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18.旧交

 戦術は単純だ。まずは城門の警備兵を俺が倒す。そしたら門を破って都の中になだれ込む。

 後は見敵必殺。操られている兵士は多人数を相手に上手く立ち回れるほど器用な動きは出来ない。だから数で勝っているこちらが囲んでしまえば制圧することは難しくない。


 こうして一般兵を相手にしている間、俺と魔王、黒狼15体は目的地に向かった。

 目指すのは王宮の中心にある塔、その天辺、都の中で最も強い光を放つ場所だ。そこに光の頂がある。


 塔を登りながら俺は考えていた。いくらなんでも順調すぎる。こちらの準備が整ったから仕掛けたのはそうなのだが、雄二も8年間準備してきたはずなのだ。このまま終わるとは思えない。


 塔の中で、広い部屋に出た。

「そんなことだろうと思ってたよ」

 そこにいた人物を見て、俺はそう驚かなかった。

 待ち構えていたのは、15年前に俺たちと共にこの世界に来た人物、偉大なる聖光騎士団初代メンバーだ。名前は姫野優理花。

 元々好戦的な性格ではないと思っていたが、ここまで生き残っている以上、素質はあったのだろう。


「久しぶりね」

「何年ぶりかな。……ところでお前、操られてないのか?」

 素っ気ない挨拶ではあったが、操られていたとしたらこうはいかないはずだ。


「ええ。私たちは特別なの。ユージ・ラインハルト様に認められた数少ない人間よ」

「様、ねえ。元は同級生だったのにな」

 俺の嘲笑するような態度に姫野は予想外に激怒した。


「バカにしないで! 闇に呑まれたくせに。なんで私たちの邪魔をするのよ」

「お前たちと同じだよ。お前たちの存在自体を、最早許容できないんだ。……だから、さっさと始めようか」


 俺は強引に問答を打ち切った。話の間に床を這わせておいた魔力を槍に変えて姫野の足下から生やした。


「卑怯者!」

 姫野は飛び退いて避けた。俺は追いかけて追撃を仕掛ける。姫野は光の精霊を呼び出し、俺の拳を拳で迎え撃った。


 姫野が持っている能力は、身体能力の強化だ。更に光の精霊からの魔力を体に纏うことで、俺と同じような戦闘スタイルに行き着いたようだった。

 光の特性はやはり速さだ。姫野は光の魔力を纏うことで、高い機動力を手に入れていた。動き回られていたら、流石に俺でも追い付けない。


 俺は黒狼を展開させて、姫野を囲んだ。更に魔王の魔弾で行動を制限し、距離を詰めた。

「なんでよ」


 俺の拳が姫野に届く寸前に姫野が呟いた。

「間違ってるとは思わないのかよ。雄二のこと」

「……思わない。こんな素晴らしい世界、他に無い」


 そうか、とだけ言って、俺は姫野に止めを刺した。

 都の中で生活していれば、少しは良いものに見えるのだろうか。多分秩序等はあったのだろう。たとえそれが、操られていたことで生まれたものだったとしても。


 倒れた姫野を見たまま動けない俺に、おい、と魔王が声を掛ける。

「ああ、ごめん。先に進もう」


 俺たちは塔の更に上を目指した。

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