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王都ラーバ 親切な緑人と迷惑な蒼人 お爺さんはたいへん!?


景色が変わって… カナエの周りに人が現れる。


(びっくりした!? プレイヤーかな?)


 次々に人が現れるので、邪魔にならない様に…… カナエは端に移動しながら、初めての場所に… ドキドキして廻りを見る。


そこは、導きの泉を中心にギリシャ神殿にあるような柱が囲んでいる。上を見ると天井は無く、青空が広がっている… 柱から先に行くと、眼下に泉を囲むように中世の街並みが見える。


泉は、小高い丘の上に在るらしい…… 不意に視線を感じ、カナエが泉を見ると……


(人がいっぱい!? いろいろな【種族】がいる! なんか聞こえる…… ロリネコ…… 黒髪幼女!? 幼女? 私の事? そう見えるの? なんか悲しくなった…… 移動しよう)


とりあえず、カナエは街に向かう事に……


泉から街続く石段を降りおわるぐらいで、カナエは声をかけられた。


「王都は、初めてかな? 小さな旅人さん」


「はい、初めてです」


カナエが返事をしながら、声の主を見ると……


そこには、大柄ながたいの良い…… 立派な騎士甲冑姿のお爺さんがいた。


突然の事に、固まるカナエに……


「すまぬ…… 驚かせてしまった様じゃな…… ワシは、この王都ラーバの守護騎士の一人で、アルバじゃ。今日から始まる【神託】にある【始まりの祝福】で現れる【旅人】の対応をしている」


「これは、ご親切に…… こちらこそ、ごめんなさい。私は カナエです。よろしくお願いします」


困り顔で、自己紹介してくれたお爺さんに、カナエは…… 小さくお辞儀をして名乗る。


「これはこれは…… 礼儀正しい【旅人】さんだ。それでは仕事をしよう! カナエ殿、初めてならば、先ずは【蒼のギルド】に行きなされ…… そこで【初回ボーナス】などの【サービス】と【チュートリアル】が受けれるが…… どうされた?」


「ごめんなさい。左手…… 大丈夫ですか?」


お爺さんの左手が気にしているカナエに、お爺さんが案内途中で気付く。


(聞かれたので…… つい、言っちゃった)


「実はのう…… 先日の討伐で、中級の魔物が多数出て…… 石化を喰ろうてしもうたのだ。被害も多くて…… 状態回復ポーションが不足して、治療が出来んかった」


「ちょっと見せて下さい! もしかしたら…… 治療できるかも?」


「本当か!?」


カナエの言葉に驚きながら、お爺さんは左手を見せてくれた。


カナエは【神眼】を使って、状態を見ると【状態 中級石化】と出たので【妖精の粉】を試すと…… すると!? お爺さんの左手がぼんやりと優しく光る……


カナエは、光が消えたのを見て、お爺さんの左手を確認すると…… 


「うん、治療完了ですね…… お大事に」


「おお、手が動く! ありがとう…… カナエ殿」


お爺さんは、左手を軽くグーぱーしてから、お礼を言う。


(こういうの…… なんかテレるね)


「こちらでしたか! アルバ様、至急城へ」


「何事か?」


街から、焦った様子の騎士がお爺さんを呼んでいる。


「それが、勇者を名乗る旅人の一団が城に!」


「衛兵は、どうした?」


「それが…… 導きの泉から、真っ直ぐに城を目指したらしく…… 突然、中央に現れたのです」


「なんと!? あの堀と塀を、飛び越えたのか!?」


「急ぎ城へ!」


「承知した! すまぬな、カナエ殿…… これを」


お爺さんは、カナエにスマホぐらいの綺麗な彫金がされた金属のプレート渡す。


「これは?」


「ワシの家の紋章だ。そのプレートは騎士からの信頼を表す。困った事やワシに用がある時に、騎士に見せなさい。王国内ならば、力になれ様ぞ」


そう言うと、お爺さんは空に向かって…… 笛を吹く!


(えっ…… 音がしない?)


不意に辺りが暗くなったので、カナエが上を見ると……


「!?」


大きな竜がいた。


「【蒼のギルド】は、この大通りの先にある。中央の蒼い旗が掛かる大きな館だ」


「は…… はい!」


驚き戸惑うカナエの頭を、優しく撫でながら…… お爺さんは【ギルド】の場所を説明してくれる。


カナエの返事に満足した様で、お爺さんは頷いた後、竜に飛び乗ると……


「また、逢おう」


と言って、竜が上昇して行く。


カナエは、大きく手を振てた後にお辞儀をしたら……


「あっ!」


『ギャオォォォォォ!!!』


お爺さんが手を上げた瞬間に…… 竜が咆哮を一鳴き!?


お爺さんと竜がお城に飛んでくのを…… カナエは、しばらく見送った。


「竜騎士…… 格好いい!」




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