第十九話 魔力について⑧
扉奥の階段を完全に下ると、そこにはまっすぐ伸びた長い廊下があった。その両脇には多くのドアがあり、多数の研究室があることが窺える。
僕とクリスタ、ダイヤの三人は、その長い廊下を周りに気を配りながら進むこととなった。
「本当に地下で研究しているようですね。未だにこの光景が信じられませんが。」
「うん……、それにこれ、けっこう広そうだね。」
「はい、廊下がどこまで続いてるのか皆目検討がつきません。こんな場所で人目を盗み、どんなことを研究しているんでしょうか?」
「わざわざこんな場所でやる以上、ろくな研究ではないだろうな。それにしても研究室がありすぎだとは思うが……。」
部屋を入り口の小さな窓から覗くと、何人かの白衣を着た人間が黒板や紙に何かを書きながら研究している様子が見える。それにさっきまで調査していた研究室では見てないような、機械も多くあるようだ。
黒い液体…のようなものを生成しているのだろうか?
何個ものフラスコに黒い液体が入っており、どの部屋を覗いてもそのフラスコが置かれている。
詳しくは分からないがどうやら入り口付近の部屋の中では全部、その黒い液体に関する研究施設のようだ。
何だか嫌な予感がして、自然と足が速くなる。
長い廊下は奥まで進むと、道が二つに別れていた。
道の先はまた曲がり角になっており、先が見えない。
「どちらに進みますか?」
「そうだな……私の予想ではあるがこっちだ。」
クリスタは迷う様子もなく、左を選択して進む。
こういうときは右手の法則に乗っ取って、右に進みたいところだが……、今はクリスタがリーダーなので彼女に従うことにしよう。
奥に進むと再び研究室が並ぶ廊下、そして再び左右に分かれる道である。
クリスタは迷うことなく、次は右へと進んだ。
その後も、何度もの分かれ道に遭遇し、クリスタの思うままに僕らは進むことになる。
下ったり、逆に登ったりすることもあり、もうどのぐらい深くまで歩いてきているのかも、何度曲がったのかも…分からない。
廊下や研究室のドアには一切の特徴が無く、何の変哲や異常性もない。
まさに迷路。
だがそれでもクリスタは戸惑う様子が無く、歩き続けている。
「クリスタ、これ帰り道は大丈夫なの?せめて何か目印を付けてくるべきでだったと思っているんだけど……。」
僕は少し不安になり、そう前を進むクリスタに話しかけた。
すると彼女は、くるりと回って僕とダイヤの前に立った。
「なんだ、フォス気づいてなかったのか?下を見ろ、下を。」
クリスタはそう言って、人差し指で床を指す。
そう言われて、床を見るのだが特に異常は無い。ただの見慣れてきた研究室の床。
いや……、違うな。彼女の言うことだ、何かある。
そう思って、目に大量に魔力を流して床を凝視する。
すると……ほっそーい一本の魔力の線が見えてきた。その線をたどると僕らが歩いてきた道に続いている。そしてその線は驚くことに、彼女の指先から出ていた。
「え!?何この線……、」
ダイヤもその線に気付き、驚きの声を上げる。
「まさか……、ずっと魔力線を出して歩いてきてたんですか?」
「そうだ。さらに言えば、実は食堂を出たときから出してた。」
「え!?」
「てっきり、もう気づいてるのかと思ったよ。これで迷うことなく安心だろ。」
クリスタはそう言って、二かッと笑って見せた。
まさかそんなことをしていたとは……全然気づかなかった。
食堂からここまでの距離を魔力線で床に記すなんて発想は僕にはない。
それに魔力と言うのは時間が経てばすぐに消えてしまう。これを可能にするには長時間残る何かの工夫が必要のはずだ。
特殊な魔法が使われていると考えるべきだろう……、やはりクリスタは計り知れない。
「む、おっと近づいてくるな。声を追ってここまできていたのだが……、」
彼女の魔法に感心して立ち止まっていると、不意に誰かの声が聞こえた。
この道の先からだ。声色が高く、幼いように聞こえる。
子供の声だろうか?
と言うか……この音を追って来てたって…今まで全く聞こえていなかったぞ。
クリスタめ…さらっと五感に魔力を集中させていたな。それもかなりの魔力量。
僕の魔力量ではそんなことしてたら、先に魔力が切れてしまう。
クリスタの言うように、幼い声はどんどんと僕らのいる場所に近づいて来ている。
そして前の曲がり角から、一人の子供が飛び出してきた。
ボロボロの服を来ており、察するにまだ五歳くらいの少年。
身なりからして奴隷だろうか?
何故、奴隷がこんなところに……。
「お姉ちゃん、助けて!」
少年は突如そう言うと、先頭にいたクリスタに抱きついてきた。
予想外の状況ではあるが、クリスタは冷静にその少年を受け止める。
「少年どうした?何故こんな場所に?」
「僕たち、このままじゃ変な注射打たれて殺されちゃう!助けてよ!」
その少年は半泣きの様子で、そうクリスタに懇願する。
変な注射?
気味の悪いワードが聞こえたかと思えば、その少年の後を続くようにして白衣の男が走ってきた。
三十代くらいと見られる、眼鏡をかけた男だ。
「待て!逃げるんじゃない!……って、おっと助かった。まったく…この研究施設には一日中部屋にこもって研究している奴らしかいないから、追いつけなかったらどうなるかと思ったよ。確保してくれて、感謝する。」
彼は、薄っすらと笑みを浮かべ安堵した表情を浮かべる。
どうやら、僕らが少年を捕まえたように見えているらしい。
今の僕らの姿は冒険者ではなく、白衣を着た研究員の姿。
彼が僕らを仲間だと勘違いしているうちに、あのときの研究員たちと同じように拘束すべきか?
少年が逃げている理由、この地下施設、聞きたいことは山ほどある。
いや、ここは騙して冷静に仲間を装うべきか?しかしそれではこの少年が……、
「助けて!お姉ちゃん!お兄ちゃん!実験体になって殺されるなんて嫌だ!」
少年の必死の叫びが聞こえる。
もし僕が正義のヒーローなら今すぐにでも少年を保護して、目の前の男を殴り飛ばすのだが……、僕にはそんな武力も権利もない。この判断権はクリスタにある。
その彼女の手がゆっくりと動くのが見えた。
「助けて、おねえっ…………」
少年は一瞬にして動かなくなった。クリスタの容赦のない手刀が少年を気絶させたのだ。
あまりにも無慈悲、だがこの選択が冒険者としては正しかったのかもしれない。
この施設の調査のためには、この男に解け入った方がこの地下施設を念入りに調査するには都合が良い。
僕らのすぐ傍には多くの研究室の扉があるのだ。今少年が叫びながら来た以上、他の研究員も何があったのかとこちらの状況を気にしているはず。ここでこの男を倒すなんてことになれば、すぐに周りが敵だらけになってもおかしくは無い。
だが……きっと冒険者としては正しくても、人間としては正しくない。
クリスタも本意ではないだろう。それでも冷静に判断を下し、気絶した少年を目の前の男に渡す。
「おお、助かります。む、三人とも見ない顔ですね。新人ですか?」
「はい、そうなんですよ。実は今日は施設長に、この地下研究施設の案内を頼んでいたんですけど……聞いてますか?」
クリスタはいつもよりも高い声で媚びるようにそう言うと、、少し腰を曲げて白衣の男を上目遣いで見るような姿勢をとる。
「い、いえ、しかし…なるほど、そうでしたか。今日は急な冒険者の調査があると聞きましたから、カル施設長が対応するのは難しいかもしれませんね。」
「そ、そうなんですか!?どうしよう……この施設を案内して下さる方がいらっしゃらないと……、困りました。」
クリスタはわざとらしく、そんなことを言って困り顔をしている。
そして上目遣いで何かを訴えるような仕草で、目の前の男を見ているのだ。
ただ…よく見ると彼女の指が動いているのが見えた。どうやら空中に魔力で文字を書いているらしい。
『もし会話しない方が良いと判断したとき、また会話が何らかの理由があってできないときは、このように魔力を乗せた指文字を使う』
僕はクリスタの言葉を思い出し、再び魔力を目に流して彼女の書いている文字を見る。
暗号を解くと『私の演技にのれ。』と書いてあることが分かった。
どうやら彼女の演技に僕らも乗らなければならないらしい。いきなり演技しろと言われた上に、事前の打ち合わせ無く話を合わせなければならないのだから、けっこう難しい注文だ。
なかなか無茶ぶりをしてくる。
「どこかにカル施設長の代わりに案内して下さる方がいると助かるんですが……。」
僕はとりあえずそれっぽい、演技をして見せた。大丈夫だっただろうか?
「そうですね。けれどそんな優しい方いませんよね……。」
ダイヤも僕の演技に続くように、チラッとわざとらしく前の男を見る仕草をする。
ちょっと声色に違和感があるようにも思えるが、怪しまれなければとりあえず大丈夫なはずだ。
僕とダイヤの渾身の演技、その成果はいかに……
「なるほど、では私が施設の案内をしましょうか?私の実験体が、迷惑をかけてしまったことですし……。」
来た!!
どうやら僕らの演技は大成功したようである。
良かった。こんな緊張する環境の中演技しろだなんて初めての経験だった。
心の中で勢いよくガッツポーズする。
「ええっ!?案内して下さるんですか!?嬉しいです、良かった!助かりました!」
クリスタは嬉しそうにそう言って、喜んで見せた。
「はい。では行きましょうか。まずは奥の研究実験室ですかね。」
男がそう言って廊下の奥に進んでいく
クリスタは横に並ぶようにして歩くと、自然に彼の腕を取っていた。
白衣の青年はすでに鼻が伸びているような様子である。すでにクリスタの術中の中にいるようだ。
後ろをついていく僕に、ダイヤが耳打ちで話しかけてくる。
「クリスタさんってあんなにも演技派なのですね。いつもと違いすぎて、ちょっと気色悪い。」
「いつもを知ってるとぶりっ子っぽいていうか…あざといっていうか…そんな感じに見えるよね。あれはね、クリスタのゼッタイオトスモードさ。」
「ゼッタイオトスモードですか?」
「うん。どんな男性であろう誘惑して、恋に落としてしまう恐ろしいモードだよ。ああ、なると演技だと分かっている男であれ瞬殺しちゃうんだ。あの男もすっかりクリスタの手のひらの上だね。」
「ええ……どんな男性でも落とすんですか?怖いですね。」
「うん。唯一の例外は本人曰く、ギルドマスターだけらしい。」
「さ、さすがギルドマスターですね。強そうには見えないんですが、なんかあの人頼りになるんですよね。」
前を歩く男に聞こえないように小声でそんなことを話しているうちに、いきなり視界が広がった。
どうやら長い入り組んだ廊下を抜けて、広がった場所に出たようである。
そこには多くの白衣を着た人間がいた。
大きな実験室のようで、密閉された大きな部屋が何個かある。
ガラス越しに密閉されたその部屋の中は、外から鮮明に見ることができた。
部屋の中にはさきほど捕まえた少年に似た、10歳にも満たないような少年少女が一列に並ばせられている。服の粗末さや体の成長具合から見て、奴隷だろうか?かなりの人数がそこにはいた。
そして何人かの白衣を来た人間が、その並んでいる少年少女に無理やり注射をしているのである。
その注射の中に入っている黒い液体は、地下施設の入り口の研究室で見たものと同じようだ。
やっぱり、あの注射は嫌な感じがする。
部屋の中に意識を持っていかれていると、白衣を着た男性の一人が僕らに近づいて来た。
僕らを少し気にするように見てから、先ほど気絶させた少年を受け取る。
「そちらの方は?」
その研究者はやはり僕らが気になっているようで、僕らをここまで導いてくれたメガネをかけた男に話しかける。
「新しい研究員だ。今、この施設の案内をしているところだよ。」
彼がそう言うと納得するようにして僕らから離れ、少年を部屋の中に連れて行く。
冒険者であることがばれなくて良かった。
「えっと…あの注射の液体ってあれですよね、あれ。あれ?出てこない。何でしたっけ?」
クリスタは完璧な演技を駆使して、眼鏡の男にそう質問する。
彼女は既に男の腕をとり体を密着させている。もうこの眼鏡の男はクリスタにメロメロだ。
完全にクリスタの操り人形である。
だが、恥じることではない。こうなるのはもう、男である以上しょうがないのである。
クリスタは男性を落とすためのルックス、体系、仕草、全てを兼ね備えている上に、数個の会話や表情、反応で、よりその男性好みの女性へと変化していくのである。
さらにこの演技力……、もう女優にでもなった方がいいのではなかろうか。
「あはは、忘れてしまいましたか?特殊な魔族因子ですよ。人間に強制的に闇属性の魔力を発現させる注射です。と言っても成功例は少ないのですがね。」
白衣の男はだらしない顔をしながら、そうペラペラと答えた。
なんだと、闇属性魔力の発現?
それはまるで、カイヤに起こった症状とまるで一緒では無いか。
まさかカイヤとこの研究施設に何か関連があるのか?
それに成功例は少ないだと……。それはつまり……、
そう思ったとき、密室された部屋の中の光景に僕は目を疑った。
視界に飛び込んできたのは、おぞましく恐ろしい光景だったのだ。
部屋の中にいた五歳くらいの少女が注射された数秒後、うめき声をあげ始めたかと思えば、腕や足がもげて出血するとともに中から魔力の塊が吹き出したのだ。
発狂し、目や口から闇属性の魔力が吹き出し、赤色の血が体の穴という穴から吹き出す。
そうして跡形も無くなった。
それもその少女だけではない、注射を刺された子供たちが血と魔力を吹き出しながら全員跡形も無くなっていく。
数秒のうちに部屋は血で染まり、外からは見えないほど壁に赤色の液体がべったりとこびりついた。
僕は言葉が出なかった。そして湧き上がってくる吐き気。
いままで多くの人の死を見てきた僕でさえ、気分が悪くなった。吐かないように、何とか吐き気を飲み込む。
あまりにも、あまりにも…恐ろしい光景。
人間にこんな仕打ちをして、何も感じていないこの場にいる研究者たちが信じられない。
いや、奴隷を皆、物としか思っていないのだ。
この世界にいる僕以外の人間はそう、奴隷に対して誰も人間として見ていない。
僕もこの世界に住んである程度価値観に慣れてきてはいたが、これは流石に目に余る。こんな実験、ふざけている。
僕は無意識に握りこぶしを作っていた。
異変に気付いたのか、ダイヤが僕の傍に寄り添って来る。
彼女は僕の握りこぶしを両手で包むと、小さく横に首を振った。
「フォスさん……ここは耐えましょう。私もこんなにも辛い光景を見たことがないです。けれど奴隷の人体実験は違法ではありますが、まだ証拠がありません。だから……、」
ダイヤは悔しいそうに、必死に唇を噛んでいる様子だった。彼女の手も気づけば震えている。
ただその様子は少し予想外だ。この世界の人間はどうであれ奴隷を物として捉えているように考えていた。
「ああ、分かってる。その……ダイヤは奴隷が物だとは思わないのか?」
「わ、私は教会の孤児院でこういう貧しい子供たちを多く見てきてますから……、この光景はとても…辛いです。」
「そうか……、ごめん。変なことを聞いた。」
「いいえ、大丈夫ですよ。」
ダイヤはそう言って、僕の拳を力強く握った。
奴隷に対して理解を示す、そんな人たちもこの世界にはいるらしい。
変な様子を見せては他の研究員に疑われる恐れがある。僕もここはしっかりしなくては……。
あんなことになる子供たちがこの世界からいなくなるために、この調査に先ずは集中しなければならない。
「ちょ、ちょっとこれは驚きましたね。そうそう特殊な魔族因子でした。それで……、この魔族因子の実験の成功例について、何か共通点は?」
クリスタは会話から情報を読み取りつつ、巧みに知っている風に会話を続ける。
「来たばかりなのに、そこに注目するとはさすがですね。まさに今のがそれを探す実験です。見ての通り失敗ばっかりですが……。成功例は9件しか報告されてない以上、ちょっとした条件から探していかなければなりませんからね。奴隷を使うのが一番効率がいいんですよ。」
男は目の前で人が死んだと言うのに、ヘラヘラとそんなことを言う。
僕にはとてもじゃないが信じられない。
「なるほど……、その成功例とか今までの実験結果を、より詳しく知ることのできる資料はないのですか?」
「そ、それはありますが……残念ながら見せることはできないです。そう言う決まりなんですよね。」
「ええ!?私、この研究に興味をとても引き寄せられました。その、チラッと見せるだけでいいのですが…ダメですか?」
「い、いや、流石に……、」
男が少し、たじろいたのが見えた。
僕らが部屋の入り口近くにいることもあり、他の研究員には聞かれていないようだ。こんな会話聞かれたら、大問題になってしまう。
「ええ、絶対バレないですよ。それに見せてくれたら私、お兄さんにがお願い聞いてくれるなら、何でもしてあげるのにな~。」
クリスタはそう言って、白衣の男との距離をより密接にする。
甘えるような声が、僕の耳にも聞こえた。
「な、何でも!?……しょ、しょうがないですね。絶対に秘密ですよ。」
白衣の男は鼻息を荒くしながらそう言うと、実験室のさらに奥の部屋へと進んだ。
ここまでかなり歩いて来たと思うのだが、まだまだ先はあるらしい。
もしかして上の研究施設と同じぐらいのものが、この地下にもあるのではなかろうか……。
山深くにこんな大それた研究施設を作るとは、どれだけのお金が動いたのか計り知れない。
奥の部屋は今までとは一風変わって、多くのセキュリティロックがかけられている。
男がそのセキュリティを解除するとまた道が広がっており、そのまま何個ものセキュリティを解除して、多くの見慣れない場所を歩き抜ける。
奥にも、まだまだ多くの研究室はあるようだ。
ある程度歩き続けると、ひときわ大きな扉と厳重な魔法陣で施錠されている扉が見えてきた。
男がICカードのようなものを使ってその施錠を解除して中に入ると、そこは縦長で驚くほどに広い部屋。
今までとはスケールが違うくらいには大きい。何個もの棚があり、大量の紙資料が整頓されて置かれている。まさに研究結果の保管書。この地下施設の地図と思われる資料まであるようだ。
ギルドにも依頼書などを保管する、これに似た部屋があることを思い出す。
注意深く見ると、部屋の奥には厳重な金庫が一つだけ置いてあるのが見えた。
「君たちは外で待機ですよ。いいですね?」
眼鏡の男はそう言うとクリスタだけを連れて、僕とダイヤを外に追い出した。
しょうがないので、扉の前で待機する。
「まさかここまで、色々なものがある研究所でしたとは…驚きですね。クリスタさんが魔力線を書いてくれてなきゃ、確実に迷子ですよ。」
「本当、その通りだね。この研究所の裏側……、全部解明してやりたい。」
「ふふ、フォスさん燃えてますね。私も全く同じ気持ちです。あんな実験する奴ら、絶対に許しませんよ。」
「うん。ここまでサクサクこれたのは、全部クリスタのおかげだね。あの少年には本当に申し訳ないことをしてしまったよ……。」
「それは……そうですね。この調査が終わったら、この施設で亡くなってしまった子供たちのお墓を作りませんか?罪滅ぼしとまでは言うつもりはありませんが、せめて私たちができることをしてあげたくて……。」
「うん、そうだね。」
こうしてダイヤと一分くらい話していると、再び扉の施錠が解除された。
そして中から、笑顔のクリスタが顔を覗かせる。
部屋を見ると眼鏡の男が完全にのびた状態で気絶していた。どうやら部屋奥の金庫の施錠を解除させた後、クリスタが気絶させたらしい。
金庫の中には、研究報告書と思わしき紙束が見えている
完璧すぎる手際、流石クリスタと言わざる負えない。
僕とクリスタは部屋に入ると、誰かに見られないように再度部屋を施錠する。
それを確認してクリスタは、金庫の中にあった紙束を拾い上げた。
そして僕らの目の前に力強く、突き出す。
「さて……いろいろあって君らも怒りが爆発しそうだろう。だが、ここからは反逆開始だ。この施設の違法証拠根こそぎ頂いていくぞ!」
クリスタの声は力強く、迫力がある。
やっと……、やっとここまで来ることができた。
「「はい!」」
僕とダイヤも、クリスタに負けないくらいの力強さでそう呼応した。
ご愛読感謝申しあげます。
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