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クソザコナメクジから始まる最弱勇者~スライムすら倒せない俺が世界を救うって本当ですか?~  作者: 小鳥遊 千夜
第二章 勇者見習い編

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第27話 落ちこぼれ冒険者、王に謁見する

 



 ゴブリンキング討伐の報は、想像以上の速さで王都を駆け巡った。


 正規騎士団と複数の冒険者パーティが崩された戦場で、

 最後に立っていたのが、名もなき新人とその仲間達だったという事実。


「――王がお会いになられる。謁見の間へ」


 騎士に導かれ、俺達は王城の奥へ進む。

 高い天井、磨かれた床、静寂すら威厳を帯びた空気。


(……場違いすぎる……)


 背筋が勝手に強張る。


 玉座に座るのは、穏やかな顔立ちの男性だった。

 豪奢な装いだが、威圧感はなく、むしろ柔らかな空気を纏っている。


「よく来てくれたのう」


 王は、優しく微笑んだ。


「ワシはこの国の王、

 ウォーム・F・ジェンティーレ・イリクリ二スじゃ」


 その声には、民を思う温度があった。


「そなた達が、ゴブリンキングを討ち果たした冒険者か。

 民を代表し、礼を言わせてほしい」


 深々と頭を下げられ、俺達は慌てて頭を下げ返す。


「そ、そんな……!」


「当然のことをしたまでです……」


 モナカとアスティが恐縮する中、

 俺は言葉を失っていた。


 その時。


「ふん……」


 小さく鼻を鳴らすのは、王の傍らに立つ、金髪の少女。

 豪奢なツインテール、猫のように釣り上がった瞳。


「本当に、あなた達が倒したんですの?

 見たところ、全然強そうには見えませんけれど」


 露骨な物言い。


「こらこら、マオよ。失礼じゃぞ」


 王が困ったように笑う。


「こちらは娘の、

 マオ・F・クライノート・ユースティアじゃ」


「ワタクシは事実を言っているだけですわ」


 ツンと顔を背けるが、

 こちらをちらちらと観察しているのが分かる。


 王は咳払いし、改めて告げた。


「さて。

 そなた達の功績に対し、褒美を与えねばならぬ」


 俺は息を飲んだ。


「金貨や地位も考えたが……

 まだ冒険を始めたばかりの者達には、こちらが良かろう」


 王の合図で、侍従が箱を運んでくる。


 中に収められていたのは――

 丈夫で動きやすそうな冒険者用の服一式。


「高位の職人に作らせた装備服じゃ。

 防刃、防寒、防魔に優れ、長旅にも耐える」


「……これを、俺達に?」


「うむ。

 これから先を歩く者にこそ、相応しい」


 王女がふいっと視線を逸らす。


「……見た目も、大事ですものね」


 その後、王は少し考えるように顎に手を当て――


「それと、もう一つ」


 空気が引き締まる。


「そなた達を――

 “勇者”として迎えたい」


 一瞬、時間が止まった。


「え……?」


 王女が目を見開く。


「ちょ、ちょっとお父様!?

 そんな簡単に勇者なんて――」


 だが王は、静かに首を振った。


「魔王軍と関わり、民を守った。

 その覚悟は、称号に値する」


 その言葉を受け、ケイトが一歩前に出る。


「……陛下。

 そのお話、ありがたく思います」


「しかし……」


 ケイトは、はっきりと首を振った。


「まだ、早いです」


「私達は、勝てただけで……

 勇者と呼ばれるほどの力も、責任も、持っていません」


 王は、しばらく黙っていたが――

 やがて、嬉しそうに笑った。


「……なるほど」


「では、“勇者見習い”としてはどうじゃ?」



「……ありがとうございます。」


 こうして。


 服一式を報酬として受け取り。

 称号は、勇者見習い。


 名もなき少年達は、

 正式な冒険者として認められた。



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