猫又ニャンカの誕生
ギャグを頑張って書いています。面白く読んでいただけたら幸いです。至らない点も多いと思いますがよろしくお願い致します。
猫又という言葉を知っているだろうか。約100年生きた猫は尻尾が二又に分かれ猫又と呼ばれるようになる。所謂、妖怪の一種である。人に恩がある猫又は、人に福をもたらすと言われた。しかし、反対に人を憎む猫又は、災いをもたらすと言われた。
猫又ニャンカの誕生
わたしは100年生きた。生まれて間もない赤ちゃんのご主人とほぼ同じ時に生まれ、その子が100歳で旅立つまで最期まで一緒にいた。そして、さあ、わたしも死ぬぞ!ご主人のところまで一緒に逝くぞー!と意気込んでいたと言うのに。
図らずしも、わたしはもう一度目を覚ました。どこかわからないふっかふっかのベットの上で。
何故、尻尾が二股に割れているのか。
何故、若返っているのか。
何故、周りに人間がいないのか。
何故、周りの猫たちはそんなに祝福ムードなのか。
「おめでとうございます!ニャンカ様!」
「おめでとうございます!!」
「御生誕、おめでとうございます!!」
死ぬっていよるやん。生誕って。やめて、違うねん。わたし、これから死ぬ予定やから。ご主人の所に逝くって約束したねん。えぇい!!そこ!煮干しを持ってくるな!!マグロの刺身を出すな!!美味そう!!!
「ーーこれから、死にますのでお気遣いなく!!」
必死に猫又になる気がないことを伝えれば、一瞬の静けさ。その後にドッと笑い出した猫たち。
「猫又ジョークでございますか!」
「さすが、我らのニャンカ様のジョークは一味違いますな!」
「死すらジョークにしてしまうとは!」
そんなジョークがあってたまるか。まて、というか……。
「我らのニャンカ様……?」
そうだ、この異様な雰囲気はなんだ。人間が一人もいないではないか。
「人間が、いにゃい」
見渡す限り猫だらけ。いや、わたしも猫なんだが。それでも人が一人もいないのは可笑しい。だって人間世界にわたしは生きていたんだから。
「人間などおりませんよ!!猫又になられた猫は代々猫の国の王になるのですから!」
ニャンですと?
「そして、ニャンカ様は約5000年ぶりの猫国の王女であらせられます」
嘘でしょ
「なにより、ニャンカ様は伝説の猫又であらせられ、我らが悲願である人間たちに目にモノ見せる猫又でございます!!」
知らん知らん知らん知らん知らん知らん知らん!!!!
勝手に祭り上げるな、崇めるな!!なんだ悲願って、知らんけど!?そこの老夫婦猫!涙ながらに歓喜してるんじゃないよ!!他猫ごとだと思ってぇええ!!
「うにやぁぁあああああっ!!!」
祝辞ムードの室内をなんとも締まりのない声をあげて、わたしは走り出した。食べ物に足が入らないように、飛んでは跳ねて、次から次へとぴょんぴょんぴょーん。走って、走って、走った先に物があっても気にせず飛び越すのが猫なのだ。差し迫ってきた最後の机に足をかけてジャンプする。わたしは、机から窓へと飛び出した。その先には、向こうの部屋の窓が空いているのが分かっていたから。向こうの部屋まで飛べるはずだと思い込んで飛ぶのは猫の習性みたいなものだ。うん、だから、目測誤って向こうまでいけないのも猫の運命だよね!
「にゃぁぁああああっ!!!!」
待って、ここ2階じゃんか!?今度こそ死ぬ!いや、本望だけど!!こんな死に方は望んでなかったんだよ!!
「せめて、安らかな死を望んでたんだにゃぁあ!!!」
束の間の体の浮遊感。そして、静止した時間が動き出したように加速する落下速度。どうなってるか?しーらない!だって怖くて目を瞑ってるもん!!しかし、予想した痛みはいつまでもやってこなかった。しかも、なにやら周りがうるさい。悲壮感漂う感じではなく、寧ろ驚き喜ぶムードがひしひしと伝わってくる。
なにが起きてるのか。
ちらり、と恐る恐る薄目を開ければ、体が浮いていることに気づく。
「なんじゃこにゃぁあああっ!!!?」
次から次へと起こることに頭の処理が追いつかない。待ってほしい。わたしは普通の猫だったはずだ。なんでこんな摩訶不思議な力を持っているんだ。
「にゃんと、この目で王族の力を見る日が来るとは……」
涙ながらに拝み出すお爺さん猫。そして、慌ただしくやってくる執事のような服装をした若猫たち。その後ろに静かに、しかし存在感のある一匹の猫がいた。周りの絢爛豪華な調度品より一層美しいのではないかと思われるほどの金色の猫又。配下の若猫たちが震え上がるほどの存在感と眼光を持っていた。
めっちゃこわい。めっちゃ睨んでる。これは、死亡フラグというものか。ありがとうご主人。今更、ご主人の知識を一つ理解しました。遠い目でそんなことを考えていれば、金色の猫又は、私の前で膝をついた。そうして、花が咲いたように笑った。
「私の妃は、少しお転婆なようだね。」
そして、流れるように私の手を取り、
「初めまして。私は、リヒト。貴方のような素敵な方の夫になれることに感謝と誓いを」
その甲にキスを落とした。
「×◯△※⚫︎◾︎っ!!!!????」
御免なさい、ご主人。
どうやら、私が死ぬのはまだ先になりそうです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。続きも楽しく書けたらと思います。今後ともよろしくお願い致します。