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機動兵器・レッグベース  作者: ベルベル
本編
1/53

レッグベース

人型兵器の有用性なんかに主眼を置いて書きたいな、と思ってます

人の歴史は争いの歴史。かつて人類はその争いにより自らを破壊した。

あらゆる資源を取り尽くした人類は、やがて奪い合うようになった。奪っては奪い返し、奪い返されては奪い返し、同じ事を延々と続けていた。


やがてその連鎖に終止符を打つ出来事が起こった。

資源が欲しければ相手を消し去ってから奪えばいい。彼らはそう考えたのだ。そして自分達が消耗しない為には一瞬で終わらせればいい。

一つの国が核を放った。しかし、他の国も核を放った。どの国も核を放った。

たった一瞬で、人類の文明は滅びたのだった。


「とまぁ、ざっくり説明するとこんな感じかな」

『質問なんですが、人類は滅亡したのになぜ僕たちがいるんですか?』

「戦争してた時、一部の人は地下に逃げたんだ。バカデカい地下採掘跡に逃げ込んで生き延びたらしい。」

『それが旧居住区ですか?』

「うん、だけど容量的に限界が来て、もう一度地上進出をはじめて、今に至る訳だ。」

『なるほど』

「ま、結局は各地に散らばった勢力同士でまた戦争をしてるんだけどね。みんなが中立勢力だったらどれほど平和だろうかねぇ」


中立地域「ピース・シティ」

人類が地上に進出し、初めて文明を再建した場所だ。教育に福祉、必要な物はほとんど揃っており、平和主義者が住むには最高の場所だろう。


僕はノマ。LMレッグモービル乗りのストレイだ。


「ノマさん、準備が出来ましたのでこちらに。」

「お、できたか。それじゃあ」

『はい、歴史のお話、ありがとうございました。』


今日は歴史の授業を受けに来たのではない。

LBレッグベースを受け取りに来たのだ。


LBとは、頭部、腕部、胸部、脚部からなる18m程の人型兵器で、太陽エンジンと呼ばれるジェネレーターによる大出力、一つの関節に対し限界までアクチュエータを詰め込むことによる馬力を備え、全身がナノマシンで構成されていることによる自己再生能力、更には超硬度特殊合金の装甲を備えている。


足を土台に機体を構築する。単純過ぎるがそこからついた名前だ。


『これが、僕のレッグベース…』


尖った形状に曲線が混じった、スポーツカーを思わせるフォルムにショッキングピンクより暗い、フィエスタローズの装甲色。


挿絵(By みてみん)


「はい、背部に出力可変ハイ・ブースタを装備。広範囲の行動を可能にし、大腿部と背部にハードポイントを装備した我がユニオン社の試作型です。貴方にはデータ収集への協力を条件に本機をお渡しします。」

『はい。』


すると、廊下から勢いよく金髪碧眼の少女が、キ走り寄って来た。先行きが不安だが、あれが僕のサポロイドだ。


「お、遅れましたー!すみません!」

「サポロイドFT1(エフティワン)、遅刻ですよ。これからの仕事もそのような調子ならば他と取り替えますが?」

「す、すみません…」


サポロイドとは、非常に人間に近い構造をした、身の回りの世話から機械のメンテナンスまで、なんでもこなす万能ヒューマノイドだ。

LMに乗りサポートしてもらう為に購入した。


「遅れてすみませんノマさん、これからノマさんのサポートをさせていただくサポロイドです、よろしくお願いします」

『よろしくお願いします。』

「これで全て揃いましたね。それではどうぞ、LBにご搭乗下さい」


昇降機に乗りコックピットハッチに近付くと、自動で開いた。

乗り込み、起動する。


「メインシステム起動。パイロット認識開始…パイロット、確認。機体名の登録をお願いします」


名前か…機体色からとって「フィエスタローズ」にしようか。

ヘッドアップディスプレイに様々な情報が表示される。

画面に何かが拡大表示された。


「ノマさん!私を置いて行かないでください!」


あ、サポロイドを忘れていた。

ハッチを開けると、サポロイドがシートの後ろに乗り込んだ。


格納庫のゲートが開いていく。


「ゲートオープン、LB、発進どうぞ」


バックブースタを吹かし、外へ飛び出した。

圧倒的な加速だ。昔一度乗った、人型LMとは比べ物にならない。

 

更にフロントブースタも起動し、上昇する。

サイドブースタを右、左と起動させる。空中においても高い機動力を発揮するのがこのLBだ。前後左右に瞬間的に移動できる。


『すごい…圧倒的だ』

「いてっ!頭ぶつけた…」

「問題無く稼働しているようですね。それでは、そのままお帰り頂いて結構です。よい旅を。」


ハイ・ブースタを起動する。

背部ブースタにプラズマを収束し、爆発的に噴射する。


『…‼』


とてつもないGが体をシートに押さえつける。今まで体験したことのないほどだ。




思う存分飛び回り、LMの元に帰還した。

LM内の居住スペースで一息つく。


『ふぅ』


このタンク型LMは、中でもキャンプカーのような居住スペースと、弾丸製造機能を持ったベースモービルと呼ばれる物だ。結構広く、のびのびとできる。


「ノマさん、改めまして、これからよろしくお願いします。早速ですが、私の名前、決めていただけますか?」

『名前か…』

「面倒でしたら、そのままサポロイドやエフティでも大丈夫ですけど…」

『なんとなく、エフティじゃ不満そうだね。それじゃ可哀想だから じゃあ名前のFとT、機体名のフィエスタローズから取って、フィエスタにしよう』

「ありがとうございます!今日から私はフィエスタです!」


ニコニコするフィエスタを横目に晩ご飯を用意していると、キラキラと目を輝かせ始めた。


『お腹減ったの?』

「ま、まぁ、少しですけど…」


そういってご飯を食べ始めたフィエスタは止まる事を知らなかった。


レッグベースを手に入れたことで、ストレイとして更に稼げる仕事が出来るようになった。明日から、簡単な依頼をこなしつつ、慣れていこう。


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