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帝の行幸
「道長様のお屋敷である土御門邸には、たくさんの公卿くぎょう方がいらっしゃいます。右大臣様、内大臣様がいらっしゃり、酔い乱れてお騒ぎになります。けしからぬことに、中宮様の女房たちにみっともない軽口をおっしゃたりなさる。右大将様は、こちらが恥ずかしくなるほど立派なおふるまいで、さすがのご様子です。
ついに、帝がいらっしゃる十月十六日が来ました。少しでも早く二宮様に会いたくて、内裏に中宮様と二宮様がお帰りになる日が待ちきれず、帝が土御門邸に、いらっしゃるのです。
道長様は、この日のためにご用意なさった何艘もの舟を浮かべられます。龍の頭の船には、唐楽。鶏の頭の船には高麗楽の楽人が乗り、それはもうあざやかです。女房たちの衣装の美しいこと、これまた、余すところなく記しておりますので、書き著したのちにご覧くださいませ。」
それは、本当に楽しみだわ。
これは、歴史の教科書などによく載っている、道長の邸宅に天皇が招かれて、貴族たちがずらずら並び、龍
の船が浮かんでいる、あの場面です。




