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クソザコナメクジから始まる最弱勇者~スライムすら倒せない俺が世界を救うって本当ですか?~  作者: 小鳥遊 千夜
第一章 旅立ちの冒険者編

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第22話 見捨てられた聖騎士――笑われる者たちの合流

 

 集合地点での区画分けが進み、

 俺たち第三班は、騎士団の指示で森の東側ルートを担当することになった。


「……え?」


 配置を確認したモナカが、小さく声を漏らす。


 俺たちのすぐ隣。

 同じ持ち場に配属された、もう一組の少人数パーティ。


 ――いや、正確には“一人”だった。


 銀色の長い髪が背中まで真っ直ぐに流れ、

 簡素ながら手入れの行き届いた鎧に身を包んだ少女が、

 背筋を伸ばして立っている。


 猫科の獣人特有の耳と尻尾が、緊張を隠せない様子で小さく揺れていた。


 凛とした立ち姿だけを見れば、

 誰もが「さすが聖騎士」と口にするだろう。


 だが――


「見ろよ、あれ」


「一人? しかも獣人か」


「聖騎士って肩書きだけじゃねぇの?」


 周囲から、遠慮のない視線と囁きが飛ぶ。

 それは、ついさっきまで俺たちが浴びていたものと、まったく同じだった。


「……あの人も……新人、ですね」


 モナカが小さく呟く。


「ええ。

 しかも、かなり扱いが悪いですわ」


 アスティの声は冷静だが、どこか苦味が混じっている。


 彼女――

 プラティナ・グローリアは、

 騎士団員の説明を聞くと、一瞬だけ目を丸くし、それから大きく頷いた。


「東側ルート……了解しました!」


 声は大きく、真面目で、少しだけ力が入りすぎている。


「アタシが……アタシが、この場所を守ります!」


 その宣言に、

 周囲から小さな失笑が漏れた。


「気合だけは一丁前だな」


「どうせ罠に引っかかって終わりだろ」


 そんな言葉が、風に混じって届く。


 プラティナは、それらを聞いていないふりをしていたが、

 耳だけは正直で、ぴくりと反応していた。


 やがて、こちらに視線が向く。


「……っ!?」


 俺たち三人を見た瞬間、

 彼女はびくっと肩を震わせ、一歩後ずさった。


「な、なによ……!

 ま、まさか……男……?」


 警戒心むき出しの視線。


「え?」


 俺が戸惑っていると、

 プラティナは顔を赤くし、胸の前で腕を組んだ。


「ち、近づかないで!

 男の人って……え、エロいんでしょ!?」


「……失礼にも程がありますわね」


 アスティが即座に呟く。


 モナカは慌てて手を振った。


「ち、違います!

 ケイトさんは、そんな人じゃありません!」


「ほ、本当……?」


 半信半疑のまま、プラティナは俺を見る。


 その目は、強気というより、

 どこか怯えているようにも見えた。


(……この人も、俺たちと同じか)


 実力を疑われ、

 期待されず、

 最初から「外れ」扱いされている。


「……同じ持ち場ですね」


 俺は、できるだけ穏やかに声をかけた。


「俺はケイトです。

 よろしくお願いします」


 一瞬、沈黙。


 それから、プラティナは小さく息を吸い込み、

 胸を張るようにして名乗った。


「……プラティナ・グローリア。

 聖騎士よ」


 少し間を置いて、付け足す。


「……その……足、引っ張らないようにはする……」


 声は、わずかに震えていた。


 新人。

 落ちこぼれ。

 左遷組。


 嘲笑の中で、同じ場所に追いやられた者同士。


 こうして、

 俺たち第三班は――

 誰からも期待されない即席の混成チームとして、

 最初のクエストへと足を踏み入れることになる。




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