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あたたかなおもてなし

 ある日の午前中、リッカはキッチンで仕込みをしていました。

 小鍋にベリーとお砂糖を入れ、ぐつぐつと煮込みます。ゆっくりかき混ぜていると、ふわりと甘い香りが辺りを漂い始めました。

「よし、こんなものかな」

 じっくり煮詰めて完成したのは手作りのジャム。リッカはそれをあらかじめお湯で温めておいた瓶に詰めました。 

 これで今日の仕込みはおしまい。あとは午後からのお茶会のために机の上を片付けておくだけ。

 鍋を洗い終えたリッカは軽く伸びをすると、キッチンをあとにしました。

 その日の午後三時前、ピンポーンとチャイムが鳴りました。

 扉を開けると、そこには二人の女性が立っていました。

「リッカ、来たよー」

「ちょっと遅かったかしら?」

「ハナメさんもマツキさんもようこそ。まだ二人来てないんで大丈夫ですよ」

 リッカは苦笑しつつ言いました。

「二人って言うと、フウナとサトリだよね?」

「あの子達よく遅刻するものねぇ」

「そうなんですよ。とくにサトリなんて酷い時には――」

「ちょっとリッカ?あたしそんな遅刻してないって」

「いやサトリ、何言って――って、もう来てる!?」

 三人が驚く中、サトリは胸を張って言いました。

「へっへー!あたしだってちゃんと時間通り来るんだからね!」

「ちょっとサトリちゃ〜ん!先行かないでよぉ〜っ!」

 遅れてやって来たのは最後の一人であるフウナです。

 リッカはため息を零しつつ、中へ入るよう促しました。

「まぁ、みんな揃ったんで、中でお茶会しましょうか」

「やったぁ!」

「おじゃましまーす!」

「私クッキー作ってきたの!」

「うん、フウナちゃんのそれは嫌な予感がするわね」

「なんでですかぁ、マツキさん」

 そんなやり取りをしつつ席についた彼女達に、リッカは手早くジャムの入った小皿とスプーンを配ります。

「ん?リッカ、これ何?」

「ジャムだよサトリ。今日は変わった飲み方でもしてもらおうかな、なんてね」

「変わった飲み方って、どんな飲み方?」

「ハーちゃん、たぶんロシアンティーのことじゃないかしら」

「さすがマツキさん、詳しいですね」

「そりゃあ、紅茶を嗜むものとしては当然の知識よ」

「へぇ、ロシアンティーってものがあるんだ」

 感心したハナメはリッカに尋ねます。

「それでリッカ、ロシアンティーはどう飲むの?」

「まずはスプーンでジャムを舐めます。それから紅茶を口にします」

「最初からジャムを紅茶に混ぜたらだめなの?」

 そう尋ねたのはフウナでした。

「まぁ、日本ではその飲み方も良しとされるけど、本場は舐めながら飲むのが一般的みたい」

「ほえぇ、難しいねぇ」

「……まぁ、私とすれば美味しければどっちでも良い気もする。けど」

「けど?」

 四人からの注目が集まる中、リッカはどこか言いにくそうな様子でこう口にしました。

「せっかく手作りしたジャムだから……その、一口位はそのまま味わって欲しいな、なんて」

 その瞬間、フウナとサトリが立ち上がり、リッカに抱きつきました。

「え、ちょっと、二人とも?」

「ありがとうね、リッカ」

「すっごく感激してるよ」

 そんな三人の様子を、歳上であるハナメとマツキは微笑ましそうに眺めていました。

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