表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

討伐ー問う罰

 依頼掲示板には様々な依頼があった。その中でE級の依頼を探す。

(まあ実力派C級相当って言われたし、大丈夫だろ)

 それで思い出した。あのスライムとの戦闘の時にもっと火力の出せるスキルをスロットにいれておこうと思ったんだった。

(現状CD短縮スキルはいらなそうだな)

 なので【CD短縮3/4】を抜いて代わりに【フルオート】をセットした。これで何とかならないやつに出会ってしまったらもう逃げるしかない。

(えっと依頼は)

 西の森のクローマウスの間引き依頼が出ていた。依頼主はギルドだ。モンスターが増えすぎないようにするための常設依頼だろう。一匹ごとに銅貨10枚。倒せば倒すほど報酬が増え、またその際に得た素材の所属は俺になる。悪くない依頼だ。

 ちなみにこの世界の通貨は日本円換算だと大体、銅貨1枚で100円、銀貨1枚で1万円、金貨1枚で10万円、白金貨1枚で100万円となっているらしい。物価的に大体そのくらいだと待っている間に読んだ雑誌で分かった。

 俺はクローマウスの間引き依頼紙を剥がして受付までもっていった。話が早そうなのでメイさんのほうに行った。

「あっ、E級の間引き依頼ですね。定期的にやらないとすぐ増えて町までやってきちゃうかもしれないので依頼として出してたんですよ。……はい、これで受付は完了しました! 西の森はこの町の西の門から出て道なりにまっすぐのところにあります。距離は1キメくらいです。それではよろしくお願いしますね!」

 よし、今日の俺の飯と寝床がかかった依頼だ。気合を入れていこう。

 

 ふっふっふ。だいぶ儲けたな。

 夕方、俺は魔物を狩って得た素材を商人に売り、その足で宿を探していた。

 やっぱりクローマウスはあの化物スライムと比べるとかなり弱かった。狩りまくったので途中からは探す方が大変になったくらいだった。あまりに見かけなくなったので、近くにいた魔物たちを倒して素材集めをした。依頼報酬と素材の買取で俺の今の財布には銀貨が4枚と銅貨が68枚入っていた。日本円にしておおよそ46,800円。半日のアルバイトと考えれば破格だ。

 まあ、元居た世界ではとあるVRMOBAの世界トーナメントで優勝した賞金として1億もらったこともあるから、このくらいのお金はそれと比べると少ないっちゃあ少ないのだが、そこまで金銭感覚はズレていないので、普通にうれしい。

 宿は町の真ん中あたりにあった。入って話を聞いてみると素泊まりなら個室で銅貨50枚、大部屋で20枚、食事をつけるなら一食につき銅貨5枚ということだった。

 大部屋で知らない人と一緒に寝るのは嫌だったので、お金にも余裕があるし、個室を頼んだ。食事は夜と朝の2食。

 夕食まで時間があったので個室へ行って、ギルドでもらったパンフレットを読むことにした。コロシアムについての簡単な説明があった。

「天主が主催し、天使が管理をするバトルコロシアムでは5人vs5人の人間同士の戦いが行われる。コロシアムランクに応じた参加料を課される。勝ったチームは天使から褒賞を受け取れる。

 コロシアム内で死ぬことはなく、致死ダメージを受けると数秒~数十秒後に自陣地で復活する。自陣地と敵陣地は三本の道でつながっていて、道と道の間にはジャングルや廃墟がある。道にはタワーが置かれ、攻撃範囲内の敵を自動で攻撃する。

 自陣地では定期的にミニオンが作られ、それぞれの道へ出撃する。ミニオンはオートで動く。

 相手の陣地にある巨大なクリスタルを破壊すれば勝利」

 ざっくりした説明だが、今のところはHCOとか他のVRMOBAと変わらないな。

 他のところもぱらぱらとみているとメシが運ばれてきたので、それを食って明日の予定を考えてから寝た。


 朝メシを食べ終えた俺は宿を出た。

 さて、コロシアムデビューと行くか。

 心の中でメニューと呟いて半透明のメニュー画面を表示させる。アイテム、ステータスなどとある一番下にコロシアムとあった。そこをぽちっと押すと待合室に移動しますとカーソルが現れ、俺の体はおなじみの光に包まれた。視界いっぱいに光が広がり、足元の地面が一瞬なくなる感覚。

 足元の感覚が戻り、光が収まると、そこはレンガ造りの小さな部屋で、俺のほかに3人、人数がそろうのを待っていた。

 これから一緒に戦うチームなのだから、コミュニケーションは大切だ。特に知り合いではない人たちと一緒にやるとき、いわゆる野良だが、少なくともチームメンバーが何の武器を使うのかは知って、ポジションと役割を把握しなければいけない。

「こんにちは、僕は……えっと遠距離物理アタッカーなんですが、皆さんポジションとか決まってますか?」

「お、マークスマンか。ちょうどいいね。私は二刀短剣のアサシンでジャングラー。こっちのビッグハゲ男は斧と小盾のファイターでトップ、こっちのお嬢ちゃんは雷魔法と氷魔法のメイジだっていうんでミッドをお願いした。コロシアムに来るのは初めてだけど、なかなかバランスよく配分されるみたいだね」

「そうみたいですね」

 野良だとポジションの取り合いで始まる前からチームの雰囲気が最悪になることもかなりあるので、助かった。

 すると俺の隣の空間が光り始めた。少しして黒い長髪の、でも華奢な女の子が現れた。年は俺と同じくらいだろうか。そしてその背中には、彼女の背丈と同じくらいある、大きな盾を背負っている。

「いらっしゃい。君が5人だよ。武器と戦闘スタイルは?」

「えっと、武器はこの盾です。戦闘スタイルは盾で押しつぶしたり弾き飛ばしたり……」

「ふーむ、タンクかな? じゃあそこの男の子と一緒に戦ってもらってもいい?」

「は、はい! 大丈夫です! えっと私コロシアムは初めてで、えっと、魔物ともあんまり戦ったことないんですけど、は、はい、お願いします!」 

 あー、ガチ初心者か。まあ誰にでも初めてはあるし、俺の負担が増えそうだけど、そこは割り切ってやらないとね。

「みんなちょっとメニュー開いてもらっていい?」

 場を取り仕切っていた赤い長髪のお姉さんが他の4人に呼び掛けた。俺は言われた通りに開く。

「一応参考までに私のスキルスロットを送っておいた」

 ナタリアさんからのメッセージを表示すると四つ、スキルスロットの画面がそのまま映った。へえ、こういうこともできるのか。見てみると……

【紅月剣】発動中、与ダメージ2倍。SP持続消費。

【青月剣】発動中、ダメージを与えると動作速度 -10%。5回まで重ねがけ可。SP持続消費。

【瞬歩】5メートル以内の地点へすさまじいスピードで移動する。CD7秒。

【吸血女王】発動中、与ダメージの30%を回復。SP持続消費大。

 下の方に所持武器も書いてある。

【クイーンデッド】与ダメージの10%を回復。

【月光狼のナイフ】SPD上昇10%

 ……これ1vs1だったらほとんど無敵なんじゃないのか? さすがアサシン……っていうかこの人かなりレベル高いだろ。

「すごいですね。ちなみに冒険者ランクはどのくらいなんですか?」

「Bだよ」

 やっぱりな。なんでそんな人がいまだにFランクのコロシアムにいるのかはさておき、これは大きな戦力だ。

「あーでも今回相手チームに一人、見知った顔のBランクがいるから、私で無双できるとか思わないでね。多分私と同じアサシンだからジャングルだと思うけど」

 その辺もバランス調整があるのかな?

 さて、俺のスキルは【ショートワープ】【ショートワープ】【マジックバレット】【フルオート】にしてある。コロシアムじゃあ経験値入らないだろうしな。

「じゃあ一応俺のも送っておきますね」

「おっ、これは……、【ショートワープ】を二つも持ってるのか? 秘密の鉱山とか? なぁなぁ、私の持ってるスキルと交換しないか? 使ってないスキルがいくつかあるから1対複数でもいいが!」

「あっ、じゃあその話はこの試合が終わった後に……」

 予想外の食いつきだったが、ナタリアさんの持ってるスキル次第では悪くないかもしれない。

「約束だぞ!」

 まあ、ショートワープはアサシンと相性いいしな。大盾の女の子のスキルも確認したいなと思って彼女のほうを向く。

「えっと、俺の名前はマコト。スキル教えてもらっていい?」

「あっ、私の名前はエリンです。今送ります」

【シールドバッシュ】ダメージとノックバック。CD3秒。

【アースクエイク】周囲にダメージと短時間のスタン。CD10秒

【大防御】10秒間、DEFとMDFが大幅に上昇。CD60秒

「あれっ? 3つだけ?」

「私の武器は両手持ちなので初期スキルとして3つしかもらえなかったんです」 

 なるほど、両手持ちだとそうなるのか。

 ナタリアさんが時計を見て言った。

「そろそろ時間だね。腕が鳴るなぁ~」

 両腿に着けていた【クイーンデッド】と【月光狼のナイフ】を抜き、両手でくるくる回し始める。

 頼もしいな。

 時間になると俺の体は光に包まれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ