プロローグ
チュンチュン
朝、雀の鳴き声を目覚ましがわりに起きる
欠伸をしながら顔を洗いに行き、寝癖でボサボサになった髪を見る
煌びやかな金髪は腰あたりまで伸びているが、今はどこもかしこも髪が跳ねている
眠そうな綺麗な蒼目をしているのが自分であり、寝起きで少々不機嫌そうな顔をしている
洗面台の位置は他と比べると低いはずなのに腰あたりまでしか映らない
自分の身長の低さに憂鬱になる
そんなくだらないことを考えながら顔を洗い、適当に食パンにジャムを塗って紅茶を飲む
テレビをつければ、車の衝突事故だの今おすすめの店なんだのと自分には関係のない話ばかりのニュースを聞き流し、時間がくればカバンを持って高校に行く
それがーー『俺』である、フェルト・A・エルミーナの日常であった
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この世界は紀元前2000年前、沢山の種族同士で争っていた
まず、1番数が多い『人間』
数は多いが他の種族と比べると自力でかなり劣る
この世界の『魔法』は使えなくもないがそれも他の種族に比べれば劣る
先天的な『スキル』持ちはそこそこ多いが元の身体能力で劣っているため1V1ではまず勝てない
しかし、『人間』は持ち前の『数』と『頭』で他の種族に対抗していた
2番目に数が多いのが『亜人』
『亜人』とは、そもそも『人間』と同じような見た目をしながらも『吸血鬼』と『神』以外の人間にはない体の特徴もつ者のことを指す
そのため、『亜人』といっても色々な種類がある
索敵能力に長けた『犬』
敏捷性に長けた『猫』
筋力に長けた『鬼』
『魔法』に長けた『狐』
他にも種類はたくさんあるが、それを一括りにしたのが『亜人』という種族である
『人間』と『亜人』だけで世界人口の約八割を占める
3番目に多いのが『吸血鬼』
『吸血鬼』とはその名の通り、血を飲んで生きる種族である
血以外も食べるが、主な主食は血である
同じ種族の血は飲んでも栄養にならないため、他の種族の血を飲むしかなくなり、色々な種族と戦っていた
数こそ少ないが、力も『魔法』も『亜人』や『人間』より圧倒的に高いため、基本的に全戦全勝だった
しかし、戦ってはいたものの戦いが好きなわけではなく、食料を得るために戦っていたため血と食べ物さえあれば基本的には温厚だった
1番数が少ないのは『神』
『神』とは基本的に他の種族とは『無干渉』だったが、『亜人』や『人間』が向こうから戦いを仕掛けてきた場合、応戦していた
『神』は『魔法』、『スキル』、力、どれをとっても全種族中最強だったため次第にどの種族も喧嘩を振らなくなっていった
しかし、『人間』、『亜人』、『吸血鬼』はいつまでも戦っていたため世界の『管理人』と呼ばれる者が降りてきて、強制的に戦いに終止符を打った
そしてその『管理人』の指導のもと、平和な世界にするためにいろんな種族が動いていった..........
.............ていうのがこの世界の成り立ちだ........っておい!エルミーナ!授業中に寝るな!!」
俺はクソつまらないお経のような授業を聞いていたらいつの間にか寝ていたようだ
顔を上げれば、歴史の先生であり、担任でもある麻里先生(もうすぐ三十路)が俺に向かってキーキー怒っていた
周りは当たり前の風景を見ているような感じで苦笑いしていた
俺は大きくため息をつき
「............授業、退屈だなぁ」
とつぶやいた
「本人がいる前で退屈とはなんだ!!!!後で職員室に来い!!!」
麻里先生の説教は完全に聞き流しました