三話
よっしゃ、また時間できたぜ!!
「お邪魔しまーす」
結局、俺は折れた
いくら人がいない薄暗い道であっても土下座をしながら大声で『泊めてください』なんて叫ばれたらお巡りさんが来てしまう
俺が泊めてやってもいいと言うと狂喜乱舞しながら俺に感謝をしてきた
「はあ…………..で、お前はいつになったらここを出ていくんだ?」
「えっと………一年ぐらい?」
「長えよ!もうちょっと遠慮というの知らないのか?!」
「いやぁ、ちょっとこっちも色々とありまして………」
バツが悪そうに目を逸らす
俺は大きなため息をつく
「まあ、いいけどさ」
「ええ!?正直ダメもとだったんですけど!?」
「部屋はたくさん空いてるし、金なら腐るほどあるし」
「しかも、この家自体が森の中にあるから周りにも気づかれないし」
俺は一息ついて
「もうすでに、前例がいるし」
俺がそう呟くとリビングからドタドタという忙しない音がして
「おかえりぃ、える!」
そう言って俺に幼女が元気一杯に抱きついてくる
「ただいま、メル」
俺は抱きついてきた幼女ーーメルに挨拶する
メルは紫紺の髪を俺の胸にぐりぐり押し付けて喜びを表していた
すると俺の後ろにいるやつに気づいたのかちょっと不機嫌そうな顔をして
「このおんなはだれ?」
「メルと一緒のホームレスだ……..多分」
するとあいつはぶんぶん首を横に振る
「失礼ですね!僕も家ぐらいありますよ!!」
「じゃあなんで俺の家に泊まろうとしたの?」
この質問をするとまた罰が悪そうな顔をして
「いやぁ、まあ、うん。………….色々あるんですよ、色々」
こいつは頑なに俺の家に泊まろうする理由を言わない
多分家族がらみな気がするが、熱りが覚めるまでここにいさせようと思う
そんなこんなで話していると
「ーーお帰りなさいませ、主人様。とりあえず、雑談は大広間で話した方が良いと思います」
うちの屋敷の唯一の使用人ーーエリスがそう言ってきた
〜※〜※〜※〜※〜※〜※〜※〜
「とりあえず、名前を教えてくれない?」
俺はこの謎の女に自己紹介も兼ねてどうしたいかを話してもらうことにした
「僕の名前は三日月燈で、種族は『吸血鬼』です。それで、君たちの名前を教えてはくれませんか?」
「俺の名前はフェルト・A・エルミーナだ、種族は『人間』」
「わたしのなまえはメルっていうよぉ、しゅぞくは『人間』!」
「私の名前はエリスと申します、種族は『亜人』のエルフに該当します」
一通りの自己紹介が終わったあと、俺は燈に今後どうしたいかを聞いた
「僕はとりあえず、この家というか屋敷に泊まらせてくれればそれで十分です。ご飯は最悪、そこら辺の食べられる花でも食べますので」
「いや、流石にそれはなぁ。……….別に全然いいぜ?ここでタダ飯一年間貪り続けても」
「さ、流石にそれは気がひけると言いますか……..」
「大丈夫だって、メルもそうだし」
「ちがうもん!メルは『しゅっせばらい』するからただめしじゃないもん!」
「はいはい、将来楽しみにしてるぜ〜。別に平気だろ?エリス」
「はい、1人分くらい量が増えたところで特に何も変わりません」
「だとさ、だから安心してここで飯食っていいぞ」
燈は少し後ろめたそうに
「わ、わかりました……..」
と、俯いた
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