキニ姿の欲帝カーミラがピッタリと身を寄せ、豊満な胸を押し付けながらストローを差し出してくる。


「いや、普通にグラスで飲むわ。……つか、重いからあんまり乗っかってくんなって。フラミンゴが沈む」


「ひどーい! アタシなんて和牛の食べ過ぎでちょっとお肉ついたのにぃ!」


「そ、蒼太様! 私も日焼け止めを塗っていただきたく……っ! その、背中などは自分では届きませんので……!」


カーミラに対抗するように、白いフリルビキニ姿の凛が、顔を真っ赤にしながら背中を向けてすり寄ってくる。普段は厳格な騎士である彼女の、あまりにも破壊力のある無防備な姿に、蒼太も流石に目のやり場に困った。


「蒼太さーん! ビーチバレーしよー!」


結衣が砂浜からボールを投げ込んでくる。それを、執事のごとく控えていたルシスが「蒼太様にボールをぶつけるなど万死に値します」と、幻影の剣で空中で真っ二つに切り裂いた。


「いや、ルシス。遊んでるだけだから。ボール斬るなよ」


「ハッ、申し訳ありません。では私が新しいボールを生成コンパイルいたします」


世界が滅びるまであと半年だというのに、新宿のトップたちは緊張感の欠片もないバカンスを満喫していた。


『プルルルルルッ……!』


その時、ビーチのパラソルの下に置いていた蒼太のスマホが、重々しい電子音を鳴らした。


普通の着信音ではない。それは、先日の死闘の末に不可侵条約を結んだ『天帝・神宮寺』との間にだけ開通させた、暗号化された専用回線ホットラインだった。


「……ん? おーいルシス、ちょっとスマホ取ってくれ」


蒼太はフラミンゴ浮き輪に寝そべったまま、ルシスからスマホを受け取り、スピーカーモードにして通話ボタンを押した。


「はい、もしもし。新宿セーフゾーン、代表の相田ですが」


『……相田蒼太。久しいな』


電話の向こうから、重厚で威圧感のある天帝の声が響く。


「なんだよ、休日に。こっちは今、有休消化中で忙しいんだぞ」


蒼太が欠伸交じりに答えると、電話の向こうの天帝が、少し戸惑ったような沈黙を落とした。


『……おい。さっきから背後で聞こえる「きゃははっ!」「蒼太様、あーん♡」という女の嬌声と、水が跳ねる音はなんだ? まさかお前、この終末の世界で……海にでも行っているのか?』


「あー、まあ、室内プールだけど。今いいとこだから、要件を手短に頼むわ」


『……狂人め。本当に底が知れん男だ』


天帝は深い溜め息を吐き、本題を切り出した。


『お前も聞いただろう。先日、東京の空に響き渡った、システムからの完全初期化の通告を』


「ああ、聞いた聞いた。半年後にサーバーごとフォーマットするってやつな」


『そうだ。もはや、我々人間同士で覇権を争っている場合ではない。……炎帝は死んだ。そして、欲帝カーミラはお前の軍門に下り、事実上「抹消」された扱いとなっている。七大帝は今や、俺を含めた【五大帝】となった』


天帝の声に、かつての敵対心はなかった。あるのは、共通の強大な敵を見据えた王としての冷徹な響きだ。


『相田蒼太。俺はお前の規格外の防壁と、システムを書き換える力を高く評価している。……生き残るために、俺たち【五大帝】と、お前の【新宿陣営】で、同盟(非公式の不可侵および情報共有協定)を結ばないか』


「同盟ねぇ……」


蒼太はサングラスをずらし、青い人工の空を見上げた。


「俺は別に、世界を救う気はないぞ。俺の部屋と、こいつらの飯が守れればそれでいい」


『それで構わん。互いの領土を干渉せず、神が降臨した時のみ、共闘戦線を張る。……どうだ?』


「まあ、悪い話じゃないな。俺も敵は少ない方が昼寝が捗るし。……いいぜ、話を聞いてやるよ」


『ならば、今夜。五大帝全員を集めた「最高会議」を開く。指定した座標へ来い』


「えー、外出るの面倒くさい。オンライン会議(ビデオ通話)にしてくれ。俺のサーバー内に、安全な仮想会議室(VRルーム)作ってやるから、そこにアクセスしろよ」


『お前という奴は……! ええい、分かった! 後でURLを送れ!』


ガチャッ、ツーツー。

一方的に電話が切れ、蒼太はスマホを放り投げた。

「さてと。午後からは、他の王様たちとZoom会議だな」


フラミンゴに揺られながら、蒼太は最高にだらしない笑顔を浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ