表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

3 これは、MFOの世界、なのか

MFOでは、仲間内であっても、他のキャラの正確なステータスを参照することはできない。


相手とのLV差、主に何系の装備やスキルを持っているかを示すビルド、あとは負傷や石化などの現在の状態の三つが、アイコンで表示されるだけだ。


スマホの画面で、大勢のステータスを表示しようと思ったら、そういう仕様に落ち着いたってことだろう。

今のGUIも、サイズは大きくなっているが、情報量は増えていない。


LVは、俺を基準に、プラスマイナス二割が「同等」、半分未満だと「低」、その中間は「やや低」のアイコンで示される。逆の場合、二倍以上が「高」、二割以上高い相手が「やや高」のアイコンだ。


ビルドは、下位職なら10レベル、中位職なら20レベル分のポイントで取得できる。上位職のコストは個別設定となっていて、俺の取っているパラディンは35レベル分と比較的重い。


ビルドと合わせて推測すると、アウグストとベネッタはLV40から50、ミケは20ちょい、ガガーリンはもうちょっとで20って感じか。

みな、普通に進めていけば普通に手に入るという装備を着けている。


ちなみに、火力系ビルドでは、与ダメの目安はレベルの2乗。

しかし、条件の厳しい単発特化攻撃の属性直撃なら、3倍から5倍くらい乗せられるし、逆に、相性の悪い打撃は最悪5分の1くらいまで減衰することがあって、つまりレベルだけでは、どの程度の戦力になるかは分からない。


そして、戦闘の獲得経験値は、パーティーで最も高いレベルのキャラを基準に、敵のレベルが低いほど下がってしまう。

特別の理由がなければ、同等のアイコンの仲間とパーティーを組むのが普通で、MFOは、寄生プレイやパワーレベリングがしにくい仕様なのだ。


ま、獲得できる金や素材はLVに関係が無い。

俺が力を貸して、行き詰まっているクエストを片付けるのは、ありだろう。


「……もしログアウトできないなら、ここはひとつ、あちらで依頼を受けてみますか。」

アウグストが、提案をしている。


普段と違って、アウグストのテンションが高い。

普段……? 別人と考えた方がいいのか?

とにかく、A氏は、この状況をあっさりと受け入れたように見える。


確かに、次に寝て目が覚めたら夢だったなんてことも、なくはない、よな。


「よし。それじゃ、アウグスト、依頼をみつくろってまいれニャ。ワシらは、装備の確認じゃ。」

課長が、仕切っている。

課長が。


俺は、やはりこの小さな猫獣人と課長の顔が、結びつけられずにいる。

いや、忘れてはいけない!

いくら可愛かろうと、こいつの中の人は、あの課長なのだ!


自分に言い聞かせていると、ベネッタが向かいに座ったまま顔を近寄せてきた。

美形エルフか。

あちらの世界の夜のお店のお姉ちゃんなど、目じゃないな。


「レインはぁ、ああいうフワフワちっちゃいのと、こういうのと、どっちが好きなんだろ?」


なっ!

そんな話、向こうじゃ一言もしたことないだろぉ!


技術屋人生を選んだ理系男子を、舐めるなよ……

こちとら、十六の頃から、ほぼほぼ男だらけの世界で暮らしてきてんだ。

ふ、普通の女と、普通に喋るのだって、最近ようやく慣れてきたとこだっての。


「どうなのよぉー。」

さらに上目遣いで顔を寄せてくる。

くそっ、この女性(ひと)、いい匂いするな……


「おのれ、騎士を愚弄するか!」

聖騎士風に、言ってみる。


「あっはっは、そういうキャラかー。」

ベネッタが、笑いながらのけぞっていく。

ふう。

パニック寸前の状況だが、この際キャラになりきっていくしかない……


ミケは、ニヤニヤしながらこちらを見ていた。

といっても、いつも笑ってるような顔なのだが。

「さて、依頼をこなす支度をしようかの。」


MFOは、スマホ向けにかなり簡略化されたMMORPGで、個々のクエストは、数分から、長くても30分程度に設定されていた。


遭遇戦闘をこなしながら探索し、クエストの種類によって、ボス戦または謎解きパズル、場合によってはパルクールっぽいアクションなどを突破すると、クリアという流れだ。


俺が加わったことで抜けられるようになるというなら、まずは討伐系の戦闘クエストだろうか。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ