14.守るために
俺が村に戻ったときには、戦闘は佳境に入っていた。光の精霊を宿した襲撃者は、倒れたものが一人と、立っているものが一人。
一人を倒したのは黒狼だった。傷ついて動けない黒狼の長老に止めを刺そうとして生きている方の襲撃者が魔力を手に集めていた。
「間に合え……!」
俺は魔力を刃に変えて放った。刃は襲撃者の手を斬り落とした。集まっていた魔力はあらぬ方向に飛んでいった。
続いて俺が放った刃は襲撃者の心臓を貫いた。
「大丈夫か!」
俺は黒狼の長老に駆け寄った。
(なんとか、な……)
傷は深いが、命に別状は無さそうだ。
「ありがとう、村を守ってくれて」
黒狼の治療を済ませたら、早速今後の方針を話し合った。
「奴らは今度こそ止まらないぞ」
(そうだろうな、あの兵士たちは最早人間ではない)
俺は頷いた。光の頂から人間を操り、闇の勢力を滅ぼそうとする雄二は、最早光と闇両方にとって有害だ。
「きっと、これまで準備してたんだ。8年間ずっと」
しかし、だからこそ気になる。あの兵士たちは力こそあるものの、動きが単調すぎる。俺を倒すには足りない。雄二が何も用意していないとは思えなかった。
だからこそ心配になるのはこちら側の戦力だ。今確定しているのは、俺と黒狼。充分とは言えない。
「都に攻め込むだけならまだしも、その間村をどうするか……」
攻めるだけでも厳しいのに、村を守るためにも戦力を割かないといけない。
(こちらでいくつか声をかけてみよう。安心しろ。奴らとの関係はお前より長い)
「ああ、頼む。どのくらいかかる?」
(伝令が行って戻って、3日といったところだろうな)
それまでは待機ということか。その間に雄二に何が出来るかもわからないが、村の安全には代えられない。
これまでは、全力で攻めていけばよかった。攻めること、倒すことに集中していればよかったのに、今はそれだけでは駄目だ。守ることも考えないといけない。でもそれは、守りたいものが出来たということでもあるのだった。
「なんか、めんどくさいな」
少し、口元が緩んでしまう。
(黒狼は、死んでも戦う種族と呼ばれる。それほどに執念深いということだ。なぜそこまでするかわかるか)
黒狼は戦闘の際、非常なまでに連携の取れた動きをする。誰かが倒れたとしても一糸乱れぬ動きで敵を追い詰める。今日も、大勢が倒れたが戦いを止めなかった。
以前の俺では答えられなかっただろう。しかし今ならわかる。
「守りたいからって言いたいんだろ?」
(その通りだ。守るものによって縛られもするが、それだけではない。大事にすることだ)




