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機動兵器・レッグベース  作者: ベルベル
本編
3/53

ホップ・ステップ・ジャンプ

ノマ・ルージュアル(Norma Lusual)

最近LB乗りになったストレイ(放浪傭兵)。

ピース・シティにある貧乏な孤児院の育ちで、五年前にストレイとして生きることを決意。

突出した才能も無く、苦悩している。


二足歩行の最大の利点は地形を選ばない汎用性だろう。非効率的ではあるが、無限軌道やホバー走行の兵器では活動しにくい複雑な地形でも自由に活動できる。


今回はそんな複雑な地形での戦闘となる。

敵は最近ピース・シティ付近の低い山岳地帯で旅人や貿易商を襲っている盗賊だ。LM四機小隊で行動しているらしい。


LM相手とはいえ、やはり油断は禁物だ。太陽エンジンを搭載し、強力な武器を持った改造機も稀にいるからだ。

それに、通常機でも足を止められれば袋叩きに遭う。それでパイロットが気絶し、機体をハッキングされればLBを奪われる事になる。パイロットは人身売買か、サンドバッグか…いい事は無いだろう。


「まもなく作戦エリアですよ」

『レーダーに反応…情報より一機多い五機かな。』


今回もフィエスタは留守番だ。実戦経験も積んでほしいが、タンク型の性質上今回は難しい。


「上空からドローンでスキャン中…AM社のAM-2LM-PAWN四機、もう一機は…同型の改造機のようです。」

『了解、作戦を開始しよう』


こういった地形では、ジャンプが基本となる。空中戦が可能ならもちろんそっちが良いが。

三次元戦闘はニガテだがいい練習になるだろう。


「敵が気づきました、警戒を!」

『まず一機落とす!』


大きく飛び上がった。

二連装レールマシンガンの照準を合わせ、二門同時発射する。

バッテリーを撃ち抜き、敵は機能を停止した。


「三番機がやられた!くそ、LBか!」

「左右に動けば簡単には当たらない、足を止めるな!」


改造機は…ジャンプ性能を強化しているのか?増加ブースタを各部に増設している。

真横にジャンプした。僕から見て最も早く見える角度だ。


体を改造機に向けた瞬間、他のLMが発砲してきた。


「ノマさん、前後左右に動きをつけて!」


中々それが思いつかない。LBの利点を活かしきれていないのだ。

射線から外れつつ発砲してきたLMを向き、ハイ・ブーストで回り込みながら接近する。


「思ったより速いな…散弾を用意!」


足を止める気か。持ち替える瞬間を狙って一機倒したい。

と、早速持ち替えようとする一機。直線移動で接近しながら射撃する。


「しまっ…」

「五番機!バカがっ!」


後ろからの射撃。

改造機が急速接近し、激しい打撃を食らった。


『うっ…』


速度の乗った打撃はLB並だ。

高度を下げ、追撃の蹴りを避ける。


「その調子です!」


散弾を用意されたが、この改造機と取っ組み合っていれば撃ってこない。改造機の相手をしつつ、隙を狙って他のを落とそう。

それにしても、この改造機、他の機体とで挟み込むような位置取りをしてくる。何が狙いだろうか。


段々距離を詰めてきた。格闘戦を挑む気か?

突然散弾を発砲してきた。


『味方ごと撃つ気か!?』


改造機は、僕を盾に散弾を回避した。

この衝撃…衝撃弾か?機体が体勢を崩し、その隙に蹴りを入れられる。

機体は急降下したが、なんとか着地した。


回避行動を取りながら敵が近づいてくる。ショットガンでこちらの動きを止めつつ、距離を詰めてくる。

ハイ・ブーストで無理矢理詰めるか、それ以外無いか。


「て、敵がっ!」

「回避行動を続けろ!」


ハイ・ブーストで突撃すると、相手が焦って一瞬足が止まった。そこにマシンガンを叩き込みながら突撃する。

更に、援護に来た一機も移動方向の延長線上に立ち、撃破した。


「バカ共が…」

『あとは一機…さっきはよくもやってくれたな…?』


ハイ・ブースタを起動し、ジグザグ移動をしながら一気に距離を詰める。

相手は引き撃ちに徹したが、LBに射撃はほぼ無駄な抵抗だ。先程のように衝撃力に特化した銃でもない限りは。

山の斜面を蹴り、更に加速しながら距離を詰める。相手も同様の事をしているので、射撃が当てづらい。やはり、山に着いた瞬間を狙うか。


『…そこっ!』

「脚部が…!?まずいっ!」 


右脚を破壊され、敵は斜面を転がり落ちた。


『トドメっ!』


敵の真上からマシンガンを撃ち下ろした。

銃を向けた腕が倒れ、機能が停止した。


「敵機の反応は無いです、作戦終了です!」

『終わった…けど、またLM相手に手こずったか…』


作戦中は依頼主に監視される。違反を防ぐためだ。多くの依頼は戦闘の撮影に同意する事が求められる。

その映像は依頼主が依頼履歴と共に保存するのだが、とある動画配信サービス会社が高値で買い取りをしており、大体は依頼主がそこに売りつける。そして、その映像は各地で使えるネットワーク・サービスで誰でも見ることができる。

最近これは、LB乗り、LM乗り、傭兵、ストレイ…様々な者の評価の主流となっており、場合によっては仕事が来なくなる。

初心者とはいえ、LBがLM相手に手こずるようでは評価の上昇はあまり見込めない。


「ノマさん、作戦終了ですよ?帰還してください」

『あぁ、ごめん、帰還するよ』





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