関係
フィエスタ(Fiesta)
ユニオン社製のサポロイド。金髪碧眼の女の子で、あまり争いは好まない。
フィエスタローズとセットで置く事を奨められ、ノマが一緒に購入した。
サポロイドのある一点を改良してある。
サポロイドは、非常に人間に近い構造をしている。そして、感情を持っている。僕もその話は聞いたことがあるが、所詮は作り物だと思っていた。
しかし、あの反応を見せられると、本当に感情を持っているのだと認識せざるを得ない。この間のフィエスタの初任務から一週間は経つが、人を撃つ事にとても躊躇いがある。
今までは、表面上は優しくしていても全く感情を込めずに接してきてしまったが、感情を持つ仲間である以上もっと良い関係を築けるように努力したい。
『お疲れ様、フィエスタ』
「お疲れ様です…」
スピーカー越しに声が聞こえる。やはり落ち込んでいる様子だ。この暮らしをする以上慣れるしか無いのだが。
『ごめんね、人殺しなんてさせて』
「いえ、謝らないでください…弱い私がいけないんですから。」
『でも、フィエスタが頑張ってくれてるお陰で助かってるよ。僕は上手く無いから、フィエスタのサポートが無いと今日の依頼だってこなせなかったかもしれない』
「そう…ですか、なら、良かったです」
実際、フィエスタの援護は隙をカバーしてくれるのでとても助かっている。LBに乗り始めてニ週間近くになり、少しは上達もしているが、荒削りでLM相手にも手こずる。
『フィエスタローズを倉庫に預けたら、今日は休もう』
フィエスタローズとLMを貸ガレージに止める。
フィエスタローズがいると便利だ、LMの武装解除が非常に楽になる。
「武装解除完了です。ご飯の準備をします、ノマさん、シャワーでも浴びててください」
『僕がやるよ、フィエスタは先に入ってきて』
「すごく長いですけど、いいですか?」
『気にしないで、大丈夫だよ』
「ありがとうございます、それではお先に。」
「ごちそうさまでした」
『そういえば、フィエスタはその服しか持ってないの?』
「はい、なので毎日洗って着てます。いつもお風呂が遅いのは、これを洗ってるからですよ」
フィエスタローズ色のパイロットスーツ。全身スーツは洗うのが大変だろう。
『明日は弾薬補給で買い物に行くんだ。ついでに服でも見に行こう』
僕のLMの弾丸製造機能は完璧では無い。ガトリング砲などの、小さな弾丸しか製造出来ない。バズーカなどの大型弾丸、ミサイルやグレードなどの推進機、プラズマ発生機付きの物は買わなければならない。
「いいんですか?やった!私、前からオシャレに憧れてたんです!」
『あと、今日からは省エネモードは解除してちゃんと寝るようにしよう。』
サポロイドには省エネモードという物がある。消費エネルギーを抑え、二十四時間の活動を可能にする物だ。なんとなく、一日中働かせるのは可哀そうな気がした。
「了解しました。LMのコックピットをお借りしますね」
『いや、ベッドを使っていいよ。僕がコックピットで寝る』
「え?そんな、持ち主をコックピットで寝させるなんて出来ません!」
『明日ベッドを拡張するから、今日だけだよ。今まで寝てなかったんだし、ご褒美だと思って使ってよ』
「わ、分かりました…お借りします…」
『さぁ、歯を磨いたら今日は寝よう』
身の回りを、フィエスタが快適に過ごせるように少しずつ改良していこう。
フィエスタの事ばかり考える、変な一日だった。