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神域のアーキテクト 〜世界が滅亡したので、スマホで自宅を絶対安全要塞に書き換えます〜  作者: kiro


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欲帝の強襲と、バグレベルのインフレ(配下)



ズドォォォォォンッ!!


新宿区の南側ゲート(旧甲州街道沿い)。

分厚い青の絶対防壁ファイアウォールに、隕石が衝突したかのような凄まじい轟音が響き渡った。


「アハハハッ! もろい、もろい! こんな薄皮一枚で、アタシの欲望ちからが防げるわけないでしょ!」


六本木を支配する七大帝が一人、『欲帝』カーミラ。


彼女は真っ赤なドレスを翻し、一切の魔法やスキルを使わず、ただ純粋な「拳」だけで防壁を殴りつけていた。


【無限貪欲】――彼女の凄まじい「新宿の富を奪いたい」という欲望が、彼女の筋力と質量を青天井に引き上げている。殴るたびに空気が爆発し、

結界に恐ろしいほどの負荷(AP消費)がかかっていた。


彼女の後ろには、六本木から引き連れてきた数千の凶悪な略奪軍団が、ヨダレを垂らして新宿の富を待ち構えている。


「さあ、ブチ破って中の美味しいお肉と温泉を――」


カーミラがトドメの右拳を振りかぶった、その瞬間だった。


『スッ』


防壁の一部が自動ドアのように開き、一人の少女が音もなく外へ歩み出た。


白銀の騎士装甲を纏った、九条凛である。


「……随分と野蛮な客だな。蒼太様は現在、アニメの消化でお忙しい。お引き取り願おう」


「あぁ? なによアンタ、新宿の王は相田蒼太って男じゃないの? ボスの盾になるなんて、健気で泣けちゃうわね! 死になさい!!」


カーミラは嘲笑いながら、世界を砕くほどの絶対的な右ストレートを凛の顔面に放った。


空気が圧縮され、背後の略奪軍団すら暴風で吹き飛ぶほどの、物理最強の一撃。


しかし――。

『ガシィィィッ!!』


「……え?」


カーミラは、間抜けな声を漏らした。


彼女の全力を込めた右拳は。凛が「素手」でスッと前に出した左の掌によって、ピタリと受け止められていたのだ。


凛の体は一歩も下がらず、足元のアスファルトすら割れていない。完全に、力が殺されていた。


「な……アタシの、七大帝の拳よ!? なんで、ただの配下の小娘が……ッ!」


「……? 七大帝とは、天帝のように恐ろしいバケモノばかりだと思っていたが。貴様、本当に七大帝か?」


凛が不思議そうに首を傾げた。


「ふざけるなァッ!!」


激昂したカーミラが左足で回し蹴りを放とうとするが、今度は彼女の足首を、地面から伸びた「漆黒の影」がガッチリと拘束した。


「野蛮ですね。あまり美しいとは言えません」


凛の背後から、黒い軍服を着た銀髪の青年――ルシスが優雅に歩み出てくる。


彼が指を鳴らすと、カーミラの背後にいた数千の略奪軍団の足元から無数の『幻影の鎖』が飛び出し、一瞬にして全員を縛り上げ、地面に縫い付けてしまった。


「な、なんだコイツら……!? おかしい、聞いてた情報と全然違うじゃない!」


カーミラは冷や汗を流した。


無理もない。彼女の持つ情報は、蒼太が炎帝と戦う前のもの。


現在の凛とルシスは、蒼太が【特級魔石】を取り込んでシステムを『Ver2.0(第1段階覚醒)』にアップデートした際、一緒にバフを受けて「上位クラス」へと進化しているのだ。


当の本人たちすら自覚していないが、今の凛とルシスは、単体で七大帝と互角以上に渡り合えるほどの「バグキャラ」にインフレしていたのである。


「ルシス殿。蒼太様の手を煩わせるまでもありませんね。私と貴方で、速やかにこの暴漢を処理デリートしましょう」


「ええ。蒼太様は今期の覇権アニメの最終回をご覧になっています。1秒でも早く静寂を取り戻さねば」


凛が白銀のシステムブレードを抜き、ルシスが殺気を膨れ上がらせた。


物理最強を誇る欲帝が、生まれて初めて「死の恐怖」に顔を青ざめさせた、その時だ。


「おーい、お前ら。あんま店の前で暴れないでくれ。道路直すのにもポイント(金)かかるんだから」


サンダルを突っ掛けたスウェット姿の蒼太が、あくびをしながら結界から出てきた。

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