春の機神祭! 眠るサイボーグは、機神メーカーの最重要機密?
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(ますたー……)
何かから逃げて、損傷した回路がショートしたサイボーグの少女は…… 過去を夢を見ていた。
「いい」
(ますたー……)
「これから、私と貴女…… そして、あの娘の全ての機神関係の最重要機密データを貴女に託すわ。現実の私では、〝アイツ〟から逃げられないから…… せめて、この新世界で築き上げた私達の思い出は…… アイツに渡さない」
(ますたー…… あの娘は……)
「くっ…… メットの安全装置が作動した!? 貴女の中のデータを持って逃げなさい! 私は…… この新世界に二度と来れないかもしれないけど…… 貴女と貴女が信じた人達に私の思いとデータを! それから、あの娘にごめ……」
言葉の途中で、サイボーグ少女と瓜二つの姿した少女が消える。
(ますたー…… ますたーの言葉をまもらないと……)
過去の夢が消えると、サイボーグ少女の意識はさらに深い闇に沈むのだった……
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~ フェアリー工房の企業スペース ~
「こいつは……」
「エミリー師匠?」
「モナ…… こいつはヤバイぞ」
「この娘の事、知ってるの?」
「ああ、マーカーは緑…… って事は、サポートの方だが…… W.Rの最重要人物の一人だった奴だ」
「「「だぶる・あーる?」」」
「2年前から企業化した機神メーカーだよ。確か…… 僕らが新世界を始める前から人気の機神メーカーのだったはずだけど……」
「ああ、最近は、新作の機神を出していない。その原因の1つが……」
「この娘…… ですか?」
「あそこは…… 各パーツごとに開発者が別でなぁ…… その開発者達がそれぞれ自分の異端的なパーツのみを作るんだよ」
「それって…… 機神がまともに動くんですか?」
「普通なら無理…… なんだけど、それらをバランス良く組み上げる奴らが居たんだよ」
「その一人が?」
「ああ、そいつだ」
「でも、奴らって……」
「私が知る限りで…… 組み上げに関わって居た最重要人物は3人。一人は、そいつ。もう一人は、そいつのマスターで瓜二つの姿をしたプレイヤーだった。そして、最後の一人が…… その二人が難民地区で拾った〝緑人のテスト機神パイロット〟だ」
「緑人の……」
「エミリー師匠、なんでそんなに詳しく知ってるの?」
「こいつとそのマスターは、モナの兄弟子…… いや、姉弟子になるからだな」
「「「「えっ!?」」」」
「こいつのマスターが、機神関係で混沌神の加護を獲てな。その関係でフェアリー工房に弟子入りして3年前ほどに独立したんだよ。その時にこいつと緑人のテストパイロットの二人も一緒になぁ」
「フェアリー工房に居たんですか……」
「ああ、私達の主…… フェアリー工房のオーナーが連れて来てなぁ……」
『戦闘が下手? なら、自分で戦闘しなければ良いじゃない♪』
そう言って、小さな緑人の娘を守りながら不器用に戦闘して居たプレイヤーの少女とそのサポートユニットを、緑人の娘ごとフェアリー工房に連れて来た主を思い出したエミリーが……
「まったく、何時もそうやって…… 弱い奴を拾って来やがるんだから……」
「エミリー師匠?」
口では文句を良いながら笑うエミリーに、モナ達が首を傾げた。
「しかし、モナ…… そんなとこまで似なくても良いんだぜ?」
「? 何の事です?」
「まぁ、お前は体質的な巻き込まれの方か……(主は…… なんだかんだで、自分から巻き込まれて…… 元凶の悪意をズタズタに引き千切るからな)」
「しかし…… さすがにこの状態では、かわいそうです。何とかなりませんか?」
「うん…… 本来サポートユニットは、プレイヤーがログインしてない時には待機状態になるのが通常なんだが…… こいつは、プレイヤーがログインしてない時も行動可能なセッティングがされている様だな。そうなると…… 下手に修復すると…… 今までの行動記憶が消失する可能性が高いな」
「「「こうどうきおく?」」」
「ああ、こいつのマスターであるプレイヤーが今、こいつが何の為にこうなったのかは…… こいつの記憶の中でしか解らない」
「つまり…… 今までの記憶が無くなる上に、この娘を傷付けた相手の手がかりも無くなると?」
「そう言う訳だが…… こいつを傷付けた相手なら心当たりがある」
「「「「えっ!?」」」」
「だが…… 確証がない。とりあえずは…… これ以上の損傷を避けたいので、こいつをフェアリー工房の本店まで運ぶ。お前達には、その間のこいつの護衛を頼む」
「転移や転送は…… できないの?」
「基本的に、拠点などの転移や転送の移動スキルや魔法は、パーティーメンバーや事前に同意を取るなどしていないと、相手の同意が必要でなぁ…… 意識が無いこいつを運ぶには、転移陣や転送陣か同じ様に転移門、転送門を使うしか無い」
「確か、このイベント会場には、その手の施設は……」
「ああ、無い…… もともとこの会場は、フィールドに期間限定のイベント用結界陣があるだけだからな」
「この娘をフェアリー工房の本店に送るには……」
「転移や転送系の施設がある街に行くしかないけど、たぶん……」
「この娘を傷付けた相手が現れるって…… ことかな?」
「ほぼ間違えなく…… できるか?」
エミリーの問いにカノンが3人を見ると…… モナとカンナとツグミが頷く。
「やります! ボクたち4人で、この娘の護衛を」
「よし、そうと決まれば準備を万端にしてやる!」
モナとカノンにカンナとツグミは、今だ意識が無いサイボーグ少女を街に連れて行く事なった。
こうして…… 4人にとって、初の護衛任務が開始されたのだった。
次は、サイボーグ少女の護送…… かな?
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後……
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