~雛鳥の遺愛(仮)~ 歌詞
【雛鳥】【羽ばたき】【遺愛】……かな。
雛鳥が産声を上げて鳴いていた。
直向きな雛鳥よ。かの火の鳥のように華々しく、
自らの羽根で飛び立って、羽ばたいて行け。
今はまだ、鳴いてばかりで一人では何にもできないけれど、
その大きな亜麻色の翼に包まれて感じる優しさと温もりが、
わたしたちの全てだった。
あなたに手を焼かせてばかりだった。
わたしたちにも一人でできることが増えて、
改めて、誰よりもたくましく美しい、
亜麻色の翼に憧れを抱いた。
いつまでも、あなたの手を取っていたい。
それは突然目の前に現れた。
黒い瞳と翼の死神に突き立てられた愛のないくちばしから、
守るように羽ばたく亜麻色の翼。
喧騒のあとの、静まり返った夜に、
二羽の雛鳥たちは、寄り添い合いながら泣き続けた。
親鳥は、過去に産声を上げて鳴いていた。
かつての雛鳥は自らの羽根で飛び立って、雛鳥を抱えていた。
そして記憶に映る面影を辿るように、
たくましく雛鳥を守るため、
大きな亜麻色の翼で、黒い瞳と翼の死神に立ち向かった。
かの火の鳥のように、華々しく――
燃え尽きることが出来なかったとしても、
この面影を宿してくれる雛鳥がそこにいるから、
辛くはない。
雛鳥が産声を上げて鳴いていた。
直向きな雛鳥よ。面影のように、
自らの羽根で飛び立って、羽ばたいて行け。