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30/30

30「結びは我が輩の務めである。」

 これは思いも寄らない結末になったものだ。我が輩としてはeくんが異世界の感性に染まりつつある内心をひた隠し、既成の倫理観と板挟みになりながら苦しみ――果たしてその葛藤を乗り越えるのか、屈するのか。という心理的サスペンスみたいな展開を期待していたのだが。


 とはいえ、解決方法もだいぶ暴力に偏っていたので感化された部分もあろう。さてはてeくんの「意志」がTくんの世界をどこまで引き上げるのか、今後も楽しみに観察を続けようじゃないか。


 Sくんには悪いけれど、地球人類も行き詰まっている感はあった。倫理欠落世界は腐りゆく運命から一時脱したものの、eくんの行動によっては、やがて地球と同じ道をたどることもあり得る。同様の懸念を抱いているのかは知らないが、Sくんもこの世界の行く末には興味津々らしかった。本当に彼は真摯な奴だ。


 ところでTくん。


 Sくんからかすめ取った子が一生懸命に頑張っているのだから、少しは顧みたらどうなんだい? いや、省みた方がいい。それだから我が輩に「面の皮が厚いTくん」などと記録されるのだ。


 そう声をかけてみたが、彼は何一つ聞いてないのだった。まったく、Tくんの飽き性には閉口する。Sくんの後輩を自称するなど、おこがましいにも程がある。こうなればますます、我が輩とSくんだけでもeくんの活躍を見届けてやるべきだった。


 何はともあれ、これにて地球人類eの物語はいったん閉幕である。


 大事になる気配があれば今回と同様に記録するとして、またいつか、どこかで出会えることを祈っているよ。それではさらばだ、諸君。


〈終〉

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