アーキテクトVer2.0〜第1段階覚醒(メジャーアップデート)〜
『ピガァァァァッ……!!』
蒼太の手の中で、スマホが異常な高熱を発し、画面に無数の文字列が滝のように流れ落ちていく。
同時に、蒼太の身体の奥底から、これまでに感じたことのない万能感と、世界そのものを支配できそうなほどの圧倒的な演算能力(魔力)が爆発的に湧き上がってきた。
全身の火傷が、光の粒子となって瞬時に再生していく。
痛みが消え、思考が恐ろしいほどにクリアになる。
【覚醒コアの統合に成功。アーキテクトのメジャーアップデートを実行します】
【スキル『アーキテクト』第1段階覚醒(1/5)完了】
【全機能のロックを解除。AP保有上限を解放。管理者権限のアクセスレベルが上昇しました】
画面の中央に表示されたAPの残高は、これまでの数百万といった次元ではない。炎帝という『覚醒者』の全エネルギーを変換したことで、その数値は「999,999,999(カンスト状態)」を表示して輝いていた。
「……すげぇ。文字通り、世界の見え方が違う」
蒼太は軽く拳を握り込んだ。
ただの「空間のルールを書き換える」だけの能力ではない。空間を構成するデータそのもの、原子の配列すらも自由に再構築できる、真の『創造』の力だった。
「凛、結衣ちゃん、権田……。待たせたな。今すぐ、全部『無かったこと』にしてやる」
蒼太はスマホを天高く掲げ、新たに解放されたコマンドを実行した。
【新機能:領域内事象の完全ロールバック(時間逆行修復)を実行】
【対象:指定した座標内の建築物、および所属エンティティのステータスを、最適化された状態で再構築します】
『ピイィィィィン……ッ!!』
蒼太の足元から、眩い白銀の光波が波紋のように広がった。
光が触れた瞬間、燃え盛っていたスーパーの炎が「巻き戻る」ように消え去り、炭化していた商品棚が瞬時に新品同様の姿へと復元されていく。
それだけではない。
「あ、れ……? 痛みが、ない……?」
瓦礫の下敷きになっていた結衣が、五体満足で立ち上がる。黒焦げになっていた権田たち資源回収班も、傷一つない屈強な肉体を取り戻して目を見開いた。
そして、致命傷を負っていた凛の身体を、ひと際強い白銀の光が包み込んだ。
腹部の傷が完全に癒えるだけでなく、彼女の纏っていたボロボロの衣服が、神々しい意匠が施された『近未来的な白銀の騎士装甲』へとバージョンアップ(再構築)されたのだ。
「こ、これは……力が、以前の比ではないほどに溢れて……!」
凛が握るシステムブレードも、刀身から青白いプラズマの刃を形成する超兵器へと進化を遂げていた。
【所属エンティティへの『上位役職』の付与が完了しました】
蒼太の覚醒は、仲間たちの力をも一段階上の次元へと引き上げたのだ。
さらに、光波はスーパーの敷地を超え、新宿の街へと広がっていく。半壊していたメガ・マートの建物全体が、白銀の特殊合金と青い光のラインが走る『サイバーパンクな超巨大要塞拠点』へと、その外観ごと完全に作り変えられた。
「……再起動完了。これが、俺たちの新しい家だ」
蒼太は、完成した圧倒的な要塞の中で、ホッと息をついて微笑んだ。




