プロローグ
藤原の道長の娘、一条天皇の中宮だった藤原彰子には、優れた知識と才能を持つ女房が使えていました。彼女たちが彰子に語る、という形で物語は進みます。(実際には語っていないと思いますが、悪しからずご了承ください。始めに登場するのは、天皇の皇子(王子様の一人。王子様いっぱいいますが。)と恋をした美人の中流貴族、もちろん身分違い)の和泉式部です。
「この度、中宮様の女房として上がった和泉式部がご挨拶に参りますよ。」藤の式部という、女房が告げる。(のちに紫式部と呼ばれる女房である。)
どのような方ですか。
「そうでございますねえ。」藤の式部が言いよどむ。
「和歌の才が素晴らしく、学問も修め、明るく美しい女性ですが。。。」
えらく、歯切れが悪い。
「少しけしからぬ面がございまして。」
え?
奥ゆかしい藤の式部が、あしざまに言うことは珍しい。
「お父上(藤原の道長)の上の姉君がお産みになった東宮様(後の三条天皇)の弟君に為尊親王という方がいらっしゃったのですが、夫のある身で為尊親王の恋人になったのです。親王の恋人になられるには、身分が低すぎて勘当されておしまいになったのですが、為尊親王は夜歩きがたたってはやり病でお亡くなりになったのです。」
まあ。お気の毒に。為尊親王は、わたくしのいとこにあたられるのですね。
「ところが。」
まだ、何かあるの?
「為尊親王には、敦道親王という同じ母君からお生まれの弟君がいらして、その親王のお召し人(召人)として入り込み、お子も産まれました。敦道親王も、二十七歳でお亡くなりになりました。」
まあ、それは。。。
「はじめの夫である橘道貞との間に生まれた娘も、小式部の内侍として女房に上がっております。」
そうですか。お会いするのが、楽しみなような、そうでもないような。どのような女性なのでしょうか。
一応、登場人物紹介。めちゃくちゃわかりにくいです。
彰子…藤原道長の長女。一条天皇の中宮。後一条天皇、後朱雀天皇の母。
父が道長。娘が彰子、妍子(三条中宮)、威子(後一条中宮)、息子が頼通。他
伯父が道長の長兄の道隆。いとこが娘の定子。(一条中宮)息子の伊周。他
伯父が道長の次兄の道兼。いとこが娘の尊子。(一条女御)他
伯母が道長の長姉の超子。(冷泉女御)いとこが息子の三条天皇。為尊親王。敦道親王。他
伯母が道長の次姉の詮子。(円融女御)いとこで夫が息子の一条天皇。
他にも、異母兄弟多数。その子女はいとこ。