〔閑話〕とある兄と妹
「50話!? 50話だよ! カナエ♪」
「えっ、あっ! おめでとう… 私の話じゃあないけど」
「えっ… あっ、次は、カナエ達が大活躍だから」
「えっ! 本当? よし、がんばる♪」
(ボソッ)「たぶん… 」
【兄視点】
失敗した…… 目の前にいる薄ら笑いを浮かべる男を見て、俺は…… 死に戻りを覚悟する。
こんな事なら、妹の言う通りに王都でイベントに参加すれば良かった……
魔物大量発生イベントで、幼馴染みと合流したがる妹を連れて、辺境伯領都で参加したのが間違いだった。
イベントが終わると…… 王国の辺境伯領は、新帝国の一部になっていた。
そして…… 王国と新帝国の間には、大地が崩れ落ちた大渓谷が出来ていた。
王国への道を失なった俺達兄妹は、帝国でLvを上げながら新たな道を探す……
元王国勇者の話を聞いたのも、この頃だ。
魔王に負けながらも機神の脱出装置で脱出して、辺境伯領に集結していた先代国王率いる辺境伯軍と合流し、イベントで疲弊した帝国を攻め落とした…… 大量殺戮の勇者。
噂では、先代国…… 新皇帝と勇者達は、追い出された王国に攻め込もうとしているらしい……
15才未満の俺達兄妹は、戦争が始まる前に……
何とか王国に戻る方法を勇者達を避けながら探していた。
油断した…… 幼馴染みのお姉さんに偶然にも会い…… 妹の忠告を忘れ、信用してしまった。
王国に向かうキャラバンの情報をよく調べずに、妹を連れて合流して気付いた……
こいつらが…… 大量殺戮の勇者と有名PK狂賢者のパーティーだと……
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【妹視点】
「俺が足止めする! お前は王国に向かえ!」
お兄ちゃんが一緒に森を走りながら、私に言う……
(たぶん…… 逃げ切れないだろな……)
あの気持ちの悪い薄ら笑いを浮かべた…… メガネの白ローブを思い出す……
あの人達は…… 私達兄妹を逃がさないだろう。
お兄ちゃんが武器を構えて後ろに廻ると!? 飛んで来た火の玉を切り裂いた!
(追い付かれた!?)
「行け……」
お兄ちゃんが呟く…… 近くに居る!?
「ダメじゃあないか、君達♪ 敵前逃亡は…… 死刑でいいよね?」
大樹の影から、メガネの白ローブが姿を見せた…… 一人?
「追って来たのは…… あんただけみたいだな? 他はどうした!」
「勇者の救助に行きましたよ。流石は、腐っても勇者ですね…… しぶとく生きてる様ですよ♪」
またあの薄気味悪い薄ら笑いを浮かべ、メガネの白ローブが楽しそうにしている。
「あんたは…… 行かなくていいのかよ!?」
お兄ちゃんに火の玉が飛んで来る!「くっ!」お兄ちゃんはギリギリ避けた!
「私は帝国軍であって…… 勇者の仲間では在りませんし。それに…… 何よりも! 人に魔法を射つのが楽しいのですよ♪ 裏切者は、私の魔法で死刑です♪」
色んな属性の魔法の玉が複数現れる!?
「詠唱してないのに…… 魔法がこんなに……」
お兄ちゃんが、私の前に立つ!?
「麗しいですねぇ…… さーて、どこまで耐え……」ブオォォォーン!
「『クラッシュブレイク!!』」
「グガァハァ!?」
メガネの白ローブがバイク?に轢かれた!?
「誰かと思えば…… 狂賢者か? 15才未満に手を出しやがって…… 覚悟しろよ!」
バイクから降りた人は…… 仮面のヒーローでした!
「こ、これはこれは、ヒーローさん…… ずいぶんな挨拶ですね…… おかげで身代わりアクセサリーが減りましたよ」
「そんな事…… 俺が知るか! バトラー、その子達を守れ!」
『了解しました』
「裏切者の前にヒーローさん…… 貴方を私の魔法で廃除します!」
!? 複数の魔法玉がヒーローさんを襲う!! 複数の爆発で周りが煙りに包まれる……
「たわいのない…… ヒーローとは、この程度ですか? 次は裏切者を……!?」
「この程度か……」
煙りの中から、ヒーローさん?が現れる!?
(さっきと格好が違う!)
角張った固そうなロボット?からヒーローさんの声がする!?
「なら、コイツを喰らえ!」『パンツァー・フルファイヤ♪』
「!?」
ロボットなヒーローさんの体から!? てっぽう?、たいほう?、みさいる?が飛び出す!? 機械みたいな女の子の声がした後、メガネ白ローブに攻撃を始めた。
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【兄視点】
「流石は…… ヒーローですね。今は退かせていただきま!?」
「逃がすかよ……」
爆撃の中で…… 狂賢者が逃げようとした瞬間に!?
姿の違うヒーローさんが後ろから狂賢者を刺した!
(黒い!? 忍者みたいだ!)
「大丈夫かい?」
死に戻りする狂賢者を見送り、最初の姿に戻ったヒーローさんが声をかけてくれた。
「はい、ありがとうございます!」
「ありがとう」
「こんな処で、どうしたんだい?」
「実は……」
ヒーローさんに、俺達の事情を話す……
「ヒーローさん、お願いします! 妹を王都に連れてくれ!」
「お兄ちゃん!?」
「俺は一人でも大丈夫だ。ヒーローさん、お願いします!」
ヒーローさんは…… 少し困った素振りで、バイクに跨がりこう言った。
「二人共…… 乗れ」
「「!? は、はい♪」」
ヒーローさんは、俺達二人を乗せたバイクで大渓谷を飛び越える!? 姿がさっきと同じ忍者だ! 目立たない様にと、隠蔽スキルでも使ってるみたいだった。
「この先にある砦の入口に仲間の獣人居るからね。事情は話しておいたから、王都に連れて行ってくれるよ」
「はい! ありがとうございました!」
「ありがとう♪」
ヒーローさんと手を振って別れると、妹と砦に向かう……
まさか、その先に待つ獣人さんが、幼馴染みとそのお兄さんとは……
その時は、夢にも思わなかった……
たぶん、今月最後です
次は… 新章です… たぶん
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後…
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