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第23話 親子喧嘩

 沼ワニの素材を集めると、階段を上って、十一階で赤い宝箱を苦労して見つけた。

 これで短剣の強化後の強化素材が全部集まった。あとは町に帰るだけだ。

 十階のジャングルを抜けて、階段で昼飯を食べて、一時間だけ休憩する事にした。


「くぅー、疲れたぁー!」

「でも、危険な赤猿の森は通れました」

「そうだな。一番の山場というか、森場は通り抜けた。あとは楽勝だ」


 階段で両手足を伸ばして、疲れた身体から疲労を追い出していく。

 宝箱探知のLVを上げて、青い宝箱を見つけた。結果だけを見れば悪くない。

 今後の予定としては、宝箱探知のLVを上げて、もっと簡単に見つけられるようにする。


 問題があるとしたら、その先だ。

 姉貴の手帳の情報通りなら、上層の青い宝箱には大した装飾品は入ってない。

 LV4まで強化した装飾品を新人冒険者に装備させて、即席の戦力に出来るぐらいだ。


 つまり、今後の勝ち組になる為の予定はこうだ。

 上層の青い宝箱から装飾品を見つけて、それを強化して、メルに装備させる。

 ある程度強くなったメルと、中層の青い宝箱から装飾品を入手する。

 その装飾品を俺が装備して強化して、さらに下層の青い宝箱を入手する。

 これを繰り返していけば、ダンジョン最下層五十階に到着できるというわけだ。


「フッフッ、これは困ったな」

「何が困ったんですか?」


 勝ち組になると決まった余裕だろうか、勝利の笑みを抑えられない。

 メルが不思議そうな顔で聞いてきたが、まだ話すには早すぎる。


「何でもない。気にするな」

「んっ?」


 気持ちを落ち着かせると、適当に誤魔化した。

 新しい仲間を今から募集した方がいいだろうか?

 それとも装飾品が集まった後の方がいいだろうか?


 まあ、どちらにしても勝ち組パーティに入りたい冒険者は多い。

 強力な装飾品を餌に、俺の仲間になれる券をオークション形式で販売してやるか。

 高額で落札した上位六人を特別に入れてやろう。


「よし、休憩終わりだ。早く家に帰るぞ。これからは宝箱をどんどん見つけてもらうからな」

「はい、任せてください!」

「ああ、期待しているぞ」


 一時間の休憩を終わらせると、立ち上がった。町までもうひと頑張りだ。

 メルも疲れているだろうから、明日は休みにしてやろう。

 本格的な宝箱探しは、体調を万全な状態にしてから始めるとしよう。


 ♢


 自宅……


「こんな時間まで何をしていたんだ!」

「急に何だよ? 疲れているから寝かせろよ」


 晩飯を外で食べて、夜中に疲れて家に帰ると、ジジイとババアが玄関に待ち構えていた。

 理由は分からないが、二人ともかなりキレている。


「いいから、こっちに来なさい! メルちゃんは二階に休んでいていいからね」

「は、はい……おやすみなさい」


 優しくメルを二階に行かせると、二人で俺の胸ぐらを掴んで引っ張っていく。


「訳が分からん。怒っている理由を話せよ」

「あなた、左手を見たわね?」

「ああ、噂は本当だった。結婚までするとは」

「はぁ?」


 意味不明なまま二人の寝室に連れて行かれると、扉を閉められた。

 そして、ジジイがいきなり殴りかかってきた。


「この腐れ外道が!」

「ハッ! ラァッ!」


 当然、歴戦の冒険者に販売員が勝てるはずがない。

 ジジイの右拳を左腕で受け止めて、即座に反撃の右拳を顔面に食らわせた。


「へぶっ……‼︎」

「あなたっ⁉︎」

「何だよ、いきなり。俺は悪くないからな」


 ジジイが殴り飛ばされて床に倒れたが、完全に正当防衛だ。

 言いたい事があるなら、口で伝えろ。拳で伝えようとするな。


「親に手を挙げるなんて……お父さんに謝りなさい!」

「謝らねえよ。何で俺が謝らないといけないんだよ。ちょっと帰りが遅くなっただけだろう」

「うぐっ、か、母さん……コイツには何を言っても無駄だ。正気じゃない」

「ええ、そうね。その通りよ!」


 正気じゃないのはお前達だ。


「カナン、お前には家を出て行ってもらう。メルちゃんは私達が面倒を見る。二度と近づくな」

「はぁ、何言ってんだよ? 巫山戯んな。アイツがいないと駄目なんだよ」


 よく分からないが無茶苦茶な理由を作って、俺を家から追い出したいようだ。

 目的は不明だが、今メルを取り上げられると非常に困る。


「いいか、カナン。これはお前の為に言っているんだ。お前には適切な治療が必要なんだ」

「何の治療だよ? とにかく邪魔するな。今一番良いところで、LVを上げてどんどん良くなるんだから」

「あぁー、なんていう事でしょう! この馬鹿息子は!」

「くっ、もう手遅れだったか!」


 ババアはいつも変だが、今日はジジイも深刻な顔で変な事を言っている。

 どう見ても適切な治療が必要なのは、俺じゃない。

 それとも本当に俺が、聞いた事もないヤバイ病気にかかっているのだろうか?

 

「まったく何なんだよ? もう疲れたから寝るからな」

「待て! 親の前に人として、お前を二階に行かせる事は出来ない!」

「だから、何なんだよ!」

「ぐぅっ!」


 扉を開けて部屋から出ようとすると、ジジイが服を掴んで阻止してきた。

 こっちは四日もまともに寝てないから、イライラしている。

『いい加減にしろよ』という気持ちで、腕を強く振って、ジジイの右手を引き離した。


「この家から出て行け。そして、二度とメルちゃんに会わないと約束しろ! 約束すれば、兵士にも通報しない」

「殴ったのは正当防衛だ。通報したいなら通報しろ。それに言われなくても、こんな家出て行ってやるよ」


 部屋から飛び出すと階段を駆け上がって、俺の部屋に向かった。

 頭がイカれたとしか思えない。偽の暴行事件を用意して、俺を牢屋に入れるつもりだ。

 こんな無料の宿屋程度の価値しかない家なんか、頼まれたって住むつもりはない。


「メル、起きろ。もっと良い家に引っ越すぞ」

「はい⁉︎ えっ、どういう事ですか?」

「理由は後で話す。さっさと用意しろ」

「は、はい!」


 部屋に入ると、寝袋に寝ているメルを起こして、必要な物を収納鞄に詰め込んでいく。

 望み通りに家から出ていくが、メルは連れていく。

 美味い朝食と夕食が出る宿屋に引っ越した方がマシだ。

 宿代は金の卵が宝箱をどんどん見つけて稼いでくれる。


「どういうつもりだ! 家から出ていくのはお前だけだ!」

「えっ、おじ様? これはどういう事なんですか?」


 階段を駆け上がったジジイが部屋の前に立ち塞がった。

 寝起きのメルが混乱しているが、見れば分かる。

 イカれた人間がいるだけだ。


「メルちゃん、もう大丈夫だ。おじさんの所に来なさい。カナンは病気なんだ。しばらく病院に入院する……」

「ジジイとババアの頭がイカれただけだ。メル、行くぞ」

「あっ、はい」


 ジジイが都合のいい嘘を言おうとしたが、その前に引っ越し準備を終わらせた。

 メルの分の服も鞄に詰め込むと、メルの手を掴んで連れていく。

 こんな家は早く出た方がいい。


「この変態息子が! その汚い手をメルちゃんから——」

「邪魔だ!」

「ぐはぁ……!」


 狂ったジジイが掴み掛かって来たから、足蹴りを腹に食らわせて、壁に蹴り飛ばした。

 木壁がバキィと壊れてしまったが、この家から出ていくから気にしない。


「お、お前……」

「おじ様、大丈夫ですか⁉︎」

「大丈夫だ。これで病院で診てもらえる」


 ジジイを無駄に心配するメルの手を引っ張っていく。

 階段の下に鉄鍋を持ったババアが見えた。

 俺の邪魔をする障害物は蹴り飛ばすだけだ。


「その汚い手を離しな! あんたみたいは変態息子は——」

「邪魔だ!」

「あぐっ……!」

「おば様⁉︎」


 階段下のババアが興奮して何か言っていたが、最後まで聞くつもりはない。

 鍋で攻撃される前に、足蹴りで壁に向かって蹴り飛ばした。

 手加減しておいたから、ジジイと一緒に病院で頭の中身を診てもらえ。

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