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五月雨のころ

ふたたび、五月雨のころ。

帥の宮様より、


あめのつれづれはいかに。と言って


おおかたに さみだるるとや 思うらん

 きみ恋わたる 今日の眺めを

(この五月雨を、毎年の雨だとお思いでしょう。実は、あなたを恋しく思うあまり、私が流しいている涙が、今日の長雨になっているのですよ。)


とあった。いつもながら、時節を外さない、素晴らしいお歌だ事、と思いながらお返事をしました。


しのぶらん ものともしらで おのがただ

 身を知る雨と おもいけるかな

(宮さまが私をしのんでくださった雨とは知りませんでした。私が、宮さまに忘れられたことを嘆く涙の雨だとばかり思っておりました。)


と書きつけた手紙の裏に、


ふれば世の いとど憂さのみ しらるるに

 今日のながめに 水まさるらん

(この世をることがながくなりますと共につらいことばかり増すのです。長雨がることで川の水が増して、私の身を流してくれはしないかと思っているのです。


この歌を読み、帥の宮さまがあわれに思われて、私のところを訪ねようとなさっているのを、宮様の乳母めのとであったものが聞きつけて、おとめしたのです。

あの女のところに(私の事ですが)通うのはあまりに外聞が悪いことです。通う男がたくさんいると聞いておりますよ。東宮のお兄上にもうし上げなくてはなりません。どうしてもとおっしゃるなら、はしためとしてこの家に住まわせて召し使えばよろしいのです。というようなことを申し上げたそうです。

それを聞いて、宮さまはわたくしに会う気が失せられ、また、訪れが遠くなりました。


「和泉式部は、越前の守を務めた大江雅致の娘、とはいえ勘当されていますが、召人めしうどにするには身分が高いし、奥方にするには身分が低くて悩ましいところですね。」と、藤の式部が言った。


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