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機動兵器・レッグベース  作者: ベルベル
本編
7/53

経験

ラック(Luck)

ピンチ・ヒッターのパイロットで、実はノマの同期。とはいえ、若干先輩。

初日からLBの左腕を破壊された不運な男。

しかし、才能はあるようで最近の活躍が話題になっている、明るく陽気な性格の男。

一対一の決闘を所望する。ピース・シティ付近の荒野に来い


突然こんなメールが届いた。差出人は?誰だろう。


「確か、よく新米のLB乗りに決闘を申し込んでる人がいるって聞きましたね」

『んん?そんな奴に目を付けられたのか…面倒だなぁ』

「無視しちゃってもいいんじゃないですか」

『でも、せっかくLB戦の経験が出来るなら、受けてみてもいいかもしれない』

「別の都市に移動する資金もちょうど溜まりそうですしね、分かりました、フィエスタローズの状態をチェックしてきますね」


単独では初のLB戦だ。自分なりに基礎は学んでいるつもりだが、体で覚えるには実戦が一番だ。

しかし、報酬付きの決闘とは、変な奴だ。




「間もなく指定された区域です」

『何もない荒野か…ん?』


ポツンと一機のLBが立っている。


「そこのLB、お前がフィエスタローズか?」

『そうだ、お前は?』

「LB初心者応援サービス会社、LB戦担当のコバヤシだ。私に勝てば報酬金をくれてやろう。」


LB初心者応援サービス会社?なんだそれは。全く聞いたことが無い。


「レーダーには一機しか居ませんね」 

『本当にただの決闘なのか…』

「あぁ、そしてこの決闘はLB戦の練習も兼ねている。悪いことは無いだろう?」


ま、まぁ、やるだけやってみよう


「それでは三十秒後に開始する。私も上手くは無い、緊張せずにやってくれ」

『わかった』


挿絵(By みてみん)


『三…ニ…一…!』


開始と共に一気にブーストし、ジグザグ移動をしながらマシンガンを撃ち込む。

ダメージはなくても被弾により焦ったり、思うように動けなくなる事はある。

チャージショットで体勢崩しを狙うのもアリか?


「速いな、パイロットが振り回されている様子は無い。」

「ノマさん、焦らず、慎重にです…」


頭部レールガンで弾幕を張りつつ、チャージを開始する。 

敵はAM社の汎用型LB、AM-2L- Queenだ。武装も一般的なマシンガンを装備している。持ち前のパワーで格闘もでき、曲面の多い装甲は弾を弾きやすい。ハイ・ブーストでの高速戦、突撃など、できる事は幅広い。


相手が小ジャンプを繰り返し始めた。機体の予測射撃を、緩急を付けることで避けるのだ。


「無駄撃ちはせず、着地を狙うか。LM時代の経験も活かされている様子だ。」

「焦らずです。焦らず隙を伺って…」


チャージが溜まった。あとは隙を伺うだけだ。

実は今回、圧力ボムという物を持ってきている。

高硬度セラミック製容器の中に発熱器を入れ、一気に内部の空気を温め圧力を上げ、容器を破裂させるという物だ。

人間ならやけどでは済まない熱と、軽量級LBなら一撃で体勢を崩せる衝撃力を持つ。


『こいつで…!』


大腿部のホルダーから圧力ボムを取り出し、2つ同時に投げつける。


「圧力ボムか。足を止めて姿勢崩しを狙うか。」


少しよろけた所にチャージショットを叩き込む。

ハイ・ブーストで一気に距離を詰めて回し蹴りを叩き込む。


「ぅっ…良い手際だ。ある程度手を考えてから来た訳か。」

「ナイスですっ!」


横に倒れた所に反対の足ですくい上げるように蹴りを入れる。


「甘いな。全てが思い通りに行くわけではないぞ。」


各部のブースタを巧みに利用し緊急回避された。


『…!?なんだこの動きはっ…』

「LB相手に常識が通じるものか。」

「ノマさん避けてっ!」


一瞬で体勢を立て直しながらハイ・ブースタを起動し、飛び蹴りを叩き込まれた。


『う゛っ…!』


モロに食らってしまった。首をやったか…

機体が後ろに吹っ飛び転倒する。


「すぐに体勢を立て直してくださいっ!」

「攻撃の後の隙を誤魔化すのも大事だぞ。」


更に距離を詰めてくる。

ハイ・ブーストで一気に上昇して相手の上をとる。


「…!」


空中で前転しながら相手の頭部を掴み、着地と同時に踏み込み、地面に叩きつけた。


「うぁっ!!…やるじゃないか…」

「一旦距離を置いて!」


相手がブースタでコマのように回転し蹴りを入れてきた。

フィエスタの忠告が無かったら足払いをされていたな。危なかった。

なるほど、守り、攻めのリズムが大事なのか。


チャージをしつつ攻めに出る。

起き上がろうと所にフェイントで隙を作らせよう。

まっすぐ右ストレートを入れようとすると、腕で払う動作をしてきた。

一瞬手を止め、払いを空振りさせた所に顔を掴む、そしてそのまままた地面に叩きつけた。

チャージが溜まった。起き上がろうとする所にチャージショットを撃ち込み起き上がりを阻止する。それと同時に距離を詰め、踵落としを叩き込んだ。


攻撃を喰らいながらも反撃してきた。

脚を払われ、倒れる所に寝たまま蹴りを入れられた。相手もチャージショットで隙を作り、体勢を立て直した。

なんとか着地はしたが、その隙を狙わないはずも無く踏み込んでパンチをしてきた。

懐に潜り込み躱す。そこに膝蹴りを入れてきた。更に膝蹴りを躱し脚を掴んだ。

相手を振り回し地面に叩きつける。かなりのダメージではないだろうか。


「くっ…なかなか成長が早いようだ。こちらにもう戦う力は残っていない。お前の勝ちだ、フィエスタローズ。」

『はぁ…はぁ…よ、良かった。』

「すごいじゃないですかノマさん!」




「フィエスタローズ、70点といった所です。相手の手を読むのがまだまだ難しいようですね。」

『なるほど、勉強になりました。ありがとうございました。』


終了後、ピース・シティのカフェで報酬の受け取りをした。コバヤシさんは頭を打ったらしく、一応手当を優先した。


「どうでしたか、コバヤシさんの動き。相手に教えるような動きでしたでしょう?あの人、あえて隙を見せて基本を教えてるんです」

『確かに、学べる部分がたくさんありました。感謝しています。』


ここで攻めろ、ここは守りだ、そういったタイミングを教えてもらうような試合だった。


「以上で報酬は全部です、お使いでした。」


疲れたなぁ、緊張もしたし。

とりあえず、今日は休もう。首も痛いしな。



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