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プロローグ 復讐について

魔王軍領、ダークフェアリー族の村。

一際高い木材で作られた建物、その最上階の一室。

5つの席が丸い机を中心にして置かている。そのうち一つの椅子は豪華な装飾がほどかされており、他に比べ大きい。

その椅子を除いた4つの席には、4人の羽の生えた人影が座っていた。


「伝令!」


突然出入口の扉が開かれ、1人の妖精が部屋に入ってきた。額には薄ら汗が滲んでおり、急いで来たことが伺える。

席に座っていた4人の視線が、その妖精に一斉に集まった。


「ノックもせずに、入ってくるとは無礼じゃぞ!」


「も、申し訳ございません!ですが非常事態でしたので、報告しに参らせて頂きました!」


「非常事態だぁ?」


「はい!昨日さくじつ、我らが族長が打たれました!」


「……な、何だと!?」


伝令を耳にした瞬間、その場にいた4人は動揺を露わにした。



それから数日が経過した。

会議は白熱し、時間は想像の何倍も速く進む。中央の机には、族長を殺したと思われるシルフギルドの情報資料が激しく乱れて散らばっている。


皆時間は経っても、それぞれ族長の死に動揺を隠し切れない状態。

反応もまた様々。だがシルフギルドに対して、怒りの感情を持っていることだけは一致していた。


「復讐だ!我らが族長の無念を晴らすためにも、シルフギルドに復讐するしかねぇ!」

赤髪で吊り目の男性が、椅子から立ち上がりながら激しい口調でそう叫んだ。


「復讐……しかしどうするのじゃ?族長を殺したとなれば、かなりの手練。しっかりと作戦を立てねばならん。はぁ……大体わしは帝国領で研究をしようとする意見には反対だったのじゃ!こんなことになるんじゃったら、無理を言ってでも断念させるべきであった……。」


「んだと!?てめぇも実験体が多く低予算で捕まえられるとか言って、族長の研究に賛成してたじゃねぇか!俺は意味のわからん帝国の魔術師だかと協力するのは、反対だとしっかり言ったぞ!」


「なんじゃと?貴様も結局、族長の意見に賛成してたでたじゃろうが!地下施設で秘密裏に研究とかかっこいい、とかほざいとったくせに!これだから100年も生きとらん若造は。」


「あぁ!?ふざけんな、無駄に長生きしただけのジジイが!いいぜぇ、大体俺は前からお前のことは気に食わなかったんだ!いい機会だ、今どっちが上かはっきりさせようぜ!」


「望むところじゃ、小童!けちょんけちょんにしとるわ!」


赤髪の少年と白い髭を蓄えた(おきな)は、互いに胸ぐらを掴みあって睨み合う。

だがその2人を、1人の少女が静止させた。


「あの……も、もう止めませんか?こ、こんなときに私たち四天王が仲間割れなんかしたら…た、大変なことになります。お、落ち着いて下さい。」


すると…ずっと黙っていた長髪の青年が口を開く。


「ああ、その通りだ。今は争うべきではない、頭を冷ませ。覆水盆に返らず、過ぎたことはもう後戻り出来ないのだ。ならば今、やれることをしないでどうする?」


「そ、そうじゃな……。」「くそっ!」


その男の言葉により、2人は素直に席に座った。

少女はほっとため息をつく。


「そ、それで復讐はどのようにしますか?やはりシルフギルド全員皆殺し……ですかね?そ、それが一番手っ取り早いでしょうし……。」


「いや、それは現実的ではない。」


「おいおい、じゃあどうすんだよ!復讐しねぇなんて言わねえよな!ここで復讐しなかったら、族長が魔王軍幹部にまで上げてくれたダークフェアリー族の地位は爆下がりだ。族長の無念を晴らせずして何が四天王だよ、笑えるぜ。」


「もちろん復讐をしないとは言っていない。ただ全員を殺すのは、時間的な関係と帝国領潜入を考慮すると難しいと言う話だ。」


「ふむ。その通りじゃが、ではどうする?族長を殺したクリスタとやらだけを始末するのか?」


「いや、それでは面白味にかける。本人を殺すより、その本当に何よりも大事な人殺す。これ以上の復讐はない。それで逆上しダークフェアリーを殺そうと攻めてくれば、さらなる儲けものよ。」


「はっ、その通りだな。じゃあやっぱり、シルフギルドのギルドマスターとか言うやつか。この資料を読めばその女は、このギルドマスターとやらに酷くご執心なようだぜ。」


「だ、だけどギルドマスターと言う存在は、基本的に事務処理でギルドにいると言う話を私…聞いたことがあります。それではやはり難しいと言うか何と言うか……。」


「いや、それについては問題ない。シルフギルドのギルドマスターは丁度今、旅をしているらしい。シャーク街で確認したと、私の部下から報告が来ている。」


「へえ、絶好の機会じゃねえか!四大ギルドのギルドマスターを殺せば、復讐も叶える上にダークフェアリー族の評判もさらに上がるぜ!」


「か、帰り道を襲うとして……それなら族長が作ってくれた帝国への空間移動装置も使えますよね。空間魔法に近い街を帰りの経路に使うなら、その街ごと襲撃なんて。ふふ……そしたら、帝国の人いっぱい殺せる。」


「おお、それはいい!帝国の民を多く殺せば、魔王様もさぞお喜びになるじゃろうな。よし、わしも街ごと襲うのに賛成じゃ。包囲して殲滅戦じゃ!」


「そう話を急ぐな。街ごと襲うかは、空間移動装置のあるグリフォン街付近の街にのみ限られる。あくまでも狙いはギルドマスターただ1人だ。それを忘れるな。」


「その通りだぜ。それに街ごとってなりゃあ戦力も変わるだろ?あと疑問なんだが……シルフギルドのギルドマスターってのは強えのか?」


「なんじゃ?我ら4人でも勝てないと言っとるのか?」


「あ?んなこと言ってねぇだろクソじじい!話聞けや!族長を倒した奴の親玉ってんだから、警戒すんのは当然だろ!」


「その警戒心は流石だ。ただ問題は無い、視察によればこのギルドマスターは魔力の気配を感じないほどに、微弱な魔力しか持っていない。」


「感じないほど……ですか!?そ、それがシルフギルドのギルドマスターとは、何だか妙です…ね。も、もしかして何か秘策を持っていたりとか……。」


「なんじゃ、ビビっておるのか?単純に考えれば、トップとしての才能を持った雑魚じゃと言うだけであろう。強くはなくともリーダーシップに長けとるものはおる。大声では言えんが、現に魔王様よりも吸血鬼族や妖狐族の族長の方が強いじゃろう。そういうことじゃ。」


「そ、それはそうですね……。わ、私如きが的はずれな発言を……すいません。」


「いいや、警戒し、もしもを予想することは大切なことだ。そう卑下するほどのことではない。ただ他の未知なる力があったとしても、我ら四天王が手を合わせれば問題ないだろう。それに族長から支給された、魔力増強剤を忘れたのか?」


「え、あれを使うのか!?あれは……、」


「もちろん万が一と言う状況のときだけだ。持っておくことに損はないだろう?」


「ふむふむ、すまんその通りじゃな。いつでも予想外の事象を考慮し、魔力増強剤を使えるように準備しておくことは大事じゃな。失念しとったわ。」


「ああ。では私の部下には、シルフギルドのギルドマスターを続けて監視するよう伝えておく。帰りのルートが分かり次第、再び集めることとしよう。それまで民には、混乱を招かぬよう知らせぬように」


「ああ、もちろんだぜ。」「そうじゃな」「は、はい……。」


「では解散だ。」


青年の一言で、長く続いた会議は終了した。


シルフギルドのギルドマスターを殺す。

その目的を果たし復讐を遂げるため、一つの組織が秘密裏に動き出した。


超短めですいません。第二章始まります。

第二章は視点移動がかなり多くなるので、ご注意ください。

多分ですが一章よりも誤字脱字多めですので、報告して下さると幸いです。


『続きが読みたい』や『打ち切りになって欲しくない』と思う気持ちが少しでもあって下さるなら、評価、感想頂けると非常に嬉しいです。

反応があると、泣いて喜びます。

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