表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/25

七夕のころ

「思いのほか、間が空いてしまいましたが、やっとの思いで伺いました。こちらにいらっしゃる方があまたおいでだと聞いたからですよ。さあ、いらっしゃい。今夜は、誰にもわからないところに行きましょう。」

と、帥の宮はおっしゃった。そして、強引に車に乗せられ、人のいない屋敷に連れていかれた。

このような外出は、ひどく恥ずかしく、何度かは致しましたが、私が嫌がるので、また、宮との間は、遠のいていきました。

こうしているうちに、七夕になりました。

いろいろな殿方から、織姫、彦星がどうのという恋文が来ましたが、目を通す気も起きません。

帥の宮からのお文はなく、悲しく思っていますと、あきらめたころにお文が参りました。


 思いきや 七夕つに 身をなして

  あまの河原を ながめんべしとは

(昨年までの私は、思ったこともありませんでしたよ。七夕の日に天の河原を織姫の気持ちになって眺めようとは。年に一度の逢瀬もかなわないとは。)


 つまり、会いに来てはくださらないということですが、お忘れになっていらっしゃらなかったことがうれしく思われて、


 ながむらん 空をだに見ず 七夕に

  忌まるばかりの わが身と思えば

(七夕の空を眺めることさえできません。七夕だというのに、宮様に嫌われてしまっている私の身を思うと。)

 と、お返しをした。このようなお文をかわしただけで、この月は過ぎていきました。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ